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日本郵政の不祥事
今、世間の注目を浴びているのが日本郵政の社長人事である。西川善文社長の再任を巡り、鳩山総務大臣が日本郵政の一連の不祥事を理由に強く反対していた。ところが驚くことに、事実上更迭されたのは鳩山総務大臣の方であった。

たしかに構造改革派とっては、小泉改革のシンボル的存在である日本郵政の人事は譲れないところである。しかし筆者は、構造改革派が必死になって守ろうとしている西川氏という人物が、日本郵政社長の「玉」としてあまりにも悪すぎると感じる。これについては後半触れることにする。


まず不祥事の一つである郵便事業会社の障害者団体向け割引制度の悪用事件を取上げる。今のところこの事件には郵便事業会社に加え、厚労省、広告代理店、割引制度の悪用企業などが関わっている。しかし根本は郵便事業会社の割引制度である。この図式は、本誌が06/7/31(第447号)「郵政改革論議の混乱」で取上げた10年前のDMの大量発送に伴う別後納郵便の割引制度の悪用と全く同じである。

この時に問題になったのは「エンデバー」「郵和」というDM取扱い業者であった。郵便局がこのような不正に手を染めた原因は、収益を上げるためのノルマであった。予算達成のノルマは、地方の郵政局、郵便局、担当課毎に設定された。つまり郵便局同士が競争関係に置かれたのである。


今日、郵政事業が民営化され、さらに収益を上げるようプレッシャーがかかっている。しかし人々が期待しているのは非効率的な経営の是正による収益アップである。郵政社員への過酷なノルマ課すことまで期待しているのではない。

ましてや割引制度の悪用など考えられない。また利用者への負担増加による収益増加なんてもってのほかである。もしこれらが郵政事業民営化の実態なら、民営化路線を止めさっさと元の形に戻すべきである。筆者には障害者団体向け割引制度の悪用事件は氷山の一角と思われる。


より大きな問題は、「かんぽの宿」の一括売却である。「かんぽの宿」は一旦オリックスの子会社への売却が決定されていた。国が日本郵政の株式を100%保有している現状では、「かんぽの宿」は国有資産ということになる。

この売却決定の過程が不透明ということが問題になり、売却は白紙に戻された。ところが売却が中止された途端、この不透明な国有財産の売却過程に関する報道が尻すぼみになった。しかしこの出来事は一連の政府傘下の企業の民営化にとって重大である。


「かんぽの宿」は赤字だから、全部売り払うという話が前提になっている。しかし今の日本郵政には「かんぽの宿」の経営改善という選択肢が最初からないのである。経営努力したが良くならなかったので、売却するという話ではない。もっとも経営改善を行っても赤字が続くという話なら、オリックスも買おうとしなかったであろう。

以前に売却された「かんぽの宿」の中には、経営合理化によって黒字化したところも結構あるという話である。また「かんぽの宿」が大きな赤字経営という話もまゆつばものである。「かんぽの宿」の採算計算において、固定資産の償却年数を60年から急に25年に短縮したという話が出ている。これによって経費をかなり水増しして、赤字を装っている可能性がある。


事業の採算を誤魔化すための常套手段が減価償却費である。儲かっていないように見せかけるために償却年数を縮めるのである。03/10/20(第318号)「道路公団、財務諸表の怪」では、償却年数を70年から40年にしていた。ものすごく儲かっているはずの道路公団を、「赤字の垂れ流し」の経営と嘘をつくための道具として、減価償却費を使ったのである。また道路公団の採算計算に使われた長期金利は年4%というとんでもない数字であった。

今日、高速道路会社がものすごく儲かっていることがようやく知られるようになって、「高速料金1,000円政策」まで実施されている。民主党は高速料金の無料化まで検討している。しかし数年前まで、「赤字の垂れ流し」だからさっさと売り払えと言った声が大きかったのである。世界一高い高速料金で、あれだけ混雑しているのに、高速道路が儲かっていないはずがない。



不良債権まぶし
「かんぽの宿」の売却では、怪しい人々が跋扈している。まずオリックス会長の宮内義彦氏は、規制緩和小委員会座長を始め、政府の規制改革のキーマンを続け、「ミスター規制緩和」と呼ばれている。しかし規制緩和がオリックスの商売と密接に関係しているのである。このためか宮内氏を「政商」と呼ぶ声もある。

「かんぽの宿」の売却に関しては、「第三者検討委員会」と「郵政民営化承継財産評価委員会」というものがある。これらは中立の第三者機関を装っている。しかしここにはオリックスと関係の深い者がいるという話である。興味のある方は検索サーバで検索してもらいたい。驚くような話になっている。


「かんぽの宿」の売却では、メリルリンチがアドバイザリィー契約者として登場する。手数料が売却資産の簿価の3%で、最低保証額が6億円ということである。通常、不動産の仲介手数料は売買額を元に算出する。ところが今回は簿価を元に手数料を計算するというのだから意味が分らない。

メリルリンチは、膨大な不良債権を抱えバンク・オブ・アメリカに救済合併された。メリルリンチには公的資金が投入され、事実上破綻した。ところがすきを見て社員に多額のボーナスが支払われたということで問題になった。「強欲資本主義」を象徴するような投資銀行である。このようなメリルリンチからアドバイスを受けようというのだから訳が分らない。本当に人をばかにしたような話である。


極めつけは日本郵政の西川社長である。西川社長は三井住友銀行の頭取からの転身である。またさくら銀行との合併の前は住友銀行の頭取であった。西川氏の経歴については、文芸春秋2004年1月号に「西川善文研究」のタイトルでジャーナリストのレポートが載っている。

西川氏は、本来の銀行業務で業績を上げトップに上りつめたのではない。ずっと不良債権の処理を担当してきた。しかも普通の不良債権ではない。


旧住友銀行には、安宅産業、平和相互、イトマンなど、巨額の不動産に関連した不良債権があった。その処理を専門に行ってきたのが融資第三部という部署である。この融資第三部の主的存在が西川氏であった。

西川氏らが行ってきたことは、これらの不良債権を表沙汰にせず、密かに処理することであった。しかし不良債権が特殊なだけに簡単には処理できず、2004年の時点でもかなり残っていたという話である。西川氏みたいな経歴の者がトップに就かざるを得ないほど、これらの不良債権の処理は旧住友銀行にとって死活問題であった。


西川氏らが行ったのは、ある意味で不良債権隠しである。実質子会社の不動産会社に不動産と融資を振替える(いわゆる飛ばし)。しかしこれではこの会社への融資が破綻懸念先債権になるため、この子会社に収益が出る事業をくっ付ける。また逆に収益の出ている子会社に不良債権をくっ付ける。いわゆる「不良債権まぶし」である。これらの処理で、破綻懸念先債権を要管理先債権や要注意先債権に変えていた。このような実質子会社が40社もあるという。

米国で優良債権に不良債権を組合わせたCDO(債務担保証券)が問題になったが、西川氏の融資第三部はずっと前から同様のことを行っていたのである。ちなみにこのような処理をせず、不良債権をそのまま実質子会社に飛ばしていた長銀は破綻した。


どうやら西川善文氏の得意技は、人の目を欺くことである。「かんぽの宿」の売却でも「第三者検討委員会」と「郵政民営化承継財産評価委員会」といったいい加減なものをでっち上げている。

日本の郵政事業は地味な仕事の積み重ねである。郵便貯金は小額な貯金を集めたものである。郵便は一家、一家訪ね歩いて届けるものである。このような事業を長年続けて、郵政事業の資産は成立っている。郵政事業の金は、大金持ちから集めたヘッジファンドの金とは違うのである。メリルリンチや西川善文氏は、本来の日本郵政とは対極の存在といえる。



(経済コラムマガジン 09/6/15(573号) http://www.adpweb.com/eco/index.html    投稿代理:栗原)


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