夫の兄が豪州から来ていたが、遂に戻って行った。
義兄は豪州人と結婚して豪州に住んでいるため、私も4年振りの再会となった。
嫁は前に結婚しており、前夫との間に子供が19歳、17歳が2人の3人の子持ちである。
前夫と結婚している頃は夫があまり働かない男であったため、嫁が自分で稼いでいた。
その頃からセレブ結婚に強い憧れを抱くようになっていた。
そうして前夫と離婚、今の夫(義兄)と再婚したわけである。

今の夫の稼ぎが良いため、念願の専業主婦になれた嫁は毎日ジム通い、朝食も外、ランチもワインを飲みながら優雅にランチ・・という生活になった。
昔からの友達は全て切った。
「貧乏人とは付き合いたくない」からである。
こうして優雅な生活を送る友人らをジムで見つけ、それを自分の「親友」として憧れの生活がスタートしたのである。

さて、そんな義兄の子供は義母からすれば滅多に会わない孫である。
義母は今回の滞在中に色んな物を買ってやりたかった。
買い物に連れて行き、パジャマを買ってやろうとしたのであるが、7歳の少年が「僕に安物は買わないで。お母さんが怒るから、結局買ってもらってもゴミ箱行きなんだ」と言った。
ここで義母は、いままで自分が買い送ってきた全ての服がゴミ箱行きであったことを知る。

嫁は豪州に展開する「カントリーロード」というメーカーの服しか子供に着せないらしいが、それが嫁の中のステイタスらしい。生憎、私らイギリスに住む者としては、その「カントリーロード」がどの程度の値段のもので、どんな客層なのか知らんので、さぞかし嫁が気に入っているデザイン性があるのだろうと推測されるが、それ以外の服を仮に誕生日などで貰っても、「これは貧乏人の着る服。あなたが着る服ではない」として、それを他の子供の誕生日に回す。

うちに来た時、この7歳の少年が黒いTシャツを1枚持って来て、うちの息子にとくれた。
わずか7歳が「はいこれ、うちのお母さんから。僕の誕生日にお友達から貰ったんだけど、安物だから、僕が着るべき服ではないって。イギリスの子に持って行けって言われて持ってきたよ」と言った。
行為にではなく、私はその言葉にショックだった。
この言葉を7歳に平然と言える嫁にショックだったのである。

まだ滞在中、この子が珍しくアニメのキャラクターが描かれたTシャツを「欲しい」と言った。
義母が「じゃあ、おばあちゃんが買ってあげるね」と言ったが、彼は迷い始めた。
「着たいけど、こういうキャラクターが書かれた服は貧乏人が着る服だから、オーストラリアには持って帰れない」と言った。
その言葉に深く傷付いた義母は、それでも買った。
結果、オーストラリアへ戻る前夜、「おばあちゃん、これ買ってくれたけど持って帰れないよ」と義母宅に置いて帰った。
義母はこの服をどんな気持ちで片付けただろうか・・・私はそれの方が気にかかる。

義兄はこれを笑って傍観できる人であるから、根本的な価値観が違う人なのだと思う。
が、この子は例えば誕生日会でお友達から貰ったプレゼントを開け「なんだ、安物か・・僕は着ないよ」と言うのだろうか・・・

貰いものを有難く頂く気持ちを教えるべきは親・・と私は自分の気持ちを述べたが、うちの夫が「うちの子供にはそれを教えたらエエ。あの子は兄夫婦の子、それを教えるべきか否かはあの夫婦の考え方」とした。
何ともショックな出来事だった。

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