Diamonds

いつもグルメ番組を見るとき、リポーターが発するドキっとするフレーズがある。
特に海鮮類を口にした一言目。
「プリプリ」ですねぇ。

プリンセスプリンセスのファンで、同じ思いをしてる人はいるだろうか。きっといるはず。
プリプリですねと言うのであれば、「ダイヤモンドだねぇ～♪」とか、もっと気の利いたこと言えないのかと。
とにかく、このフレーズが発せられる度に、モヤモヤしていた。

だが、今日なんと、このモヤモヤがあっさりと解消された。

何気なくテレビを見ていたら、伊勢エビを食べ、リポートをするお笑いコンビのドランクドラゴン。太ったほうがエビを一口入れ、「プリンセスプリンセス！」と言った。
確かに言った！
すると相方の眼鏡が、「プリプリ！」「ダイヤモンドだねぇ、いくつかの場面だよ！」と言った。

その瞬間、私のなかでドランクドラゴンの株は、上がりに上がった。


プリンセスプリンセスと私の出会いは、あまり良いものではなかった。
あれは、小学生の頃のある日の朝。
ボーンボン、ボンボボーン・・・隣の部屋のリビングから聴こえる不規則な重低音で目が覚めた。
文句を言いにパジャマ姿のまま行ってみると、ビートルズ好きの父が結構な大音量でテレビを見ていた。
そこに映っていたのは、やんちゃな感じがする５人の女の子達だった。
「ちょっと、ボンボンうるさいよ」と言う私に父は、「あ、それはベースの音だな」と冷静に応え、画面をみながら淡々と説明をして部屋を出て行った。
ひとり残された私は、気がつけば歌番組の録画テープを何度も巻き戻して、やんちゃな彼女達が演奏する『Diamonds』を繰返し見ていた。

父が何故、朝からプリプリを見ていたのかは不明だ。私に見せたかったのかも知れない。


とにかく、その朝から現在に至るまで、プリンセスプリンセスは私の音楽の軸のような存在だ。
彼女達は、解散したが、東北大震災があった翌年、１年間だけの期間限定で、復興支援を目的に復活した。その活動で得た義援金を使い、仙台市にライブハウスを設立しり、被災地に色んなかたちで寄付をした。

復活した年、彼女達は北海道の夏フェスに来てくれた。そこで、16年ぶりに生の５人を見た。
嬉し過ぎて半泣きで見上げたステージには、やっぱりやんちゃで、キラキラした５人がいた。