日日日, 中村 佑介
ピーターパン・エンドロール

◆                                  ◆

     すべてのウェンディは大人になってしまう

 構想3年、執筆1年。日日日、渾身の書き下ろし

 ――大人になれない少女と、大人になりたくない少女の、

    夢と冒険、妄想と現実の物語。

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リニューアルしたラノベレビュー。1回目からラノベじゃねーじゃんとかいう話になってますが、まあラノベとその周辺というか関連するものっつーことで許してください。


◆ 独特の“咀嚼できない”雰囲気


日日日先生は角川スニーカー・MF・ファミ通・徳間デュアルでのライトノベル作品の他にこの作品のような新風舎文庫での非・ライトノベル作品3冊を発刊しています。

(碧天舎で「私の優しくない先輩」も発刊していますが倒産してしまいましたね……)

そのような非・ライトノベル作品は世間的にはジュブナイル小説に分類され、区別がなされています。

とはいっても「蟲と眼球と白雪姫」はこの作品と関連性があったりもしますが。

さて、恋愛ものの「私の優しくない先輩」を除いた新風舎文庫での3作品(「ちーちゃんは悠久の向こう」「うそつき」と今作)について。

3作ともよくわからない人物が登場し、その人物を中心に物語が展開していきます。

明るかろうが暗かろうがわかりやすいライトノベル作品の雰囲気とは全く違い、決まって一瞬は「何がしたいんだろう」「何が言いたいんだろう」という気分にさせてくれます。

読んでみれば解るはずなので未読の方は今作に限らず他の2作でもいいので手にとってみることをお薦めしておきます。

◆ 駄文書きから見たところの文章力


まがりなりにも、見よう見まねで小説なぞを書かせて頂いてますので、先生の文章力・速筆力などは羨ましいばかりだったりします。まあ土俵が違うというか人間としてのアレが違うとか言ってしまえばそこまでなんですが。

セオリーに収まらない部分が(良くも悪くも)魅力だと思いますし、そう言われるところだと思います。

この作品について言えば、まず惹かれるのは一人称で“丁寧語”という文体。

地の文が丁寧語で書かれつづける文章を小説にするのは(少なくとも普通よりは)難しい、といいます。

そして地の文――語りが多い。まあラノベとは異なるので当然かもしれませんがキャラクターではなくその世界に引き込むような文章です。

◆ 遅ればせの世界観・キャラ紹介


主人公は御前江真央(みまえ・まお)。この世のすべてに違和感を覚えているような、高校生で小説家。

腹に何かがいるような、“悪意を妊娠”しているような感覚。他人がすべて同じに見えるような感覚。

そんな感覚に苛まれている真央は、ピーターパンのような不思議な女の子と出会います。

そして起こる、現実だけど現実ではない。そんな物語です。

◆ ピーターパン・シンドローム


ピーターパン・シンドロームの語呂だな、と手に取った瞬間に思いました。

ピーターパン・シンドロームとは、大人になれない、大人の社会に適合できない大人のこと。

裏表紙の宣伝文にもそれを思わせるような一節がついています。

主人公である真央は前述したような妙な感覚を自己認識してはいますが、読者の側から見ると(もしもフィクションでなければ少なくとも)他者を、世界を拒絶しているように映ります。

ただ、一人称という文体の性質上、その『強烈な妄想』である(ような感じの)真央の認識はどんどんと倒錯、エスカレートしていき、そこに引き込まれる感のある作品になります。

ただ、ラストでは一気にすべてが僕たちにとっての“現実”を一気に取り戻す、といった感じなのですが。

◆ エセまとめ~作者は10代


日日日氏は発刊時まだ10代。立派な「若者」です。

いつの時代もそうなのかもしれませんが現代の若者は年長者から全体的にはあまり良く言われてはいません。

このレビューで僕は引き込まれる引き込まれるとは言っていますが、たとえば今の時点で僕が先生よりずっと年上の“大人”だったらどうでしょう。

多分、(今作だけでなく)受け入れられないんじゃないかなー、と思います。

若者は(特に高校生までは)押しつけ型の世界を生きていると言えるのではないでしょうか。

その中ではほとんど一人残らず、その“体制”に対する不満とか、そんなものを持っています。

もし僕もそこに共感を覚えているとしたら、すべてに納得がいく気もします。

できればの話、読むとしたらできるだけ早くがいいように思います。

死ぬまで人は学び続け、精神的な蓄積は日々増していきますが、その一方で“若さ”だけは失われていくものだと思うので。

その“若さ”が、この作品を読むためには必要だと思うので。

僕自身よく後輩とかと話してると「若いなぁ」なんて思ったりもしますが……それは違うか。

単なるひねくれか。そう思っとくか。

一応現在のジャンルである「本・書評・文学」にまだしがみついておきたいと思うので、こちらのレビューも復活させてみました。

ものごっつい時間かかりますが突っ走ります。できるだけ。できるだけ!!

まあ小説も書いてますしそっちをメインと言い張ることもでき……ゲフンゲフン。

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