【ベルリン勝田友巳】第60回ベルリン国際映画祭の授賞式が20日(日本時間21日未明)に行われ、コンペティション部門に出品された日本映画「キャタピラー」で主演した寺島しのぶさん(37)に最優秀女優賞(銀熊賞)が贈られた。寺島さんは大阪で舞台に出演するため、授賞式を欠席した。若松孝二監督(73)が代わりにトロフィーを受け取り、メールで届いた寺島さんのメッセージを披露。「生涯の宝物にします。いつかすべての国の戦争がなくなることを祈ります。殺し合いでは何も解決しないことが伝わればいいと思います」と読み上げると、会場から大きな拍手が送られた。

 「キャタピラー」の舞台は第二次大戦中の日本の小村。前線で負傷して帰国し、「軍神」にまつり上げられる久蔵を大西信満さん(34)、動けない夫の欲望を必死に受け止めるシゲ子を寺島さんが演じた。若松監督が「戦争は人殺しで、犠牲になるのは弱い民衆。軍備強化が議論される日本の現状への怒りを表現した」という作品だ。

 シゲ子は戦時下の倫理観に従って夫に仕えるが、次第に理不尽な苦しみへの不満を募らせ、久蔵を支配し始める。寺島さんは体を張って、夫に対する愛情と戦争への憎しみが絡み合う複雑な役を演じ、映画のメッセージを体現した。

 映画祭期間中、「繊細に感情を表現し、極めて説得力があった」(スクリーン誌)などと、寺島さんは高く評価されていた。若松監督は授賞式後の会見で「プロとして精いっぱい真剣な演技をしてくれた」とたたえた。

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