不動産株 好調の裏には | 徐さんの中国通信

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株式市場の不動産株は好調を続けています。
本日のA株でも万科や恒大、緑地など
ストップ高が続出しました。
不動産企業の中間期決算も一巡し、
増収増益の企業が増えています。

万科の経営(支配)権争奪戦にも手を挙げている
恒大地産(3333)は今月3日、
7月の販売実績は昨年比205%増、前月(6月)比
37.2%増という決算結果を発表しました。
また1~7月までの販売実績は昨年比82.6%増の
1847億9000万元で、年間販売目標の
2000億元の92%を達成したということです。
これを踏まえ同社は9日、今年の販売目標を
従来の2000億元から50%引上げて3000億元にすると
目標の上方修正を公告で発表しました。

上海や南京、常州など揚子江流域の都市部を中心に
不動産開発、販売の新城発展(1030)も4日、
7月単月の販売実績は昨年比132%、
1~7月までは142%伸びていると、
通年目標の70%を達成したことを発表しました。
同社も年間目標を従来の400億から520億まで
上方修正したことを明らかにしています。

不動産市場好調の理由は
人民銀行の発表により裏付けされています。

先週末、人民銀行は7月の金融データを公表しました。
それによると、7月のマネサプライ(M2)の伸び率は
昨年比10.2%に留まり、年間平均に及ばなかったこと、
また人民元の新規貸出(融資)額は
前月比9164億元マイナスの4636億元で、
予想の8500億元を大きく割り込み、
その内不動産への長期融資(住宅ローン)は
4575億元だということ、
そして、狭義の通貨量を現すM1の伸び率は
昨年比25.4%と、M2を大きく引き離したということです。

この数字を簡単に説明すると、
M2の年間伸び率の目標は13%なので、
これには追い付かず、個人部門、企業部門ともに
資金需要が落ちたこと、
新規貸出は4636億元の内、住宅ローンは4575億元で、
新規貸出の100%近くが個人部門の住宅ローンになり、
企業への新規貸出はゼロに近いこと、
M1は企業部門の預貯金も含めた現金と預貯金のことで、
M1が伸びると投資活動(意欲)の萎縮を意味し、
企業が現在新規投資を控えていることを
裏付けたことになります。

このような中で、不動産企業の業績が
伸びていることは市中に流通しているお金は
不動産市場に流れていることを意味することになります。
不動産ローンを利用している一般市民は
大半その他の企業に勤めていることを考えると、
ローンを返済するためにも、
その勤め先の企業も業績を伸ばさないと、
いずれそこから生まれてくる付加価値がなくなり、
その企業からもらうサラリーが減額か
なくなるリスクすらあります。

経済の構造転換は正念場を迎えた
と言っても過言ではありません。
これから年末までの動向をしっかりチェックし、
投資計画を立てたいものです。