コスモス9月22日 ミラノコレクション(後編-完)コスモス

数年ぶりの珍事……(笑)。何だか随分と大げさな物言いになってしまいましたが、実はワタクシ、今回のミラノコレクションに、数年ぶりに「スカート」を履いて行こうかと思っております(笑)。なぁ~んだ、そんなこと……そんな風に思われた方もいらっしゃるかも知れませんね。でも、当の本人にしてみれば、相当勇気の要る決断だったんですよ。
近しい人たちはみんな知っていますが、何を隠そう私は365日中365日がパンツスタイル。仕事でもプライベートでも、スカートを履いたことがありません。事実、クローゼットの中には、スカートが一枚も入っていませんし。――そんな私が、よりによって「スカート」だなんて、前代未聞の珍事でしょ?(笑)。この私が一番驚いています(笑)。

実は今回、憧れのミラノコレクションに出席させていただくにあたり、どうしてもやってみたかったことがあったんです。それは、「今まで逢ったこともない自分」に出逢ってみること。どうせミラノに乗り込むんだったら、何か新しいことに挑戦してみたい――そう思ったのがきっかけでした。それが私にとっては、「スカートを履く」という決断だったのです。

それは「スカートなんか、絶対に似合わない」という、自分自身の「思い込み」からの脱皮宣言。そして、自分自身の中のあらゆる「執着」からの卒業でもありました。実は私、イタリアに経つ前に思い切ってアンテプリマブランドのシフォンドレスを購入させていただいたのです。オーガンジー素材の透け感のあるプリーツデザインが特徴で、アシンメトリーな裾遣いと、膝下まであるロングストールに「大人の女性の遊び心」を感じて――。シンプルなのに、揺れ感と透け感のあるデザインが、何ともセクシーな一着です。このお洋服には、同じチョコレートブラウンのロングブーツを合わせようかな――それまでファッションに無頓着だった私が、自分でもビックリするくらいワクワクしているのが新鮮でした。
ご存じ、荻野さんのブランドコンセプトは「女性は何歳からだって、デビューを飾ることができる」というもの。その彼女の「思い」が織り込まれているアンテプリマのお洋服は、袖を通しただけで女性であることが嬉しくて楽しくて仕方がなくなってしまうのです。事実、私自身も“魔法”をかけていただき、遅いスカートデビューをさせていただくことができました(笑)。今回の旅の裏ミッションは、このもうひとつのミラノコレクションをこっそりと自分に置き換えて遂行すること(笑)。それは、私自身がカラダを張って証明する実験プロジェクトでもあったのです。――ドレスアップをしたさおりょうさんと私は、シンデレラのカボチャの馬車に乗って、舞踏会のお城へと向かったのでした。

さぁ、いよいよアンテプリマの2009年春夏コレクションの開幕です!今回のコレクションテーマは「パーティ・パーティー・パーティー!」。“女性たちを讃え、パーティーのように人生を自由に享受する魅惑のコレクション”とのことで、既に会場内は華やかなガーデンパーティーの様相を呈していました。今宵、約500人にも及ぶ美しいゲストたちが世界中から集まり、荻野いづみさんの才能を目の当たりにするのです。そう考えただけでも、ゾクゾクしました。

コレクション会場は、ミラノ市内にある名門ホテル「PALAZZO DELLE STELLINE」。あのレオナルド・ダヴィンチが、このホテルの中庭を散策したことでも有名な場所なんだそうです。私がなぜミラノコレクションの前に、あんなにもダヴィンチ像への挨拶に詣でたいと思っていたのか、何だかこれで辻褄があったような気がしました。無意識の中でのジグソーパズルに、また一つあらたなピースがはめこまれました。
開会前、さおりょうさんと私はバックステージに呼ばれ、人気ファッション誌『マリ・クレール』の取材を受けました。外国人のプロカメラマさんに写真を撮っていただけるだなんて、なんだか夢のよう!しかも思いがけず、本番直前の舞台裏まで拝見することができ、感激もひとしおです。私はやっぱり、舞台裏が好き(笑)。現場はLIVE特有の、あの独特の空気感に満ちあふれていました。気を失ってしまいそうな程の緊張感の中で、どれだけストレスを味方に代えることができるか――私も毎回イベントの本番を迎えるたびに、乗り越えなければならない自分自身の壁と闘っています。今夜のショーの100万分の1かも知れませんが、そんな想いを共有させていただけたことを嬉しく思います。

「あなた自身を解き放つために」――。席に戻ると、オリジナルサウンドトラックのCDと一緒に、英語とイタリア語と日本語で書かれたメッセージカードが置かれてありました。
いよいよ、ショーの始まりです。


『アンテプリマを纏うのは夢を実現できるフェミニンな女性。控えめさと大胆さの境界に、永遠に存在している遊び心を加えた洗練さとモダンのコントラスト。それがアンテプリマ』――(アンテプリマのメッセージカードより)。

大胆に背中が開いているフォルムや、女性らしいカラダのラインが強調されているシルエット、そして揺れ感のあるドレープ遣いなど、どれをとってみても「女性はかくも美しい!」と謳いあげたくなるようなデザインばかり。それは、女性の人生はパーティーのようでもあり、より華やかに、より自由に、より個性的であって欲しいという、荻野いづみさんの願いそのものでもあるような気がしました。一人ひとりが自分自身に生きること。そして、女性であることを愉しむこと。アンテプリマとは、夢をかなえる女性たちの代名詞なのです。

そしてショーのラストに現れたのが、アンテプリマのクリエイティブデザイナー、荻野いづみさんご本人です。スポットライトの当たったランウェイに登場されたかと思うと、ハニカミながら一瞬で袖に消えてしまわれましたけど(笑)。想像していたよりも小柄な方でビックリ!でもやはり、とてつもなく大きなオーラに包まれた方でした。いつまでも鳴りやまない拍手。そして、観客たちの高揚した面持ちがコレクションの大成功を物語っていたように思います。そして、アンテプリマの魔法はまだまだ続くのでした――。
何とコレクション終了後、関係者の晩餐会にご招待をいただき、念願だった荻野いづみさんと直接ご挨拶をさせていただくことができたのです!場所は、ホテル内にあるレストラン「レオナルドの菜園」。その名の通り、ダヴィンチにもゆかりの深い、お野菜料理の美味しいレストランで、特にズッキーニの中にカッテージチーズが閉じこめられていたお料理は、最高にヴォニッシモでした。ひとテーブルひとテーブル、丁寧に頭を下げられながらご挨拶に回られている荻野さんのお姿を拝見して、何だか涙が出て来てしまいました。あぁ、このヒトも35歳からブランドを立ち上げて、ここまで夢の階段を駆け上って来られたんだなぁ……そう思うと、「アンテプリマ」は荻野さんご自身なんだと、胸がいっぱいになってしまったのです。
本番を終えられたばかりで、どんなにかお疲れなんだろう――私は、自分たちのテーブルにご挨拶に回って来られた荻野さんに、「このたびは、本当にありがとうございました」と御礼を申し上げるのが精一杯でした。とてもインタビューをさせていただきたいなどと切り出す勇気もありません。せっかくミラノまで来たというのに……。目の前に、憧れの荻野いづみさんがいらっしゃるというのに……・。長年、「夢への挑戦に手遅れはない」と大勢の人たちに熱いメッセージを伝えて来たはずなのに、いざチャンスを目の前にしても萎縮し、遠慮し、あきらめかけようとしている自分がいる――さすがの私も凹んでしまいました。そうこうしているうちに荻野いづみさんは、ご自分の席に戻ってしまわれたのです。

すると、そんな私の様子を見かねたのか、同じテーブルでご一緒だったNHK国際放送局のプレスチームのカメラマンさんが一言、「俺だったら、“今”インタビューをお願いしてみるけどな」と仰ったではありませんか。「……え?」――私は、ビックリしてしまいました。彼に全てを見透かされたようで恥ずかしかったのですが、それ以上に「チャンスのタイミングを逸してはいけないよ」と教えていただいたように思え、素直にそのベテランカメラマンさんの言葉に従ってみることにしました。もうこうなったら、「当たって砕けろ!」です。ダメ元を覚悟で、直談判してみよう、そう腹が決まりました。

不思議なもので、私自身の中に「覚悟」が定まった途端、いろいろなことが一気に動き出しました。きっと夢をかなえるということは、あらゆる角度から自分の本気度具合が「試される」ことでもあるのでしょう。その「試験」にクリアしたヒトだけが、夢をかなえる扉を開くことを許されような気がしてなりません。

まずはアンテプリマの広報ご担当のK口さんが、荻野さんご本人に掛け合いに行って下さり、インタビューの快諾を取って来て下さいました。そして、NHKのカメラマンさんが私たちにマイクセットを貸して下さったばかりか、自らカメラを回し、私のインタビューしている模様をカメラに納めて下さるというではありませんか。有り難いお申し出に、ただただビックリしてしまいました。そして何より、荻野さんご自身がわざわざ私たちのテーブルまで戻って来て下さり、私の隣りに座ってインタビューに臨んで下さろうとした時には、あまりの感動に言葉を失ってしまいました。こんなに急に役者がそろい、舞台が整ったのは、本当に奇跡としか言いようがありませんでした。時間にすると、ものの数分の間の出来事だったからです。NHKのカメラマンさんが「今だよ」と背中を押して下さらなかったら、私はあのまま何もできなかったに違いありません。そして一生後悔したことでしょう。まさに、「Life is timing」――。大勢の人たちの協力があってこそ、夢は初めてかなえられるのだと、あらためて大事なことを教えていただいたように思います。日本からもきっと、大勢の皆さんが祈るような気持ちで追い風を送って下さっていたに違いありません。


特にさおりょうさんには、言葉では言い尽くせないほど感謝しています。インタビュー中、ずっと私のとい面に立ち、アイコンタクトを送り続けてくれた彼女。時に頷き、時に涙ぐみながら、私のインタビューを終始見守り続けてくれました。今回彼女の友情なしには、「荻野いづみさんにインタビューをする」などという、大それた夢はかなえることができなかったでしょう。私の思いを誰よりも理解しようとしてくれたヒト。私の一番傍にいて夢をかなえるプロセスを見守り続けてくれたヒト。そしてこうして、私が夢をかなえる瞬間にまで立ち会ってくれたヒト。それが、大親友でもあるさおりょうさんだったのです。
インタビューを終えたあと、私は感極まってポロポロ泣いてしまいました。大のオトナが人目もはばからず、お化粧が落ちるのも一切気にせず、ただただ子どものように涙をこぼし続けました。見ると、普段はクールなさおりょうさんも目を真っ赤にして、コチラを見ています。私は思わずさおりょうさんに抱きついてしまいました。背中を優しく撫でられながら、私は本当に幸せをかみしめていました。それはこの旅の中で、一番「BRAVISSIMO」な時間でした。
私の夢は、もう私一人だけのものじゃない――そんな覚悟にも似た使命感から、出発した今回の旅。それは期せずして、ヒトのあたたかさを知る旅でもあり、自分の覚悟が試される旅でもありました。
ミラノコレクションの夜――私は、一晩だけ本物の「アンテプリマ」になれたような気がします。日本に戻り、シンデレラの馬車はカボチャに戻ってしまったけれど(現実生活に戻ってしまったけれど)、あの日、自分自身と約束していた夢をかなえることができたことを、心から誇りに思っています。

今夜の荻野いづみさんへのインタビューの模様は、また追ってレポートさせていただきますね。まるで「夢をかなえる大人の学校」の特別講義の様な贅沢な内容でしたから――。そしていつの日か、今度は本当に「世界の荻野いづみ」をヒルズのサクセスウーマン講座にお迎えさせていただけるよう、準備を開始したいと思っています。だって「夢への挑戦に手遅れはない」――ですからね。人生は、やっぱり素晴らしい!人生は、BRAVISSIMOです!

翌日、私たちは少しミラノを離れて、遠出をすることにしました。題して「世界の車窓から」ごっこ(笑)。ミラノ中央駅から、列車で向かった先は――To be continued...





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