裁縫嫌いなママが、助けられた話。 | やどかり族の育自日記

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やどかり族(宿借り族=転勤族)の妻の育児の日々。
つたない母と子供の成長を、鼻歌うたうように綴ります。
「好奇心」「対話」「自立」「多様性」がキーワード。今のとこ(笑)

自分の苦手な事を改めて指折り数えてみると、
その数の多さに、ウンザリする。

方向音痴は病的だし、計算は答を見ながら計算機押しても間違えるくらい。
記憶力は乏しいし、スケジュール管理も苦手だ。
極めつけは裁縫。
関わらないで生きていけるなら、一生疎遠でいたいヤツ。

裁縫嫌いは今に始まった事じゃない。
昔から、嫌いだった。大嫌いだった。
高校生の頃、家庭科の授業でシャツを作らねばならなかったのだが、
友達とふざけてばかりで、ロクな代物にならなかった。
あれから早16年。
一緒にふざけていた友達は、ママになり、
そして、ママになると、皆、みるみる裁縫上手に変貌していった。
昔の面影は全くない。キラキラ輝かしい裁縫グッズの数々。

もしかして、私も・・?

と、一瞬期待する。
子供への愛が、裁縫好きに変貌させてくれるかもしれない、なんて。




はる君(2歳1ヶ月)の保育園の持ち物の中には、
手作りのお食事エプロンが含まれている。
子供が自分で着脱できる、タオル地のエプロンだ。

手作り、という指定はないのだけれど、
タオル地で、子供が自分で着脱できる仕組みのエプロンは、
市販では見かけない。

昨年の3月。
友達に感化され、ママの魔法で手先が器用になっている事を少し期待して、
それこそ16年ぶり(高校生以来)に、”布を縫う”という作業をした。
我が家にミシンなどなく、手縫いである。
縫う線はタオルを横断する、まっすぐな線一本だけ。

これなら、私にも出来るでしょ?
と思わず思ってしまう単純な線だ。

針に糸を通して、タオルに突き刺して3秒。
タオルの裏で、糸が喧嘩した。
白い糸は泡を吹いたようにこんがらがり、にっちもさっちも行かなくった。
仕方ないので、糸切りハサミで糸を切り落とし、
最初からやり直し。

次は裏で糸が絡まないように、慎重に縫い進めた。
一針一針丁寧に。心をこめて。
子供の笑顔を思い浮かべて。
しゅーっという静かな糸が通る音が、手元から響く。
リズミカルに響く。
集中する時の心地よさが、体中に流れていく。ああ、少し楽しいかも!
日常の何もかもを忘れ、無心になる感覚。
視線を手元の針だけに集中させ、永遠と続く運針を眺める。
永遠に。
ん?永遠に?
長くね?

ふと目を離すと、タオルを横断するはずだった私の縫い目は、
ギュイーンと無駄にきれいな弧を描き、タオルの中央へと進んでいた。
夜のリビングにひとり。
騒ぐでもなく、笑うでもなく、呆然とタオルを眺める。
これじゃ、いくら縫っても終わらない訳だ。

当然ながら、また1からやり直しである。
針から糸を切り離し、タオルについた白い弧を全てほどくと、
時計の針は、40分の経過を私に教えた。

40分経ってまた一針も進んでないと思うと、
全てのやる気が一気に失せた。
もしもの時の為に買っておいた裁縫用ボンドを取り出し、
縫う代わりにボンドでタオルを貼り付けた。
(布をはりつける用のボンドがあるのですよ)

あれから1年と数ヶ月が経ち、
はる君のエプロンは、随分と汚くなっている。
名前のシールは剥がれ落ちて、カビで黒ずんでいる。
でも、また作り直すのがイヤでイヤで、
息子の物心がついてないのを良い事に、無理矢理汚いエプロンで押し通してきた。
(あーちゃん(4歳4ヶ月)だったら、絶対怒り狂ってる)

そんな私に、数日前、救世主が現れた。
tetoteというハンドメイドフリーマケットサイトだ。
綺麗で可愛い、タオル地のお食事エプロンが、
1枚600円で売られている。最初からココで買えばよかったよ!!
狂喜乱舞して購入した。ポチっと。

私の苦手な事は山のようにある。
でも、私の苦手な事を、得意で大好きという人も山のようにいる。
家族に助けられ、会社に助けられ、ネットを通じた知らない誰かに助けられ、
今日も私は生きている。
いっぱい助け、いっぱい助けられ、そのエネルギーの交通量が多いほど、
豊かな人生になると信じて。
私に出来る事は何だろうなぁ。

 

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