私の性長記録

小説を書いてます。

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流れる景色を眺めながら

頭の中は先生のことで

いっぱいだった。

なぜ、急に。

私に何も告げずに…。


タクシーが到着すると

財布から

1万円札を取り出して

運転手に渡した。

ドアが開く前に

自分で開けて飛び降りる。

それを見て運転手が慌てて私に言った。

「お客さん!おつり!」

『いらない!』

振り返ることもせずに叫ぶと

後ろから運転手が声を張り上げた。

「ありがとうございます!」

白いマンションの自動扉を

手でこじ開けるようにして中に入る。

オートロックの前まで来ると

先生の部屋の番号を押した。

呼び出し音が

エントランスに響くが

先生は出ない。

何度押しても

先生は出なかった。

ロックボタンの前を

行き場を失った野良猫のように

うろつきながら

今度は【管理室】と書かれたボタンを押した。

「はい」

『あの、すいません』

呼び出し音に出た声に向かって呼びかける。

『2503号室は門川さんで合ってますよね?』

「門川さん?あぁ、昨日引っ越されましたよ」

『引越し!?』

予想外の言葉に

心臓が大きく鳴った。

なんで?

どうして?

慌ててスマホを取り出して

先生の番号に電話を入れる。

しかし、発信音は鳴らず

変わりに機械の音声が流れた。

“この電話番号は
現在使われておりません”

耳に当てたスマホを握り締めて

自分を落ち着かせようとした。

すると、ロックがかかった扉の向こうから

作業着姿のおじさんが出てきた。

「あの、先ほど管理室のボタンを押した方ですよね?」

『あ、はい』

インターホン越しに聞こえた声と同じ声。

彼は管理人だとわかった。

眠そうな顔と整えられていない髪型が

こんな高級マンションの管理人とは思えず

話しかけられたことに戸惑ってしまった。

一方、彼は彼で私の姿を

下から上へ窺うように見ると

何者なのか考える素振りをして

おそる、おそる尋ねた。

「失礼ですが、門川さんとは…?」

制服姿の私は先生の何に見えているのだろう。

彼との関係を聞かれるとは思わず

しかし、彼女というのも憚られ

思わず、嘘をついてしまった。

『あ・・あの、妹です…』

私の言葉に彼は目を丸くして

驚いていた。

「妹!?へー、あ、そう」

『あの、兄を探してるんです。
連絡もなしに引っ越ししちゃって…
転居先とかわかりませんか?』

作業着姿の彼に縋るような瞳で

詰め寄ると

彼は目を泳がせて私から1歩後ろへと下がった。

「ちょ、ちょっと待っててください」

それからしばらくして

転居届と書かれた紙を手に

私の前に現れた。

「お兄さんとは連絡も付かないの?」

『はい…。使われてないって…』

私は紙に書かれた転居届を

写真に収めた。

「それにしても門川さんに妹さんがいたなんてねぇ」

顎を摩りながらしみじみと告げると

笑顔で私を送り出してくれた。

「お兄さんに会えるといいね!」

そう言って私の肩を叩いた。

『あ、ありがとうございます』

私はズレた鞄の紐を

肩にかけなおして

マンションを出た。





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