秋吉 由美子
まつのべっ! 1 (1) (まんがタイムコミックス)
まつのべっ! 2 (2) (まんがタイムコミックス)

おひさしぶりの漫画レビュー。
今日は語りますよ。

◆ とりあえず、出会いから。

秋吉由美子先生の作品は「自由な女神」での竹書房進出あたりから読み始め、とりあえず今は「はるなちゃん参上!」を全巻持ってる感じです。
絵柄は4コマ誌にピッタリ、ネタとしてもわかりやすく、またキャラオチをきちんとこなして、どこかいい感じに力の抜けた作風と合わせて好感を持ったのを覚えています。
そして(一気に飛んで)きのう。
家にいて煮詰まってきたので何となく書店に出かけると、品揃え最悪のミニ本屋なのに2巻とも揃っていて、しかも財布の中にはお年玉を切り崩した五千円が入ってました。

買うしかない。

いやあ、衝動買いって、本当にいいもんですね。

◆ 作品について

“まつのべ”とは主人公の名前。松延彩人くん、幼稚園の先生です。
それがどうしてタイトルになるのか。それは瀬能千景ちゃん(5さい)にそうやって呼び捨てられているから。
でも彩人はまんざらでもないというか、どうしても止められないというか。
理由としては、千景が昔突然姿を消した幼馴染の大園皇香さんの当時にそっくりだから。
そして皇香さんは今や超人気女優。15年以上の時を超えて再会した彼女は、ブラウン管の中の人だった、みたいな。

◆ 展開に次ぐ展開、そして

とりあえず、帯コメを引用してみます。
(1巻表)
君は覚えてる?
もう一度会いたい…。終わらない、初恋物語。
誰も読んだことのないドラマチック4コマ
全2巻同時発売!
(1巻裏)
忘れられない人がいます。
突然姿を消した幼なじみの彼女が超人気女優に!?
もう、昔のようには会えないのかな…?
連載から10年、ファン待望のコミックス化!
完結編第2巻も同時発売!!
(2巻表)
やっと会えたね。
すれ違う気持ち、遠ざかる心…。急展開の完結編!!
誰も読んだことのないドラマチック4コマ
全2巻同時発売!!
(2巻裏)
丸くおさめるには
ウソ言うしかなかったの

再会した幼なじみから言われた信じられれない言葉。
もういないのかな、女優の君しか…。
連載から10年、ファン待望のコミックス化!


極めて大筋な展開としてはこの帯コメが語るそのままです。
見てとれるようにストーリー4コマです。
帯には千景ちゃんのちの字も出てきてません(苦笑)

これ以上語ると野暮になる、ってことにさせてください。

◆ 魅力とか。

10年近くにわたる長期連載。ストーリーだけじゃ立ちゆきませんし、そもそも1回1回に何らかの面白味がなければ連載として続くことは難しい。
前述の通り先生は“ちゃんとした”4コマを描ける人なので、その辺は心配いりません。
ストーリーがどんなに佳境に入っても、ちゃんとネタとして成立しているものを交ぜているところは、それが当然ながら好感を持ちました。

正直なところを言わせてもらえば、展開は、読めます。
ぼんやりした真相は、1巻を読んでいる段階で僕の中にありました。当たってました。
アクション。サスペンス。人間ドラマ。
そういうのはきっと、コマ割りの自由な一般コミックのほうが得意でしょう。
4コマのいいところは、4コマ(まあ時には8コマとかありますが)毎に区切られること。
その良さを活かすには、一般コミックとは一線を画す何かが必要になります。
繰り返し繰り返しになりますが、それが出来るうちのひとりが秋吉先生であり、「4コマのいい所を全く無視した描き方」と先生は言ってますがもちろん連載初期はそんなことなく、最後までギリギリのバランスを保って走り続けた。
そこは4コマ作品としても評価されるべき点だと思います。

◆ 4コマ史の中で

作品のレビューとはずれますが、ちょっと言いたいことが。

最近はまた日の目を見ているというか、連載も増えて幅広くなり、詳しい事情は知りませんが確実に人気を得ているのだと思います。
ただ、一時ちょっと後退していたというか、時代の波に押されて4コマ誌の中でも空気のような存在となってしまっていたように思います。
堅実さが仇になるという、あってはならない展開。絵柄だけを見て目を引かれるという点では、きっと他の作家さんが上回ることもあると思います。
芳文社の方針もあるんでしょうが、単行本化もストップ、表紙からも外れ、コレクションにもローテ入りとまではいかず。

絵は確かに新しくない。
常識を打ち破るような新しいカタチでも、もしかしたらない。
でも、萌えとか特殊すぎるシチュものとか安易な変化球とか、そういうものが前面に押し出されて目を引いて人気をさらう、そんなこともあり、商業的な理由からそれが必要とされることもある4コマ界ですが。
大げさなことを言うように思われるかもしれませんが、そんな4コママンガがいつか必ず帰ってきたくなる場所、それが秋吉先生のようなオーソドックスな現代4コマなんだと思います。

◆ まとめかもしれない

ただ、この作品は僕の言うオーソドックスからいくらか外れたものだと思います。
しかし“ちゃんとした”4コマを描けるからこういうものを4コマというフォーマットの中で描いていくことができて、極めて少ないストーリー100%の部分以外はちゃんと良さを出せている
満足いくまで描いた後は(結果論とタイミング、そして運もあったでしょうが)、こうやって別格の扱い(1冊あたり258ページ)で単行本化してもらえる。で、僕みたいなのも読んで感動できる(自己中心的)。

いいですよね、そういうの。


久しぶりに味わった“ページをめくりたくない”あの感じ、
2000円弱と3時間以上の価値はありましたね、金欠と宿題ノータッチという問題を抱えていても。

◆ 明らかな蛇足

いつもの残念な目線から付け足しておきます。

園児(っつーか千景ちゃん的な)キャラだいすき。
いや、そこまで露骨でもあざとくもないんですが、いい感じですよ、しっかりものの女の子。
連載で1回ごと読んでたら、このあたりが見どころだったんでしょうね。
後半で唯一残念だったのは、作品の中でのストーリーの比重が増えていくにつれて千景ちゃんの出番が減ったこと、ですかね。僕の中では。


あ、誤解のないように付け加えておきますが、絵は上手いです。
長期連載にありがちなもはやどうしていいのか解らなくなるほどの絵柄の変化もなく、単に上達しているだけの話であって、まとめ読みしていても違和感が全くありませんでした。

ただ、例えば表紙買いしてしまう絵柄ではないかな、と思っただけで。
僕は(秋吉先生を知っていたということはあっても)完全な帯コメ買いでしたがね。

残念なほど恋愛ものスキー、残酷な天使の憂鬱でした。
騙されたと思って読んでみてください。
4コマファンなら、損はしません。
4コマファンでなくても、損はさせません。

では。
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小坂 俊史
ハルコビヨリ (1)    ハルコビヨリ (2)    ハルコビヨリ (3)


やっぱり休みの日じゃないとレビューはなかなか難しいです……

記事ひとつあたり1時間弱かかるんですよ?

と、まあグチとともにお久しぶりのレビュースタート。


◆ 引き続きあまのじゃく


以前の「サイダースファンクラブ」の回で小坂先生を語るにはデビュー作「せんせいになれません」を外しては語れないと書いたにもかかわらず今回も回避です。

理由?特にありません。好きにさせて下さい。仕方ないんです。

ゴタクはこの辺で、まあ挫けずに設定の説明をば。


タイトルだけ聞くとあまり内容の想像がつきにくい作品だと思います。

ひとことでまとめると“同棲カップルもの”。

同じような言葉があてはまるマンガはたくさんあると思います。ありますよね?

ですがその中で一番、なんというか言葉の響きとはかけ離れたものといいますか。

他の作品について知っているわけではないんですが、そんなことを自信を持って言えます。


主人公となるカップルは里見靖と永井ハルコ。両者24歳です。

大学のサークル(バンド系)で知り合い交際スタート、数年の後に同棲を始め、社会人となった今も続行中。

……という設定があるものの、まともなのはそこまで。

まともじゃない原因はハルコにあります。

とにかく破天荒な性格でガサツ、酒好き、大食、腕っぷしも○。

そんなハルコを時に受け流し、時にぶつかり、しかし概ねおもしろおかしく同棲ライフを続けているふたりです。

ハルコの酒飲み友人山内恵、靖の職場での後輩児玉一晃、家賃ネタほかでたびたび登場する大家さん、そして靖に一方的に片思い中の横田さん。その他の登場人物といえばその位で、安易に多くないのはとにかく好感です。


◆ キャラオチの多彩さと反比例できる登場人物数


その登場人物についての話を。

4コマネタの定番といえばキャラオチ。とにかくキャラオチ。

単に4コマであるだけならまだあるあるネタとか他の方式もあるというものですが、キャラクターに人格を与える以上キャラオチにせざるを得ない部分が4コマにはあります。

そして想像通り9割5分はキャラオチ、そしてその九分九厘にハルコ絡みます。

文字通りの“ハルコビヨリ”が続いているわけですね。

脇役は脇役というしっかりとした線引きがなされている点も○です。


◆ 連載展開方式


ストーリー的なものではなく、しかも実力派で人気も申し分ない(まあ媚びた絵柄ではありませんが)ので竹書房さんもけっこううまく使ってます。

くらオリで連載をスタートさせて以後、ライオリでの連載もスタート、のちにくらオリでは連載終了し「やまいだれ」に移行、現在ではライオリのみでの連載となっています。

複数の雑誌にまたがっての連載といえばみずしな孝之先生「幕張サボテンキャンパス」から重野なおき先生「Good Morning ティーチャー」とストーリー系の系譜が真っ先に浮かびますがやはり追いかけていくと時期的な矛盾、設定の変化への対応などかなり作家さんにも読者にも負担を強いるものであると思います。

(ex.今月号ライフ・くらオリの「Good Morning ティーチャー」における舞先生登場タイミングの処理)

サボキャンはくらぶとくらオリということでおよそ半月のラグがありましたが、ライフとくらオリ(グッティー)の発売日はほぼ被ってると言っても良いタイミングなのでなおさらです。

が、こういったタイプの作品は複数誌での展開はしやすくしかも適しているように感じます。

ネタが出てくる限りは色褪せていかない強力なキャラクター、ネタの使い分け(ex.ライオリ→横田さん/くらオリ→大家さんのラス2枠決定ネタ)、そしてなによりその作品のファンには月2回読めるうれしさ、と。

小池恵子先生「ななこまっしぐら!」においても同じようなことが言え、しかもこちらも片方は別連載に移行してしまいました。

もう少しこんな感じに連載できる(純“4コマ的”な)実力派の先生がいれば4コマ誌の展開も安定してくるんじゃないか、と思います。


あ、あと個人的には大家さんネタももうちょっとちょくちょく見たいです。


◆ まとめ


ファンとしてはあんまり難しいことを考えてもいけない(4コマならなおさら)とも思うんですが、今回も考えたことを吐き出させていただく感じのレビューになってしまいました。

とかくこういう作品は誌上では“空気”になってしまいがちですが(ストーリー展開がないから)、その分単行本にも良さが出てきやすい面もあると思います。

毎月ライオリ買ってるよ、な人はまだしも、ライオリは時々覗くだけでハルコビヨリも知ってるには知ってるけど……な4コマファンのあなたに(居るのかよ)特にオススメしたい作品です。是非単行本を。


結局ちょうど1時間かかりました。

次回はおそらく山東ユカ先生「ヒミツの保健室」。それではこのへんで。

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小笠原 朋子
悪の生徒会長 1 (1)
悪の生徒会長 2 (2)

ちょっと間が開きました。新年度はしんどいです……

つーかぶっちゃけやる気もでnでも負けずにバリバリ行きます!


◆ 設定とかシチュとか


長らく読み切り掲載が続き、まんがライフMOMO創刊時に連載となったこの作品。

中身は、と言いますと……まさかの暴君ガールもの。よりによってMOMOに……ゲフンゲフン。

一応の主人公は藤田祐一。生徒会長日下部めぐみのイヌです。

もともと表向き清楚で可憐で一生懸命なめぐみに憧れていた藤田ですが、ふとしたことでめぐみの裏面を知り、そしてそのめぐみに捕まってしまいます。

動機は……めぐみ自身が藤田を気に入っているから。

めぐみが(力押しで)藤田に一歩近付いて、でも藤田の気持ちは一気に離れたところから物語スタート。

しばらく設定も物語面でもふらふらしながら読み切り掲載が続きますが、正式連載分よりその他の設定も確立。

書記でめぐみの幼なじみでこちらもあくどい女王様丘野周子、副会長で根っからの善人鷹野晃、昔はめぐみや周子にいじめられていた地味な拷問器具好きの会計長谷川和馬、そして藤田の中学時代の後輩谷本夕菜、生徒会の悪事を暴こうと必死な新聞部の島津由希と脇を固めるキャラもしっかりしてきます。


◆ 物語形式を分類してみる


4コマですのでいつも通り(?)に分類してみたいと思います。

以前に紹介した同氏「さくらハイツ102」よりはストーリー要素は少なめ。

つーか、引き継がれているのは初期設定(ライトにめぐみ→藤田)ぐらいで、特に進展はみられません。

最終回のめぐみ任期満了までさほど展開しないままで終わってしまった感も。

ただこういうのが本来の4コマなんだと思いますしなにより小笠原先生の面白さも失われておらず、パワーのある設定で手堅く“4コマ”を描き続けたと言えるのではないでしょうか。


◆ めぐみの傍若無人っぷり


この作品についてあえて語るといえばその一点になるでしょう。

教師陣を手玉にとっていざという時は好き放題、タバコも酒もお手のもの(読み切り時のみ)、予算をちょろまかしてハワイにまで行き、しかしボランティア活動や偽善的行動で外ヅラは完璧。

個人的にツボだったセリフは2巻P82、めぐみと周子が10歳の時の会話。

「やっぱ石油かなあ…」(めぐみ)「んー でもいつか枯渇するしねぇ…」(周子)……天性の傍若無人ですね。

まあそんな面も編集&作者さんの意向もあってだんだんと角が取れていき……

結局矛先はだんだんと藤田が中心に。やっぱりなんかかわいそう。

でも、好きなんだからしょうがないよねッ☆(てへっ……というのはさすがにキモすぎますが、まあぶきっちょさんなんですよこのめぐみさんは。


◆ まとめ


間が開いたので感覚が戻らないんですが、なんとかがんばりました。

これからもしばらくは週1以下のペースになると思います。


僕はシチュエーション4コマに必要なのは“バランス”だと思います。

現実に即したありがちな設定だと第一歩で惹きつけられない。

あまりにも突飛な設定だと誰もついて行けない。

世の中にたくさんある高校、たくさんいる高校生。どんな高校にも存在する生徒会。

そんな元はありふれた存在に明確なキャラクターを与え、前述両極端のちょうど真ん中を行った良作です。


てか、いま僕めぐみと同い年なんですね。立場的には似てなくもない。

金と権力が欲しなんか面白いことでも起こんないもんでしょうか。


それでは今回はこのへんで。

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むんこ
らいか・デイズ 1 (1)   らいか・デイズ 2 (2)   らいか・デイズ 3 (3)   らいか・デイズ 4 (4)

もう5巻が出る……ということで金銭的に心配な4巻までレビューです。



◆ 何もかもが現代4コマ向き


金銭的な理由もあってすべての作品を追えているわけではないんですが、このむんこ先生は僕の大好きな4コマ作家さんのひとりです。

この作品はむんこ先生の既読作品の中で最も好きな作品になります。


設定としては非現実的なまでに超優等生な春菜来華(小6)を中心としたもの。

学級委員長、児童会長などの仕事のみならず友人の指導や教員その他大人の面倒まで見てしまうという来華。

ただ、恋愛・図工・家庭科など苦手分野もあり、その辺味のあるキャラクターに仕立てられています。

激しくライバル視しながらも恋心を抱くクラスメイトの竹田将一、転校生で来華ほどではないまでも優等生、そして体格も精神も大人顔負けのマッキーこと浦辺蒔奈と脇を固めるキャラクターも設定が掴みやすくまた味があり、それぞれにまた葛藤や裏設定もあって素晴らしいの一言と言いますか。


表紙を見て頂ければ解るように“4コマ風”の絵です。巻を重ねデビューから年月を経る毎にキャラは丸く縮んでいき、その傾向は強くなります。ただ絵柄にそれほど大きな変化があるというわけではなくその辺りも好感。

作風としてはとにかく設定オチが多くあるあるネタなどは少なめといったところ。

来華はその優等生・天才ぶりやその裏にある無邪気さや不器用さ。

竹田はとにかく来華をライバル視した部分、そして自分に正直になれないこちらも不器用さ。

蒔奈はお嬢様ネタや先生に一方的な恋心を抱いているネタ、そして美人ネタ。

その他担任の先生や更に脇役、来華や竹田の両親などもキャラがぶれずに世界を作るので安定した印象はあります。

ともすればマンネリになりかねない作風ですが、そこに果てしない魅力を付け足すのがむんこ先生の真骨頂、“しんみり”したシリアスさ。

次回に繋がっていくストーリーはないもののつけた設定オチや時期的なもの、裏設定などを絶妙に織り交ぜて短編映画のような展開に持って行く。ここがとにかくいい。

キャラクターや絵柄が持つ味とともにほっこりした読後感を与えてくれます。


◆ もはや定番の私的4コマ論


もともとストーリーものを投稿していたが箸にも棒にもかからなかったという経緯があるそうで、前述した作風にもそれが現れているように思います。

2~4巻にはサイドストーリー的な非4コマ作品も収録されています。

こちらは4コマ的要素を取り払った(笑いを誘うオチのない)ものですが4コマと同様魅力は十分。

ただ、絵は4コマ向きであることに変わりはなく、4コマとは出会うべくして出会ったんだな、と思わせられました。

そして4コマの中にそういった才能を埋め込んで発信していく才能もあった。

数誌で表紙を飾り、連載を何本も抱え、本格的な4コマ誌デビューから約4年で9冊目の単行本を出すに至ったのはもはや必然と言えるかも知れません。


と、絶賛してみたのですがどうでしょう。正直な気持ちです。


◆ まとめ放棄。


いやぁ、事前準備なくレビューしようっつったって無理がありますよね。

ぼちぼち春休みも終わりますから怒濤の連発レビューはこの辺にしときます。

そろそろ宿題にとりかからなくてはwということで。


新学期からはおそらく週末に1,2作程度のレビューになっていくと思います。

高2になって宿題が増えることは容易に予想されますし、まあそんなに熱を入れて勉強する気はさらさらないんですが小説も書きたいですし。

ということで、まとめを放棄して今日はこのへんで。

   
藤島 じゅん
コンビニぶんぶん(1) コンビニぶんぶん(2) コンビニぶんぶん(3)

結構前に完結した(最終巻2005年7月初版発行)作品ですが、藤島じゅん先生を語る上で外せないと思ったので。


◆ 連載デビュー作


まんがライフMOMO「あぼばクリニック」などで活躍中の藤島じゅん先生の初連載作です。

以前紹介した「のの美捜査中!」の重野なおき先生の奥様でもあります。

ゲームアンソロジー畑からの竹書房4コマデビューという来歴もあってか絵にもネタにも台詞にもキャラにも勢いがあって作風的には好きです。

多少絵がごちゃごちゃすることもありますが見にくくはならないのがまたよろしいかと。


この作品は設定的には売り上げがイマイチのコンビニ、“ぶんぶん”で繰り広げられるお話。

メインキャラは少なめで六条麦千代(19歳)と須布らいと(同上)の大学生バイトふたりと女性店長・午後乃みるく(28歳)、そしてらいとの妹須布りんぐ(16歳)ぐらいでしょうか。

名前からして直球な感じですが設定も強烈。

麦千代は女好きのロリコンだが頭が切れ、らいとはどうしようもないバカで貧乏、店長はバイオレンス系の残り物でりんぐは天然癒し系。こちらも完全に直球ですね。

あ、あと出てくることはあまり多くないですがらいとは店長が好きだったり。


◆ とにかくパワフル


繰り返しになりますが絵はパワフルだわセリフ回しはすごいわでとにかく元気なイメージがあるこの作品。

効果音や写植を使わない(吹き出し無しの)台詞などは全部太めのペン1本でばばっと書いてしまう豪快さ。

強調するもののコマ占有面積がとにかく大きい。しかも手抜きも豪快

力ばかりでなくネタもしっかりオチもしっかりしていて、それを作風で更に魅力的にしている感じですか。

とにかく好きな作品という欲目があるのかも知れませんが、全体的に4コマとして優れていると思います。


◆ 願わくば……


僕がまんがくらぶオリジナルの購読を開始した最初期に連載していたこの作品はそういう事情もあってかなり僕の中で愛着のあるものです。

最初の数ヶ月だけでしたが、半分より少し後ろあたりに掲載されているこの作品を最初に読んでいたことをおぼろげながら覚えています。

それなのになぜかばたばたと終わってしまった印象で(同列に山東ユカ先生「みことREADYFIGHT!」など)すごく残念に思ったような。

しかもこれははっきり記憶しているのですが、最終回を読んだところでそれが最終回であることを知り頭をガンと殴られたような気分になりました。

もともとこういう予定だったのかな、とも思いましたが作者さんは「とりあえず第1部完ということで」(3巻あとがき)とか言ってますしどうなのかなあ、と。

3巻分、6年の長期の部類に入る連載だと思いますがもっともっと続けられた印象が。

もう少し、いやもっとたくさん読みたかったです。


◆ まとめ


新刊書店でこの作品を見かけることも少なくなってきました。

また、パワフルな作風ゆえ肌に合わない方もいるかもしれません。

でもMOMO連載中の「あぼばクリニック」などで藤島先生の作品が面白いと感じた方には読んでみることをオススメしておきます。

藤島先生の魅力が真っ直ぐに出た良作だと思いますので。

書店にない場合は↑のリンクからamazonで買って頂ければ僕に紹介料が注文してでも是非。

みずしな 孝之
けものとチャット (1)    けものとチャット (2)

ようやく来ましたみずしな孝之先生。

他に扱いたい作品はあるんですが、まあまずは連載中のこちらを。


◆ 原点回帰の新しさ


みずしな先生のデビューは野球4コマ「混セでSHOWTIME」、野球4コマです。

その後の「ササキ様に願いを」、「幕張サボテンキャンパス」、「戦え!アナウンサー」などの4コマ作品でキャリアを積み、人気も高めていきました。

どれもが出世作、人気作という中で、多彩な設定にも関わらずそれらの作品に共通することは、登場人物の多さ。

野球ものは勿論ですが、その他の作品でもだんだんと人物を増やしていく傾向にあります。

また、「幕張~」や「戦え~」の最終期は特にですがストーリー性が強い。

その傾向をいっそう強くした「チクチワワ」の連載終了後、連載を開始したのがこの作品です。

作品の性質について述べますと、前述した傾向とは全く逆行しているように思います。

設定としては“猫と話せる女の子”毛野本茶々(けのもと・ちゃちゃ)が中心。

その他猫大好きの親友・東深冬(あずま・みと)、猫好きながら猫に完膚無きまで嫌われる生徒会長。

この他にも生徒会役員で2人ほど登場しますがそれほどキャラが設定されておらず、登場する猫もほとんど限定されていない。

登場人物の少なさは同氏の作品の中ではトップクラスと言えるでしょう。

しかもストーリー性は薄く、“4コマ”としての様相を多分に呈しているものだと思います。


◆ 猫というキャラが持つ特殊性


ただ、その登場人物の少なさを埋めるのがたくさん登場する猫。

その他大勢の扱いではありますが、とにかくたくさん登場します。

日頃から野良猫に触れ、「いい電子」などでもそれを描いてきたみずしな先生のその経験を活かした猫好きのあるあるネタも多く、数を増やしている猫系ネタ4コマの中でもかなり素直に猫を扱っています。

そして抜いては語れぬ“話せる”ということ。

夢がある設定ですがかなり現実に即した夢のない内容の会話も多く、特に深冬がそれにガッカリするネタも多いです。

全体的には力の抜けたいい感じの4コマであると形容しておきます。


◆ デビューから15年以上を経て


たびたび述べていますが画力を買われて4コマデビューという例は皆無に等しく、ネタの魅力などを買われることが多いためキャリアを積むにしたがって絵は変化し、上達するものです。

もちろんみずしな先生も例外ではなく、今作では毎回1ページを使ったネタの要素がない特大コマを描くまでに至り、その絵も大コマでも“見られる”レベルになるに至りました。

必ずしも絵の上達が評価の向上につながるわけではありませんが、近年「ベイスタ流」「Mac不安ちゃん」「いい電子」などでの4コマ離れ、ネタ離れが指摘されている中でのこの作品はかなり好印象。

現在まだ2巻ですが、長期連載につながれば名作の部類に入ることになるでしょう。

生徒会長のネタでは数回にまたがったこともありますが、できれば今後もこのペース、単発系で行ってほしいと思います。

ストーリー的展開をするのであれば、できるだけ予想を裏切る感じで。


◆ まとめ


僕と4コマを引き合わせた作家さんであるみずしな孝之先生。

本格的にまた純系の4コマ連載を続けているのは嬉しいばかりです。

これからも応援を続けていきたいと思いますが、みなさんもどうぞ単行本を、あるいはまんがくらぶオリジナルを手に取ってみてください。

   
ふじの はるか
派遣社員松島喜久治 (1)
派遣社員松島喜久治 (2)
派遣社員松島喜久治 (3)
派遣社員松島喜久治 (4)
派遣社員松島喜久治 (5)
派遣社員松島喜久治 (6)
派遣社員松島喜久治 (7)

前回みずしな孝之先生か胡桃ちの先生っつっといて結局あまのじゃくを発揮してしまいました。

まあそんなこともお構いなしでやっちゃうわけですが。

◆ 人気作家のデビュー作

まんがくらぶオリジナル、まんがタイムファミリー・オリジナルなどで活躍中のふじのはるか先生。

そのふじの先生の、デビュー作であり出世作、そしてなおも連載中の今作。

題名の通り42歳のベテラン派遣社員である松島喜久治が主人公。

連載が続いている要因としては単純に面白いことの他に派遣社員という設定が持つ変化に富んだ世界でしょうか。

「~編」とたくさん名付けられ、7巻に渡って続いています。

◆ 長期連載ならではの楽しみ


この作品のスタートは4コマ誌ではなく、出版社も越えてメディアファクトリーのコミックアルファ。

休刊したその後も芳文社に移って、とにかく長期連載です。

デビュー作とあって、絵柄が変化(成長)するのはもちろん当然のことです。

現在はそうでもないですが、デビュー当時の絵は4コマ界を見ても絵が上手なほうとは言えません。

しかし初期から非凡なものがあったのが「セリフ回し」。

4コマの新人にありがちなセリフ回しの固さがまったくみられません。

最初期から4コマに傾倒しない、変化のある話を展開させていけたという点で4コマ誌以外でのデビューは幸運だったのではないでしょうか。


◆ その他の作品展開に対する重要さ


この作品がふじの先生自身に与えた影響というのも大きく、他の作品の主人公にこの作品の登場人物がおかれる展開にまでなっています。

具体例をあげると「むきたまごビューティー」、「こんぺいと!」の2作品。

前者はどちらかというと期間の短かった「ツンドラ製鋼編」に登場した梅宮という意地悪キャラが主人公。

エステティシャンになって変わる彼女について描かれています。

そして後者は「日の出板硝子編」「ライブラリー編」などで登場した人気キャラ、“小さい生き物”睦月が主人公。

特にこの「こんぺいと!」はまんがタイムファミリーの人気作品で、こういう点から言ってもこの作品が果たす役割というのは多大なるものがあるように思います。


◆ キャラが持つ魅力


作品自体が持つ魅力にも触れておきましょう。

主人公である喜久治のキャラがまずいい。

派遣社員としていろいろな会社を渡り歩いてきた喜久治は、その経験を活かして派遣先で起こる様々なトラブルを解決していきます。

その実力は折り紙付きで、どこへ行っても派遣期間終了時には正社員へのお誘いが来るほど。

しかし単なる仕事人間ではなく、趣味のラビットスクーターなどの描写もたくさん。

同じくその妻千歳は12歳年下の30歳。

「歌って踊れる妻なのだ」という文句そのままに、喜久治を支えながらも楽しく毎日を送っています。

マラカス、ゾウ、その他グッズ収集などその趣味は多岐にわたり、楽しい感じです。


こういう“複雑ではない多面性”があるところもこの作品の魅力であり、派遣社員という前述した環境の問題もあわせてマンネリ化を防ぎ、長期連載に繋がっているのではないでしょうか。


また、12歳差の夫婦の理由や派遣社員転身のきっかけなどを描いた6巻収録の「夜明け前編」では影の部分も垣間見え、しかもまだ描ききってはいないようなので、まだまだ今後の展開にも目が離せそうもありません。


◆ まとめてみる


4コマの持つよさというのは、いい意味での“ゆるさ”だと思います。

起承転結がひたすら続く4コマも確かにありますし、実力のある作家さんにかかれば充分に魅力ある作品に仕上がります。

しかしそういう形式の漫画にあまり意味を感じない人でも、こういうストーリー性のある4コマなら多少肌に合う部分もあるのではないでしょうか。

しかも、この作品はその“ストーリー”のスパンが短く、かなりとっつきやすいものがあると思います。

連載が長いので全巻揃えている書店は少ないかも知れません。

でもどこから読んでも大丈夫ですから、書店で見かけた際には何巻だなんて気にせずに手にとってみてください。

魅力が1冊で判るところもこの作品の魅力です。


是非。



というのはどうでしょう。


まわし者上等。とにかく1人でも多くの方に読んでいただきたいのです。

自分の趣味を押しつけたいのです。

だから今のところ紹介した作品はどれもこれもオススメばかり。

こういうスタンスで、しばらくはやっていきたいと思います。

    
小坂 俊史
サイダースファンクラブ (1) サイダースファンクラブ (2)

4コマ推進運動中です。とにかくたくさんの作家さんたちをば!ということで小坂俊史先生。

新刊発売ということでこの作品を扱ってみました。


◆ キャラと設定


主人公となるのが売れない女子スリーピースバンド・サイダース。

ギター・ボーカルのやよい、ベース・サブボーカルのむつき、ドラム・コーラスのしわすで構成されています。

ちなみにこの3キャラ、同氏作「せんせいになれません」の脇役(とはいってもある程度キャラの設定はされていますが)生徒で、姓名そのまま、顔も同様でファンとしてはニヤリ。

ネタに絡むキャラ設定はその他いろいろありますが、ここでは言及を避けます。

ちなみに以前レビューした山名沢湖先生「委員長お手をどうぞ」2巻、卒業アルバム委員長の回でもアルバムの中でエキストラとして登場しています。大活躍ですね(笑)。


◆ 「好きなものを描いた」


「せんせいになれません」でのデビュー以来、竹書房・芳文社での4コマ作品を中心に活躍を続ける小坂先生。

小学校もの、家族もの、オムニバスもの、編集者ものとその設定は多岐にわたります。

この作品も例に漏れず。しかも1,2巻ともにあとがきには「好きなものを描いた」という記述。

そのせいかライブその他の舞台的なものの描き込み具合が(裏話的なものも含めて)強い傾向にあると思います。

また、都合により書き下ろしが多くなっている2巻では(でも都合=うっかりミスを帯にまで出してプッシュすることないと思う)音楽雑誌がサイダースをレビューした架空の記事などもつき、「好き」具合を伺わせてくれます。


◆ 作風と定番のネタ


小坂先生は近年珍しくなっているといわれる「正統派4コマ」として評価を受けている面があり、また僕自身もそうであると思っています。

媚びないが見やすい絵柄、“展開する”世界ではなく“ネタの蓄積”としての世界、多少突飛な設定に堅実なオチ。

ただひたすら「4コマ作家」として評価を受けるのも頷けます。

この作品も例外ではなく、全体的に見てもムラの少ない作家さんであるようにも思います。


また、4コマにはキャラ設定が持つアクを利用し、「定番」のネタを仕立てるという手法があり、この作品でも各キャラにそれが見られます。

まず、やよいは適当な性格やライブでの弦切り癖、ライブチケットを友人ヤスコに売るネタ(これは毎回ラス2を飾る定番中の定番)など。

むつきは左利きで欲しいベースが手に入らない、バンドに不満があり脱退したいと思っている(時間の経過に伴いなくなってはいきますが)など。

しわすはオカルトの才能があったり、サイダースにはもったいないぐらいドラムの技術があったり。


その他もライバルバンドであるウォルナッツ、のちにレーベルメイトになるイロモノバンド・バニーズやサイダースが所属する事務所の服部社長など脇を固めるキャラもしっかり立っており、いい意味での堅実、安定さを感じます。


◆ メディアミックスとデザイン


1巻では(既に解散してしまいましたが)The ClicksによるイメージCDが全員サービスとして制作されました。

全員サービスが行われること自体が4コマでも非常に珍しいことで、僕もかなり驚いた覚えがあります。

書き下ろしの曲もすごくスタイリッシュで、サイダースの“イメージCD”としての役割を果たして余りあるものだったように思います。

また、この作品の表紙はいっぱいにイラストが描かれる傾向にある4コマ系単行本とは一線を画したシンプルでオシャレなものになっており、「このままライブハウスとかに置ける感じ」(どこかの掲示板で読んだコメントです)だとの評価も。

周りの展開やその辺も含め、僕個人としては大好きな作品です。


◆ まとめと呼ぶにはあまりにも


小坂先生といえばまずは「せんせいになれません」を外して語れないとは思ったんですが前述の通り新刊発売を機にレビューする運びになりました。

(そんなこと言ってたら重野なおき先生の「Good Morning ティーチャー」とかおーはしるい先生の「夫婦な生活」とか似たようなのいっぱいなんでやってられないっつーのもありますが)

いずれそちらのほうも扱いたいと思いますが、次回はまた別の作家さんで。


みずしな孝之先生や胡桃ちの先生ほかを今後予定しています。


それではまとめと銘打ってちっともまとめないという暴挙を犯しつつ、さようならです。

おーはしるい
わくわくワーキング (1) わくわくワーキング (2) わくわくワーキング (3)

とにかくたくさん4コマの作品や作家さんを紹介しようと思ったのでしばらく4コマシリーズが続く予定です。


◆ いい感じの込み入り具合な設定


オフィスもので、主人公は松崎みお(29)、コンビニチェーンサイガマート勤務で、営業部史上初の女性主任(第2営業部)。根っからの仕事人間です。

同期には同時に第1営業部の主任になった中野考(29)、総務部の主任になった池内智美(29)がいます。

同じく仕事ができてしかも無愛想の中野ですが、実は入社した頃からみおのことが好きだったり(こういう長期スパンの片思いをするあたりかなり人気のキャラ)。

智美はそんな2人を含めて社内のあらゆる情報を掌握するお腹真っ黒さん。

そんな同期三人組ですが、もちろんそれだけでは収まりません。


仕事一辺倒(で、中野の想いには気付かない)のみおの前に新入社員として高沢壮太(22)が登場。

彼は超がつくほどの癒し系で、みおは一瞬で好きになってしまいます。

1巻スタート時の設定がそんな感じ。


途中で中野のことを好きだという高沢と同期のノラムスメ、佐々木美奈(22)も現れたりで、少ない人物でごちゃごちゃと絡まっていく感じの展開です。


◆ 媚びるのではなく華やかな絵柄


おーはし先生の竹書房での作品といえば、よりたくさん刊行されている芳文社刊のものと比べて可愛い系というかなんというか、少し華やかな絵柄です。

まあ2社間の方向性の違いといえばそれまでですが、描き分けをされているようです。目のあたりをみるとよくわかるかと。

また、近年は(特に竹書房)昔からの4コマの系譜ではない小ぎれいな絵柄の作品・作家さんが多いです。おーはし先生も大きなくくりでいけばその中に入るかもしれませんが、しかしそのような作家さんたちの悪いところである特徴のない絵ではなく、似たような絵の作家さんはいないような気がします。

カットをひとつ見れば、おーはし先生の絵だとわかるぐらいに。


◆ 1巻からマイベスト~方向性が……


各巻より1本限定で琴線に触れたものを抜き出していきたいと思います。

1巻ではP78『ホントかうそか』。

花見で愛玩動物のようにいろんな女性陣に遊ばれ、飲まされて酔ってしまった高沢に中野が「桜の花びらを10秒以内に10枚、片手で掴めたら願いが叶うらしい」と吹き込みます。

みおの「酔っぱらいにうそつかないで」という言葉に「うそかもしれないな」と答える中野。

結局どうがんばっても掴めない高沢をみおが止めようとしますが酔った高沢は聞かずなおも続けようとして、それを止めようとするみおとやっぱり続ける高沢を遠目で見ながら回想で、


『去年ためしてみたが いま松崎はあのザマだもんなー』


はい、中野派ですが何か。


◆ 2巻からマイベスト~中野派共通の思い


2巻からはやっぱりというか、2巻で一番好きなネタを選ぶ読者アンケートでも1位をとったP46「Suddenly」。

ずっと中野の1課に負けっぱなしだったみおの2課が、ある時50円だけ売り上げで1課を抜きます。

素直に喜んでしまうみおですが、智美の注意で中野に対する自分の無神経さに気付いて、その後の飲み会でもなんとなく気まずくなってしまって、その後の話。

智美が高沢を連れていき、ふたりきりになって謝れるように仕向けてくれて(なにもかも全部智美が握ってるあたりが少し怖い)、みおは今度は素直に謝ります。

その謝罪の言葉を受けた中野がみおを無言で抱きしめる(!)ってのがオチにあたる部分。

結局混乱してしまったみおですが、翌日中野の依頼を受けた智美がうまく取りなし(ああ……)もとのさや。


ええ、中野派ですが何か。


たまに書くことなんですが僕は抱擁フェチで、しかもこういう一方的な、すごくすごく近い距離にいるのに気持ちは一方通行でお互いに通じ合えない、相手のことは解らない、みたいなのが大好物です。

もうね、よく言いますがこれ1本でずっとついていこう、と思いました。

(2巻→1巻→3巻の順で買いました)


◆ 3巻からマイベスト~絞れませんがとにかく中野派


最後まで中野押しになります、3巻からはP84~89、中野の旅行話の回。

ひょんなことから中野の旅行についてみおが聞く流れになって、その中で中野の遺跡めぐりの趣味が露見します。

がらにもなく結構熱く語ってしまう中野を結構ロマンチストだと見直すみおですが、その一方で高沢はまだマチュピチュだけは行っていないという話を『好きな人と行くためにとってある』と解釈したりで、3人の位置付けがよくわかる回です。


そういうシチュエーションも好きで(好きな人に他意なく自分語りさせられる)、なおかつよかったのがこの回3本目、「男が行って恥ずかしい旅行先は?」「ハワイですかね」という流れの中で登場した“中野が楽しそうにアロハ着てウクレレを弾く姿”の想像図がちょっとツボにはいって、そういうのもあります。


◆ まとめ~おーはし作品の“ひとつの”頂点


一応単行本は全部揃えておーはし先生の作品はそれなりに読ませていただきました。

実録もの(猫・出産&子育て)やどちらかというと恋愛系(今作や後期の「会計チーフはゆーうつ」など)、どちらかというとほのぼの系(「夫婦な生活」など)といろんなジャンルがあって、これに加えてゲームアンソロジーもあるとなるとかなり引き出しの広い方なのかな、と少々。

恋愛ものの4コマも数多いですが、少なくとも僕の価値観ではかなり秀逸な部類に入りますし、きっと実際そうなんだと思います。

いずれ扱おうと思いますが、この他の作品も大好きです。


いろんな方にお薦めしたい作品ですが、特に(数はあまり多くないかもしれませんが)芳文社刊の作品でしかおーはし先生を知らない、という方に一読してもらいたいと思います。

新しい“おーはしワールド”をここにひとつ。

小笠原 朋子
さくらハイツ102 (1)
さくらハイツ102 (2)
さくらハイツ102 (3)

とにかく4コマのレビューをしようと思ったんですが、完結して長い作品を持ち出さんでも、と自分でも思います。

でもまあ、レビューしたかったんでしょうがないです。

◆ 登場人物と舞台設定


主人公となるのが表紙の2人、恩田園子(26歳)と水野映二(20歳)。

映二は大学に通うかたわらさくらハイツの管理人を務めています。

そのさくらハイツに住む家賃滞納常習犯、そのちゃんこと園子、自称女優。

映二は園子のことが好きで、でも園子は全くそれには気付いてません。

また、園子の弟である和人はいい歳して女優なんて言ってふらふらしている姉が映二とくっついてくれないかなあ、と思っています。

そんな2人(と1人)ですが、さくらハイツの住人として小川さやか(19歳)が途中登場し、映二のことを好きになったりして、そのうえそのさやかが意外に腹の中が黒いような人でこりゃまた大変、みたいな。

4コマの設定をディテールまで語るのはやっぱり間違ってる気がする……

◆ キーとなるその他の設定


・映二は地顔が無愛想、だがおいしいものを食べるといい笑顔になる。

・園子はふらふらしているためお金が無く、家賃を滞納するばかりでなく映二の部屋に上がり込み食品その他までたかっていく。

・映二は親から園子を追い出せ、と言われるが惚れた弱みで追い出せない。

・また、園子は前に住んでいたアパートが燃えたのでさくらハイツに来たという経緯もある。

・映二はどんなにがんばっても家賃の徴収で住人とは顔を合わすことになる。

文章力がないので箇条書きゴメンナサイ。

◆ 定番化しそうな私的4コマ論


前回の重野なおき先生「のの美捜査中!」のレビューで、「のの美~」の特徴は1話完結(数回にまたがることはありますが)型のストーリーに4コマ毎の強いオチ、と書きました。

ただこの「さくらハイツ102」や重野先生の他の作品(「Good Morning ティーチャー」や「僕の彼女はウェートレス」など)もそうですが、4コマ誌連載ストーリー系4コマの一般的な手法としてとられるのが『4コマのフォーマットで作品を展開させながらゆっくりとストーリーを進めていく』というもの。

4コマ界で立場を確立するにつれ、中堅(年齢ではなく人気・キャリア的に)の作家さんたちがとるようになる手法です。

重野先生ほどにはパワーを持った作風とは言えないのですが、ちゃんと堅実に、しかも解りやすく凡庸でないオチをつけその中に恋愛要素(主に映二の葛藤や園子の恋愛無関心ぶりを示すものが多い)を絡めている点が魅力かと。

◆ まとめ~なんか中途半端なレビューになってしまった……


僕が好きになる作品って、往々にして「どこが好き」とプッシュできる点が少なく、全体的な雰囲気とか絵柄とか世界観とか、そういったものに惹きつけられることが多いんです。

で、こんな感じで妙な論理を振り回し、既読の方対象か未読の方対象かよく解らないレビューになってしまうわけです。

でも僕が面白い!と思ったのは事実。是非一度、手にとってみてください。

まったりした雰囲気と小ぎれいな絵柄に惹かれるはずです。