ヤング≒アダルト

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周囲の人の行動に大人げないな~と思うシーンに遭遇する事は日常生活の中でも多々あるけれど、ここまで自己チューなら、いっそ清々しいと思えるのが「ヤング≒アダルト」でシャーリーズ・セロン演じるメイビス。彼女は全ての物事を自分の都合の良いように解釈し、結果周囲の人間にとっては、はなはだ迷惑に映る人物だ。

ストーリーは元カレの家族に子供が産まれた事を知らせるメールが届くシーンから展開。どういう訳か、そのメールに元カレは自分とやり直すべきだ!と思い立ったメイビスは卒業後一度も戻った事の無かった故郷に舞い戻る。

ストーリーは予定調和的で結末も予想通り、終盤以外特に山場も無いので、中だるみする感じは受けるけれど、ゴーストライターを職としているメイビスは語彙も豊富で発想も面白く、周囲の人々と交わす会話は面白い。空気を読む才能は絶望的に無い彼女が決して頭の悪い人物では無い事も会話の端々から察することができる。

「ブラック・スワン」のように、爪が割れる、自傷行為に及ぶシーンは全く無いのに関わらず、メイビスがあまりに痛々しくてスクリーンを直視できない場面は多々あり。彼女は男性から見ても女性から見ても“痛いオンナ”なのに、何となくこれ以上窮地に追いやらないでくれ~と思ってしまうのは、ここまで極端では無くても、誰しも大人になり切れない部分を持っている事を思い出させるような演出ができているからかも知れない。

高校時代のイジメが原因で身体に障害を負ったマットとの交流は良いスパイスになっている。学園の女王としてもてはやされていたメイビスと、障害を負うきっかけを恨まずにいられないマット。お互いに置かれていた状況は全く異なるのに、過去に囚われている相手の姿を通して、過去との折り合いの付け方を模索する。

残念なのは元カレがイマイチ魅力が無いところ。どう見ても一時は元カノの猛アピールにグラついているのに、気持に気付かなかった、そんなこと思いもしないと一方的に責めるのは勝手極まりないような印象が。メイビスが戻ってくる事で、自分達の日常が乱されると揃って敵視する地元住人達もステレオタイプ過ぎていただけない。

元カレ取り戻し作戦映画と言えば思い出すのはジュリア・ロバーツの「ベスト・フレンズ・ウェディング」で、この映画はヒロインのライバル的存在だったキャメロン・ディアスも可愛かったけれど、元カレの今の奥様、ベスもイマイチ魅力が足りず。ヒロインと対比するには常識人にしないといけないのは分かるけれど、どこかヒロインを「田舎をバカにして出て行った貴女より私は幸せなの」的な態度が前面に出ていてマイナスイメージ。そもそも産まれて間もない乳児を置いてママ友とオールする時点で、何だかこんな奥さんと別れても良いんじゃと思ってしまうのはアメリカと日本のお国柄の違いだろうか。

「ブリジット・ジョーンズの日記」は素直に笑って観られたのに、「ヤング≒アダルト」は自分の中にある大人になり切れていない部分に気持ちが行ってしまい、単純には笑っていられない。ある意味ものすごくシリアスな映画だと思う。

同じ“痛いオンナ”でも、見た目も痛いと同情の余地無しになりがちだし、外見は完璧なのに人格がダメダメというギャップが皮肉めいた面白さを出しているのは確か。「モンスター」といい、シャーリーズ・セロンはこういう役を選ぶのが上手だなと思った。

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