夕方5時にもなろうかという頃、私は職場のレジ付近で本社から送られて来たメールを確認していた。
するとお客様から「ちょっと!!吐かれてるよ!」と声をかけられた。
吐かれてる?何やろか・・
お客様が指さす方向を見ると、入り口のマットの上にゲロが吐かれてあった。
絶対シバいたる・・!!

その日、店内で一番の責任者がソレを掃除し、私はすぐに警備室に連絡。
警備のオッサンが「店内のカメラ巻き戻して見て。ほんで犯人がどんな服装やったら教えて」と言った。
誰かがゲロを吐く瞬間を見つめるという、この気持ち悪い作業を皆が嫌がったため、私がやる事になった。

夕方4時から巻き戻して見てみる。
4時48分、それは映っていた。
何とオッサンであった。

うちの店のマットで吐き、そのまま何も無かったように通り過ぎた。
首だけ店内に突っ込む形で、通り過ぎたのである。

何度も見、オッサンの特徴を覚え、警備室へと向かった私。
警備のオッサンは「よっしゃ、ほな捕まえに行くこか!」と言った。
えー!!私もかい!!
オッサンは「被害者はアンタの店やから、そらそうやろ。弁償なり謝罪なりしてもらわなアカン」と言った。

日曜の午後、まだまだ人は絶えずいて、1つ1つの店舗の中に入って探した。
警備のオッサンが「せやけど吐いたら、自分のシャツも汚れているやろうに・・」と言い、「シャツの汚れたオッサン探そう」と提案。

5時30分頃だっただろうか、遂にオッサンを発見。
オッサン夫妻はシーツを見ていた。
警備のオッサンが「あなた○○で吐き逃げしましたね」と声をかけた。

オッサンはとぼけた。
警備のオッサンはトランシーバーで応援を呼び、「証拠のビデオを見てもらうから、一緒に来てくれ」と言った。

とぼけたオッサンは「証拠が嘘やったら訴える」と怒鳴り散らしていたが、ビデオを見る前になり「吐いた記憶がある」と言った。
いやいや、オッサン吐いとるからね、実際問題・・

記憶のあるオッサンは、遂に「吐いたのは吐いた」と言い出した。
しかし「どこで吐いたか覚えてないから、謝罪しなかった」と言った。
ビデオを見せ、「明らかに首だけ店内に突っ込んで吐いとるやないかい!!」と警備のオッサン集団に怒られ、記憶のオッサンは謝罪した。

警備の主任から「あんた、ワシと同じ歳くらいのエエ中年なんやから、吐いたら吐いたでちゃんと謝罪するなり、自分で掃除する姿勢は見せんとね・・・」と言われ、記憶のオッサンは「気を付ける」と言った。
汚れたシャツを着て、記憶のオッサンは駐車場へと消えて行った。

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