一昨日のことだがドルインデックスがついに100に達した。
ドルの独歩高が進んでいるようだが、過去には160という高値もあったから、単なる一里塚なのかもしれない。
そういえば、12月の利上げが予定されている米ドルだから、今後も上がるのかもしれない。
このインデックスは対メジャー6通貨のバスケット価格だ。
それが何かというと、ユーロ、円、ポンド、スイスフラン、カナダドル、スウェーデンクローナの六つ。
だいぶ昔に造られたインデックスなので、豪ドルは入っていないし、まして中国元もない。
確か、ニューヨークの綿花取引所(今はNYMEXの一部)に上場されていたので昔はよくトレードの対象にしていた。
このインデックスは、現在の経済力の観点からはちょっと実態とはかけ離れてきているとはいえ、とりあえず米ドルの購買力を示す代表的なインデックスになっているので、結構市場参加者には見られていると思う。
話は変わるが、ドルの強さはアメリカが望んでいるものだろうか?
あまりに強くなると輸入には良いが、輸出には悪影響を及ぼす。
という経済的な話では一長一短がある。
もっとも、米国は日本同様空洞化が進んでいるので、ドル安でも輸出が大きく伸びるとは限らない。
というナイーブな観方もできなくはないが、そんなレベルで米国政府はドル高を評価していないだろう。
米ドルの国力が昔と違って弱まってきていることはみんな知っている事実だと思うけれど、アメリカが絶対に譲れない一線がある。
それが、米ドルの基軸通貨としてのポジションだろうと思われる。
過去の大統領が「強いドルが良い」と言っていた意味は、決して経済の話ではなく、政治的な判断。
基軸通貨としての米ドルを絶対守るという意思の現れではないか?と思う。
現在世界中の貿易に使われている通貨の内60%以上がまだ米ドル。
次がユーロで20%、ポンド、円の順位だ。
そこに、IMFでSDR通貨として最近採用を決めた中国元が入ってくる。
サダムフセインがイラク原油の販売をユーロ建てでと言っただけで、米国に攻められたのはまだ10数年前。
イランもロシアもドル以外で原油を売っているので米国は目の敵にしている。
中国元が米ドルの地位を脅かすようになるには、まだもう少し時間がかかるので、米国にとって目下の一番の敵は金とユーロだ。
金は1971年まではお金の基準だった。
その後米ドルが金にとって替わった。
金は今は急落中。
米国はしてやったりだろう。
金が無国籍通貨と呼ばれたのはまだ数年前のこと。
今はピークから半分に近い価格になって(米ドルベースで)その影もない。
今や、金は単なる黄色いメタルか?
米国はドルが基軸通貨としてのポジションにあるかぎり安泰。