三重県鳥羽市の離島・答志島で唯一の銭湯「元湯」=武中元之助さん(83)経営=が今月上旬に廃業し、140年の歴史に幕を下ろした。島民からは「裸の付き合いができる場がなくなり、さみしい」と、惜しむ声が出ている。県伊勢保健所によると、元湯の廃業で、鳥羽、志摩両市がある志摩半島から銭湯が姿を消した。【林一茂】

 元湯は8日に風呂釜が壊れた。武中さんは「これまでもたびたび漏水があった。この辺が潮時」と2日後、伊勢保健所に廃業届を出した。島民には、銭湯の入り口に張り紙をして知らせた。

 元湯は明治初期の創業で、武中さんは4代目。妻のさく子さん(78)と協力して切り盛りしてきた。島には最盛期、4軒の銭湯があった。昔、雨水が頼りだった島では風呂がある家庭はほとんどなく「男湯、女湯とも芋を洗うようだった」という。だが、72年に本土から水道が通り、風呂事情は一変した。

 内風呂が増え、銭湯は半減。近年は2軒の銭湯が1日置きに営業していたが、08年末に1軒が廃業し、島の銭湯は元湯だけになった。元湯は本来480円の入浴料を350円に据え置いて頑張ってきたが、最近の入浴客は1日30人前後で武中さんは「ボランティアみたいなものだった」。

 武中さんは「家に風呂がないお年寄りには申し訳ないが、私も老いて、これ以上やっていけない」。さく子さんは「涙が出てくる」と顔を曇らせた。島民からは「よく今まで営業してくれた。ご苦労さん」と、ねぎらいの言葉が贈られている。

 県公衆浴場業生活衛生同業組合鳥羽支部の役員を務めたこともある武中さんの話では、銭湯は最盛期に鳥羽市で20軒余り、志摩市で5軒前後あったという。

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