エレGY (講談社BOX)/泉 和良
¥1,365
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(あらすじ)

『この日記を見た女の子は
今すぐに、自分のいやらしいパンツ姿の写真を携帯で撮って、
メールで僕に送ってください!
直ちに! 早く!』

フリーウェアゲーム作家「ジスカルド」こと主人公の泉和良が(普段は健全な)自分のブログに半ばやけくそ気味に打ち込んだ文章になんと女子高生から自分のパンツ画像が添付されたレスが返ってきた。

エレGYと名乗るその少女は熱烈な自分のファンだと言う。
彼女のエキセントリックな魅力に次第に惹かれていく主人公。
しかし彼は創作者である「ジスカルド」と主人公本人である「泉和良」との間のギャップにエレGYが失望するのではと悩み、なかなか彼女に心を開くことができない。

そんなことはつゆ知らず、激しく(半ば病的に)アプローチしてくるエレGY。
不器用で、少し独りよがりな二人の恋の行方はどこに落ち着くのか?



(感想)

アマチュアバンドにファンがつくように、ゲーム作家にもファンってつくんだー。面白いなー。と思いながら読んだ。主人公がゲーム作家でなく、バンドマンだったらどこかで読んだような、ありきたりの恋愛小説になっていただろう。
一行一行が短い、ケータイ小説に近い文体は、嫌いな人もいるかもしれないが、現代の若者を描くには適したものだと思う。
本編の「誰か一人のために作品を作る。衝動はその人を喜ばせたいという気持ちのみ。その人からの賞賛によって全てが報われる……」という一文に大いに同感。
何かを創作するという行為の基本ってこれだよなぁと思った。

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ツクツク図書館 (ダ・ヴィンチブックス)/紺野 キリフキ
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おもしろくない本しか置いていない図書館のお話。
不思議なエピソードが小さな数珠のように連なって不条理世界を構成している。
着ぶくれの女は絶対に小池栄子。

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さよならアメリカ/樋口 直哉
¥1,260
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アメリカの話ではない。
袋で顔をすっぽり覆って生活する「袋族」の青年の話である。
まぁ、けっこうアレな人の話なのだが
そういう題材のほうが文学作品として扱いやすいのかもしれない。
袋をかぶって読んでほしい。

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DSJ―消える街/ふかわ りょう

¥1,260
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それまで自分の周りにあったものや人が少しずつ消えていく・・・。

何かを忘れているような気がする・・・。 だけど思い出せない。そんな奇妙な物語。


ファッション雑誌に掲載されていた一話完結の物語を集めた「消える街」に加えて
その奇妙さを補完する解決編として書き下ろしの「DSJ」が収録されている。

最初ページを開いたとき、2段組だったのですこし引いたが
テンポがよく、なおかつシュールな台詞回しでページがどんどん進む。
逆に会話文主体でほとんど描写がないのに物語のシーンが浮かんでくる不思議な小説。



ところで、本編にほんの2~3行だけ出てくる
「喜劇王F」というのはやはり著者本人のことなのだろうか?
海岸で一人泣いてるし。

フリッカー式 <鏡公彦にうってつけの殺人 >/佐藤 友哉
¥750
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(あらすじ)

がレイプされた上に首を吊って自殺した。
半ば狂人と化した鏡公彦は「復讐」の二文字に導かれ
スタンガンを片手にレイプ魔たちの愛娘の捕獲を開始する。

一方、77人もの少女が犠牲となり街中を震撼させている
連続殺人鬼「突き刺しジャック」は未だに街中を徘徊していた。

二つの狂気はいつしか重なり合い「物語」の真の姿を映し出す。


(感想)

場人物のほとんどが狂っているくせになぜか
各々の喋るセリフや思考がクールで
「イカれた村上春樹作品」といった印象。

ところどころにマンガやアニメのネタがちりばめられていて
わかる人はかなり楽しめると思う。

ただ、マンガ・アニメに疎くて
設定がキッチリとした本格ミステリーが好きな人には
少し物足りないかもしれない。

個人的には久しぶりに狂った世界を堪能できて満足。

親より稼ぐネオニート―「脱・雇用」時代の若者たち/今 一生
¥777
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アフィリエイトやオンライントレーディングなどで成功したニートの人々を
「ネオニート」として紹介し、会社に雇用されることなくお金を稼ぐ彼らのスタイルに
「働くこと」への新しい可能性を見出そうとしている斬新な一冊。

これからの自分も模索しているニートの人はもちろん
不安定な雇用状況が進む中、
「収入減にそなえるリスクヘッジ」として全ての働く人にとって参考になることだろう。

本文中の

「低収入(会社なのど仕事)と自営収入(ネットビジネスなど)
という両輪を揃えたハイブリッドな働き方」

というスタイルがこれからの新しい働き方になるのもそう遠い将来ではないように思える。







赤×ピンク/桜庭 一樹

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赤×ピンク/桜庭 一樹
¥672
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廃校の校舎を改築した非合法ファイトクラブで働く
三人の女の子を主人公にした連作短編。
各話でダブるシーンがあって
それを各主人公の視点で楽しめるのが楽しい。

表紙絵が高橋しんだったのと
「“まゆ十四歳”の死体」という第一話のタイトルにやられて購入した。
しかも、まゆちゃん実は二十一歳だったし・・。

三人ともそれぞれ生きることに悩んでいて
格闘技をしているときだけそれを忘れられて
素に戻るとまたウジウジ悩んだりといったリアルさは
作者が実際に極真空手有段者で女性であるからこそだせるんだろうなぁ。


「LOVE JOBS」というサイトでタイトルどおりの面白動画が配信されています。
ちょっとした短いドキュメンタリー映画みたいな雰囲気です。
市場でのマグロ解体から始まり、犬の散歩やはたまたフットサルの助っ人まで
「それバイトになるの?」というものまで怒涛の14連チャン。
はたして一日でいくら稼げたのか?







「姉飼」 遠藤 徹

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姉飼/遠藤 徹
¥460
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串刺しにされた「姉」を、文字通り「飼う」という狂ったお話。

“読後、嫌な気持ちと「キュン!」と胸をしめつけられるよな切なさが残る。
気持ち悪くて胸キュン。何だこれ?”

という大槻ケンヂ氏の解説が実に的を得ている。


その他の短編3作も読み応えあり。それぞれ気持ち悪くて胸キュンである。
特に「キューブ・ガールズ」は近未来にありそでなさそな、
ウソなのかホントなのかの境が曖昧で自分の好みだった。

「太陽の塔」 森見 登美彦

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太陽の塔/森見 登美彦
¥420
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モテない京大生がかつて恋仲であった(?)女の子を「研究」と称してつけまわしたり
大学行かないでブラブラしたり
やはりモテない友人達とつるんで飲んだり、どうでもいい話をしたり・・・。
なんともない日常なのに、ほのかに幻想的。
むさくるしい男とファンタジーという相反する二つの奇跡の融合。

てっきりヒロインの「水尾さん」をつけまわしているうちに
彼女と何かラブストーリー的展開があるお話だと思ったら
ほとんど水尾さんは登場せずに、終了(w)。
でもそんな男汁あふれる主人公の日常に好感を抱いた。
そして好感を抱いた自分に気付き、少し泣きたくなった・・・。