今回は完全に東大に特化した内容になるはずです。
地歴に関しては、僕は完全に東大の傾向に救われた、と言っていいと思います。

◆ 東大世界史のふたつの柱

他の科目が東大レベルに十分達している受験生ならば、暗記が苦手でも書けないところが当たらなければ点数を稼ぐことは可能だと思います。
二次試験において、年単位で見れば当然センターよりも出題範囲は狭いです。東南アジア史のまとめとかやらされたらどうしようと恐怖におののいている受験生は相当数いるものと思われます。
受験勉強のうち多くの部分は、「どこに落ちてくるか全く読めない問題のために、必死で網を張り巡らす」作業であるように思います。

今年の大論述を例にとって考えてみましょう。
問題の要旨は「18世紀前半までの西ヨーロッパ・西アジア・東アジアの宗教について、性格の違いをまとめよ」というものでした。
書き方や解答例はプロにお任せしますが、この後に続く指定語句が三つの内どれにカテゴライズされるかが解らなければ破滅です。まあ比較的易しかったので大したことはないのですが。
そして指定語句について簡潔に説明できなければ文章を組み立てられません。今回では「領邦教会制」なんかが少し出にくかったのではないでしょうか。僕は「ミッレト」について、説明はできましたがオスマン帝国のものであると明示できませんでした。
これらのことから解るように、指定語句については(1)短答的知識(ミッレトとオスマンが結びつけて覚えられている、ミッレト=「宗教共同体」という知識がある)(2)説明的知識(宗教共同体とは何たるかの筋道立った説明ができる)のふたつが必要になってきます。
僕はこれらについて、一問一答を利用して(1)を、一問一答の問題文を利用して(2)を頭に入れていきました。

そしてそれが前提となって、しかし問題の要求に応えるために必要なのが文章の構成力です。
指定語句の説明に終始しては、まったく設問の要求に応えたことにならないのは自明です。
これが前述した「東大レベルに達した受験生」に、もう既に備わっている(べき)ものです。
現代文は受験においてすべての科目に通底する基礎だとよく言われますが、これは東大について最もよく当てはまるものだと僕は確信しています。
論述を書く練習というのは絶対に必要です。ですがこれは「日本語を使う力を現代文という科目に閉じこめずに発揮する」練習だと思っています。

◆ お勧めする勉強法と中谷臣氏について

ここでお勧めしたいのが中谷臣著・旺文社「世界史論述練習帳」です。
世界史の不安があまりにも大きく、見境無く世界史の参考書・問題集を買いそろえた僕が最もボロボロになるまで使い倒した最強の一冊です。
とにかく書店で見てみてください。教授している内容が明確であり、確立された方法論であるものは他にないと思います。
ただ少し過激になりすぎている気がしないでもありません。経験に裏付けられた自信なのかもしれませんが、一般の受験生にあの境地に達することは容易でないのではないかと……不安な部分は僕も無難に流しました。
そして圧倒なのが、論述の一問一答集というべき第3章・知識編です。知識定着の段階から直前まで、あらゆる場面において使えるものだと思います。

僕が前回、センター編で紹介した「世界史年代ワンフレーズ」も中谷氏の奥様が執筆し、彼が監修しているものです。
論述にも年号が必要です。論述の内容について、思いついたものが指定された範囲内にあることが解らないと書くことはできません。これは中谷氏の受け売りですが。
今回についても、指定語句にない清朝のキリスト教禁止が1724年だと覚えていたことで、典礼問題→儒教中心、と想起することができました。

また、この中谷氏のHP「世界史教室 」で彼の理論構築のエッセンスを知ることができます。
辛辣な論調に初めは一歩引いてしまうかもしれませんが、言わんとすることがわかれば大丈夫なはずです。
特に各問題集・参考書の欠点と間違いを挙げているのは圧巻。このサイトを参照すれば、Z会や山川の論述問題集をより有効に使うことができます。
駿台の講師さんなのに駿台も含めた大手予備校の解答例をばったばったと切り捨てていくのは爽快感さえ味わえますよ。無論、良い点も良い点としてきちんと挙げてありますが。
僕は余裕がなかったため受けませんでしたが、メールでの添削にも応じている模様です。

お会いしたこともないのにすっかり中谷チルドレンな私なのでした。
これは4つ上の尊敬する先輩が駿台時代に受講して感銘を受け、後輩の僕に半ば無理矢理にねじ込んで(笑)紹介してくださったことによります。
その先輩も含めていまでは感謝感謝ですが。

総括編にも似たようなことを書きましたが、僕は受験勉強について大切なことは「(ある程度確からしい)ひとつの方法論をとことん信じる」ことだと思います。
中谷氏の方法論には僕も最初はアレルギーを起こしましたが、前述2冊と「センター世界史B各駅停車」、そして彼のHPを読んでいくに従って、中途半端にいいとこ取りしようとするのではなくこの先生と心中しよう、どうせ世界史なんて点が取れればもうけもんなんだから、という境地に達するに至りました。
無論別の方法論もあり、見えないところで遠回りしていたり、微妙に近道だったりするかもしれませんが、結局だいたいの方法は合格に通じています。
しかし世界史に関して言えば、一番確からしく、かつ最も一貫している方法論はこの中谷氏が持っているのではないかと思いました。
少なくとも、参考書として著されている限りにおいては。

◆ 東大形式への対策

(1)まずは第3問をとる。
短答の占める割合は低いです。駿台は再現答案の分析から、第3問は各1点であるという結論を下しています。
しかしここ数年簡単なものが続いています。少なくとも夏明けまでは世界史が絶望的だった身から言わせてもらえば、「そこそこ頑張っているのにできない」人でも平気で5,6問は正解してきます。
私立は当然ですが、京大の短答問題よりもずっと、ずっと簡単です。学校の小テストレベルです。
ただまあ、問い方に骨のある東大らしさも備えてはいるのですが。
とりあえずここで落とさないこと。差をつけるのは無理ですが、差をつけられてしまうのは簡単です。

(2)実は第2問が勝負。
日本史ではそれが顕著なのですが、世界史でも第1問では「考える」ことが重要な位置を占めます。
試験場の雰囲気からいって、今年の第1問についての「考える」大枠は多くの人がある程度組み立てられていたようです。
よって本格的に差をつけるとすればほぼ知識のみが試される第2問といえるかもしれません。
書けないところはとことん書けませんからね。暦がテーマになったときはかなりの数の受験生が絶望の淵に突き落とされたのではないかと(笑)。

(3)第1問では稼ぐつもりで。
方針などは散々と前述しているのでもういいでしょうが、僕は第1問については実力以上に点を取る気満々で試験に臨みました。自分の現代文の力に絶対的な(根拠のない)自信を抱いていたからです。
知識が必要とされる比重には年ごとにブレが生じているでしょうが、それでもあの大論述です。まとめる力も半分です。
受験生としての僕が、最高学府中の最高学府としての東京大学と受験産業にすぎない予備校の間にレベルの隔たりを最も感じたのは地歴、特に世界史第1問です。
模試の過去問と実際の過去問を数回ずつ解いてみればそれは明らか。
話は少し逸れますが、僕は世界史の過去問に本格的に触れたとき、この大学は素晴らしいと直覚しました。
……あまりにひどい答案を書かない限り、模試より本番のほうが単純に点数も出ると思いますし。



爆弾中の爆弾だった世界史に関してこんなに偉そうなことを書く日が来るとは思いませんでした!w
得点開示して24点(笑)とかだったら、情けなさと恥ずかしさのあまりこの記事は消える可能性があります。本当です。ご了承ください。

明日は日本史かな。書くことあるのかな。


4/21追記 結果:39点。よかった報われました。
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