大坂文庫

電子書籍出版社、大坂文庫の活動と出版物を主に紹介。
Kindle個人作家の上住断靱、著者、協力デザイナー、協力企業の活躍や読んだ本の感想等。


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まだクールビズも始まる前の5月、上着の内ポケットに収まる本を持ってマクドで読書する事は上住の楽しみである。
精神病患者や派遣の面接や奥様方の女子会が開かれる午前のマクドには独特の雰囲気がある。
その中に溶け込みながら黙々と読書するのだ。
西瓜鯨油社の本は上着内ポケットに収まる。他の人にとってどうかは知らないが、上住には読まれやすいサイズだ。
時代遅れの訪問セールスを放棄して、決まりの席にどっかりと腰を下ろす。
主人公、森響太郎は斜に構えた社会人そのものだった。彼女がいなければ私はどきりとしただろう。
そう森響太郎と同じ事をするのだ。彼はどうしようもない男だったが、彼のような思考回路は野郎ならば誰もが持ち合わせている。ゆとり世代とそうでなくとも勝手に括られてしまう男たちがアイデンティティーを持たずに生きて来た。その反動の象徴が森響太郎なのだ。
では、精神病院に入院してしまった彼と私たちと何が違うのか?少し考えさせられる。
彼を全く理解出来ない男は健全な社畜であり出来る男なのだろう。
それにしても森響太郎の描写、クズをクズのまま描ける牟礼鯨のセンスだ。更には物語のどこから彼の妄想なのか分からない。
ページを繰る。無意識に。
明らかに嘘だと分かる表現をも、彼は我が物にしてしまう。「幻想」というジャンルを上住は認識していなかったが、これほど物語の進行を追えて、終えないものは中々ない。曖昧であっていいものに、曖昧さを残さずクズを描いておいて、最後に独特の読後感を残す表現は傑作と言って過言ないだろう。
さて今日も読書に時間を費やしてしまった。報告書に見込みがあった先を書かなければならない。
「澤田彩香 定期一口1,000千円」
そう書き込むと、判を押し営業リーダーの机に報告書を置いた。譫妄とガラナ
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