わが家の話で恐縮だが、今年初めに起きたちょっと不思議な出来事を紹介したい。

 その日、帰宅すると、妻が少し不安そうな面持ちで相談をしてきた。コンサートツアー中である米国在住の日系バイオリニスト、アヤノ・ニノミヤさんがその途中で日本に立ち寄り、ハイチ大地震の被災者救援チャリティーコンサートを開きたく、協力者を探しているという内容のメールが、アヤノさんから届いたという。

 「被災者たちのために音楽家としてできることを、たとえ小さなことでもやりたい」。そんなアヤノさんの気持ちが同じ音楽家の自分にも伝わってきた、彼女に協力したいのだが、どう思うか、というのが妻の話だった。

 ハイチから遠い日本で音楽家から支援の声があがることはすばらしいことだと思い、「いいんじゃない」と返答した。だが、よくよく聞くと、コンサートは、彼女の訪日に合わせて日取りが決まっているだけ。それも1週間後だという。会場も出演者も主催者さえ決まっていない。いくらなんでも時間がなさすぎる。「そりゃムリだ」。返事は変わっていた。

 夫はさじを投げたが、それでも妻はその日から、同じメールを受けた知人と、会場探しや著名な音楽家への出演依頼などに奔走した。すでにハイチの被災地に調査員らを派遣し、支援準備を進めていた認定NPO法人「難民を助ける会」(東京)が急遽(きゅうきょ)、主催者になることが決まり、東京タワーが趣旨に賛同して無償で大展望台のスペースを貸してくれることになった。「ムリ」が可能となった瞬間だった。

 忙しさにかまけて傍観していた夫としては、せめてもの罪ほろぼしではないが、本紙や「SANKEI EXPRESS(EX)」などでコンサートについて告知した。コンサート当日の2月1日。地上150メートルの会場には、大雪の荒れた天気にもかかわらず、大勢の人が訪れ、アヤノさんたち日米の音楽家が奏でる犠牲者への鎮魂と被災者への連帯の音色が響いた。この日だけで約60万円の募金が集まったという。

 「奇跡」はなぜ起きたのか-。幸運もあった。だが、妻いわく、信じて行動したからだそうだ。世の中、不可能だと思えることだらけだが、その壁を乗り越えて前進することがいま強く求められているのではないか。EXでは、そのヒントとなるストーリーをできるだけ多く伝えていきたい。(EX副編集長 内藤泰朗)

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