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┼─読んでわかる!就活の基礎
┼┼⑧いまから間に合う作文対策
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ESについて2回に分けて書きました。8回目の今回は、以前書いたものをベースに作文対策について書こうと思います。作文は、マスコミ業界や広告業界でよく出ていますが、今シーズンでも旭化成がESで課題として出題するなど民間企業全般で出てくるものです。しかし、対策を十分に行う学生が少なく、差がつきやすいのが実情です。マスコミ対策が遅れている学生さんにとっては、作文での失点が致命傷になり、早急な対策が必要です。


■文才は不要、必要なのは「継続する力」
作文試験で高得点をとる人は、文才が豊かな人だと思うかもしれません。私は、そう思っていました。しかし、文才がなかった私でも、先輩などに添削してもらううちに書くことに慣れ、たまには良い得点をもらえるようになりました。
ちなみに、マスコミ業界に入る前の段階では、文才は要らないと思います。入社してから世の中の出来事をそれなりにわかってもらえるような文章で書く力をつければ良いですし、マスコミ業界には変な癖のある文章を書くぐらいならまっさらなスキルで入社してくれたほうが良いと思っている人も少なくないと言います。業界に入って毎日のように書くことを求められてようやく力がつき、本物の文章力が養われるものです。必要なのは、現在の才能よりも、継続する力だと思っています。
私の場合、大学1年生のときに早稲田セミナーのマスコミセミナー(基礎編という全6回のライトなもの)で1回見てもらった程度で、3年次に「作文講座」を大学で受講した程度でした。しかし、この3年次の先生の指導もあって内定できたと思います。就職活動で作文試験が課されたのは、小学館(ES段階と筆記試験段階で2回)、日経BP(筆記試験段階)、東急エージェンシー(ES段階で。筆記は受験せず)、テレ朝(ネットエントリー)、NHKでした。テレ朝の「結婚したくなるようなプロポーズ」という、意図が読み取れずにありきたりなことを書いて不合格だったもの以外は通過できました。作文力は、人並みはずれた力を持っていたわけではありませんが、それなりではあったのかなと思います。私が心がけたのは、ごく普通のことですが、参考までに書いておきます。

■就職活動の作文は、自己PRです
私の母は国語教師です。父もそうでした。そのため、夏休みの最後はみっちりと読書感想文の指導を受けました。それ以外の宿題にはタッチしない母でしたが、読書感想文と書道だけは、専門分野とあってかなり厳しく指導を受けたのを覚えています。
皆さんも小・中学校で作文を書いた経験があると思います。小学生が書く作文と就職活動の作文の違い、それは優等生的な答案が必ずしも良いとは限らないという点です。
清書前メモを作り、構成をしっかりと考えてから書く点など、基本的な技術を習得するところまでは同じです。小学生のころ、私は泣きながら感想文の下書きを何度も書きました。そうすることで、構成力のある、ほかの児童が書かない突っ込んだ内容の感想文を書けたと思っています。
しかし、考えをうまくまとめ、優等生的な発言を並べれば入選した小学校時代とは違います。少し極端な言い方をすれば、誰もが書くような内容・誰もが考えるような内容をうまくまとめるといったものは評価されません。就職活動の作文は「自己PRにつなげる」必要があります。就職活動のひとつの関門であるわけですから、自分の強みや個性をアピールするものに仕上げなければなりません。小説家のように、丹念に情景を描写しようとも、叙情的な技巧的な表現が溢れていようとも、自身の体験を簡潔に伝えるものには勝てません。作文はマスコミ業界で多く課せられますが、マスコミ業界は学生の中から将来の文豪を発掘しようとしているのではありません。わかりやすく伝える力があるかどうか、その一点に尽きます。


■作文試験の大前提 ~5つの大事なこと~
では、どのように書くか。
先ほど申し上げたとおり、簡潔明瞭が大原則です。エントリーシートと同じです。短い文章を積み重ねて事実を伝えるのが効果的です(ちなみに、面接もそうです)。学生の作文を添削していると、日々書き慣れているレポートや論文と同じように、難しい言い回しを使ったり一文を長くしたりしている場合が多い印象を受けます。たかが800字や1000字の作文に、一文が80字を超えるような文章があったのではバランスに欠けます。
作文が上達する秘訣として、以下の5つをあげておきます。

・何よりも、数をこなす(量は質に転化する)
練習の回数をこなすことを心がけてください。多く書く。大学1年の冬、コミュニケーション論やジャーナリズム論の研究所に入るときのことです。選考に際して、400字の作文提出が求められました。お題は「しなやか」、どう書いたら良いかまったくわかりません。私が受けた指導はシンプルでした。社会人のOBに、とりあえず1本書いて持って行きましたが、見た瞬間にダメだしの嵐。「意味がわからない」、アドバイスもせずこう言いました「とりあえず、数日中に10本書いて持ってきて」。
10本も書けないと思いますよね。正直。しかし、がんばって書きました。9本目、10本目ともなるとネタが思い浮かびません。しかし、そうして10本書き上げたとき、作文のコツが見えかけました。もちろん、そこからまた直される日々が始まったわけですが、コツが見えるには10本、1本のネタを完成させるには20本は書かないと無理だと思います。

・添削を受け、ストックを持つ
作文を書いたなら、必ず誰かの添削を受けましょう。しかも、自分のことをあまり知らない人や、年配の人、文章を日常的に書く業界の人などが良いと思います。作文は、わかったつもりになって書いていることが多く、そういった「わかったつもり」に気づいて指摘してくれるのは、身の回りにいつもいる人よりも、あなたのことをあまりよく知らない人であることが多いです。
その上で、添削を受けて終わりではなく、一回添削を受けた答案をもとに、最低もう一度は書いてみましょう。書く→添削→書く…といった作業を通じて、どんなネタにも転用可能なネタを2,3本持ちましょう。これをストックと言っています。自分自身の体験で、アピールできそうなものを選び、自己分析を通じて出てきたあなた自身の「ドラマ」を作文として描けるようにしておきます。何度も添削を受けるうちに、より凝縮された濃い内容の文章でストックが完成されていきます。そのストックが、例えば「伝える」というテーマでも「失敗」でも、「成功」でも使えるような発想力、論旨の展開力を身につけていきましょう。

・具体的に書くことを忘れない
また、具体的に(=読み手のイメージを喚起するようなものを)書こうということも大切です。作文の題は「私の友達」「宝物」などといった具体的なもので、書きやすい場合もあります。しかし、マスコミ業界の企業の中には、「発」などと抽象的な1文字を課すものもあります。いずれにおいても、自己体験に基づいてPRをしていくという方針に変わりはありません。テーマが見えているため、「発といえば」「発見したと」「私の出発点は」のようにテーマの文言(ここでは「発」)を連呼してしまう人もいますが、それは上手な文章とはいえないでしょう。具体的なドラマにちょこっとだけ、ひょっこりとさりげなく「発」の字があるような文章が、意外性もあって読み手の心をつかみます。こう書くと、技巧が必要なように感じるかもしれません。しかし、先ほど述べた「ストック」を築いておけば、テーマの文字から書く内容を連想するのではなく、「ストック」というコアな自分をアピールできるネタからテーマの文字にすりあわせていくことになるので、それほど難しくはありません。

・上手な文章にふれ、正しい日本語を身につける
興味のあるテーマについてで良いので綺麗な文章・日本語として正しい文章を読みましょう。本は最適の教材ですが、私はテレビニュースの言い回しを聞くのが気軽に出来るトレーニングとして良いと思っています。口語の言い回しは、書きことばに比べて優しい言葉が多く、作文になじみやすいからです。
テレビのニュースは、聞き手にわかりやすく伝える工夫が随所に見られます。私も、ニュースでアナウンサーがどう伝えるかを参考にしながら文章を書いています。たとえば、NHKはニュース原稿をホームページで公開しています。いまは疎遠になっている地元の話題などを見ながら、表現を確認してみましょう。

・とりあえず、日記でもブログでも何でも綴ってみる
学生の文章を見ていて思うのですが、少々難しい話なども含めて日記やブログを綴っている学生は作文の上達が早いです。これは、エントリーシートも同じです。文章力を磨くつもりで日記を書き、先輩などから講評してもらうのが良いと思います。ちなみに私も、mixiで日記を書くことで文章を少しでも上達させたいと思っており、マイミクの皆さんには迷惑でも毎日1回は日記を更新して、仕事とは違うタイプの文章を書き慣れるようにしています。


■作文試験シミュレーション(書き始めまでの15分)

作文試験で心がけたことを、NHKが出題した作文の問題に沿って考えます。

[NHK03年春 作文、お題は「発」]

試験開始です。でも書きません。

<すぐに書き始めなくてよい>

ほかの学生が書き始めました。それでも泰然自若です。なぜか、まずはどんな構成にするかメモを仕上げます。それから書いても遅くはありません。

お題に戻りましょう。とりあえず、思いつくまま「発」を書きます。
発見 爆発 発覚
発明 発車 一発
出発 発射 連発
発生 発電 発言
発展 先発 後発 ・・・
たいそう貧弱な語彙ですが、数分もしないうちに20個近く出ました。でも、これは使いません。自分だって思いつくようなものは、周りの学生も使うからです。 たいていの人間が考えるような言葉を使って書くと、読み手が飽き飽きしてしまうと考えていました。マスコミ業界は、常に面白いモノを求める狩猟採集民族集団だと考えています。彼らが食べたいような美味しいエサを、ちらつかせなければ食いついてくれません(ちなみに、このエサの置き場は「文頭」がベストだと思います)。
とりあえず、2文字は誰もが使うと考えてとりあえず3字以上で考えて、30個目くらいに出てきた「一触即発」を使って書くことにしました。でも、まだ書きません。ここまで5分ですから。

次に構成を考えます。冒頭はカギカッコで入った方がいいかな。突飛な一言で入るか。うーん・・・。読み手を引きつけつつ、話の内容がバラバラ遺体のような無惨な構成に陥らないように考えていきます。コツはひとつ。自分の何をアピールする話にするのか。アピールする内容が決まれば、その内容を具体例として作文で展開すれば良いのです。また、エピソードを楽しく読んでもらえるような文章は、数字や発言、状況描写を盛り込むことで生まれます。このような情報の盛り込み方を考えましょう。

とりあえず、自己PRのサブでいつも用意していた、学園祭にあわせてゼミで共同論文を書いた話なら喧嘩もあったし、「一触即発」ぽい話にまとまるな--と思い、それで行くことに。ここまで開始から10分です。そこから構成をメモして、盛り込むキーワード、具体例を決めてようやく書き出します。

ここまで15分。書き始めた学生の中には原稿を半分ほど書いて行き詰まって消し始める人も出てきましたよ。「すぐ書くな」は、3年のときにお世話になった作家の先生のアドバイスでした。試験当日になって、さぼりがちだった授業の恩師に感謝したのは言うまでもありません。


■補足)意外性に富む内容なら何でも良いというわけではない

オリジナリティーは必要だとしても、唐突な内容には抵抗が生まれます。

たとえば私の体験。
「イスラエル人と共謀して、メロンを輸入する会社を起業しようとした話」は、なんだなんだ??と驚きを与えるには十分なネタでした。しかし、そこに自分らしさも含まれていない体験でした(ちなみに断念しています)。この内容を使って作文を書いたとき、講師の先生(脱サラして作家になった方でした)は『ネタはいいんだけど、展開力のないネタだね、こりゃダメだ』とひと言。この経験から、地味な経験でも自己PRにつながるもののほうが点は取れる、合格できると思っています。


■最後に ~とりあえず1本書いてみましょう~

とにかく、書いてみないことには始まりません。週に1本はこなすように心がけないと力はついてきません。私の会社の先輩は「作文無敗」と自負していましたが、その方いわく、「どんなテーマが出ても、3つのネタで書けた。この3つはマスコミ就職の予備校の先生から完全に高得点が取れるといわれる水準までブラッシュアップした」とのこと。数をこなすことです。何回も書いて批評を受けることで、だんだんと作文のコツやツボがつかめてきます。そんな瞬間が来たとき、一気に成長します。
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