OZ 完全収録版

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仕事のグチばかり立て続けに書いたので、息抜きにマンガの話を(←何故?)。 文庫版のコミックが発売されるようになってから、学生時代に友人に借りたマンガの中で特に印象深かった物を自分で買ったりしているのですが、この本は文庫版では無いけれど買っちゃいました。樹なつみ著『OZ完全収録版』全5巻(白泉社)。ジャンルとしては近未来のSF。一応少女マンガだけれど戦闘シーンは多い、政治的な風刺もありで、“少女マンガ”の枠内には収まらない樹ワールド全開の魅力的な作品です。

友人に借りて読んだという事情もあって、いまいちストーリーをはっきり覚えていない箇所も多く、初めて読むかの如く楽しんで読みました。で、ティーンエイジャーの頃は「ムトーが好き!」と騒ぎまくっていたけれど、あれからX年経過した今は結構ネイト寄りかも(笑)。人物的には“ちょっとくえない”キャラのムトーよりも、隙が無さそうで意外とツッコミどころの多いネイトが可愛い~とか思える自分を「年とったな」と思ってしまいました。

私はどちらかと言うとマンガよりは小説の方が好きなので、そんなに色々マンガに目を通している訳では無いのですが、小説に比べてマンガは物語が終わった時は綺麗に完結している事が多いように思うのですが、『OZ』は物語が終わっても数々の疑問が湧き起こります。まず第一、人口冬眠から目覚めたムトーは重傷を負っているけど、ちゃんと助かったのか?ムトーが生還したとしたら、彼は傭兵の任務に戻るのか?19は本当に自殺したの?実は生きている、といいうオチは有り得ない?ヴィアンカはムトーが生きていたことを知っても父親の秘書と結婚したのかな~??くだらない疑問ばかり並べてしまいましたが、番外編を幾つでも作れそうな気が。

物語中で印象的セリフの1つは、ネイトが24に撃たれたシーンの「たとえどんなに不良品だったとしても、人間はやりなおしはきかない」という言葉。「人に無理矢理リセットされたら自分が自分では無くなる」という彼の最期まで自分らしさを貫く姿勢に、初めてこの本を読んだ高校生の頃とは異なる感動を味わいました。

もう一つ強烈に印象に残ったのが、最後に19がムトーに言うセリフ。「人間は都合よく出来ている。“忘れる”ということが可能なのだから」というもの。一度覚えたこと、体験したことを決して忘れることが出来ないという感覚を、ここまで上手く描写した樹先生には本当に感服します。

リオンに隷属する機械の域から最終的に脱せ無かった24と、“機械には有り得ない”感情を持つに至った19との対比も印象的でした。誰かにプログラミングされて作られたバイオロイド、サイバノイドで無くても、24のように決まり切った規則に則ってしか動けない人間って実際に居てもおかしくないかも知れない、自分自身そんな型にはまった人間に最近なりつつあるかも知れない。凝り固まった性格にならないように、ちょっと目先を変えて春を迎えたいなと、このコミックを読んでちょっと反省したりしました。

樹先生の公式サイトはこちら→なつみ缶
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プライド

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年甲斐も無く最近はまり中なのが「有閑倶楽部」でお馴染みの一条ゆかり著「プライド」。最初本屋で立ち読み→即効購入→連載している雑誌まで購読、と久々に月刊のマンガ雑誌まで買うはまりよう。

今月も28日の発売日当日にいそいそとコンビニ(本屋が開いてる時間になぞ仕事から帰れないので)でゲット。早速読んでみましたが、やっぱり一条先生は読ませ方が上手いわ~、とひたすら感嘆しております。

対照的なヒロインを二人登場させて、彼等がお互いに憎んだり蔑んだりしながらも切磋琢磨していく、という比較対象のさせかたも面白いけれど、何より今回の作品が素敵だなと思うのが「人と競う事に重きを置き、他人を蹴落としてでも自分の欲しいものを手に入れる」タイプの萌と、「ひたすら己の中で葛藤し、自らを高める」タイプの志緒、この二人の生き方。

雑誌を読んでいると自分の気持ちに素直な萌も好き、という意見が結構あるけれど、私は萌って一番キライなタイプです。偏差値社会を切り抜けてきた世代に共通するけれど、自分のポリシーを通しているから今の自分に満足と割り切る事ができず、ひたすら周りと比較して「自分の境遇に決して満足している訳では無いけれど、あの人に比べたらまだマシ」みたいな満足感しか得られないタイプって現実社会にもよく居ます。

萌はたしかに生まれ育った環境は最悪だけれど、だからと言って周囲の人を貶めて良いという理由にはならない。一条先生が描く萌の周囲の人たちは優しいので「自分を好きにならないと幸せにはなれない」的な見方を彼女に対してしているけれど、彼女が散々使ってきた手口はいずれ彼女に返ってくるのでは、と思います。

まぁ、通り一遍の想像がつくような物語構成をしないところが一条先生の凄さなので、私の「萌は幸せになんかなれない」予想は簡単に覆されてしまうと思いますが…。

蛇足ですが、個人的には志緒は神野氏と上手くいって欲しいな~と思います(←ひとえに萌を幸せにしたく無いだけかも知れないけれど…)。
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