借りぐらしのアリエッティ

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大学で英米児童文学を専攻していたのでメアリー・ノートン著『床下の小人たち』はもちろん既読。ただ、内容をさっぱり覚えていない。それでも物語の舞台がイギリスで、小人の家族は兄弟姉妹や伯父とか出てきて結構大人数だった記憶が。


『借りぐらしのアリエッティ』は民家の床下で小人達が暮らすという設定以外は、舞台も日本、時代も現代と全く別物と言って良いストーリー。心臓の手術を受ける前の静養に母の実家に来た少年・翔は、かつて母も見たという小さな人の姿を庭でみかける。


ローリエの葉1枚で1年過ごせるという「小さな人達」は生活に必要な物を、床上の人間の住居からこっそり“借りて”生活している。ただ、本来は“借りる”という行為は返却が前提であるはずなので、借りっぱなしの小人を『泥棒小人』と評した家政婦ハルさんの方が正しいと言える訳で。


借り暮らしの鉄則は住処にしている家の人間達に姿を見られない、人に気付かれない程度の借りに留めるというもの。ただ、人間と一括りにできず味方になる人も居れば、敵になる人も居るということを知りアリエッティの心は迷い始める。


アリエッティに対し翔が「君たちは絶滅に瀕している」と宣言するシーンがあるけれど、自然の破壊、絶滅危惧種がいることへの警鐘を物語の中に入れて来るのはジブリらしいな~と実感。でも、こんなにあからさまなセリフにしなくても、物語の中でそれとなく伝えて来る手法の方が良いな、と。。


日本の小人の物語と言えば個人的にまず思いつくのは佐藤さとるの『だれも知らない小さな国』に始まるコロボックル・シリーズ。彼らは人間の家から物を拝借するのでは無く、基本的には“借り”では無く“狩り”で暮らしている。何だかこちらの方が小人の生活スタンスとしては自分の好みに合うな…。


『もののけ姫』『ナウシカ』『ラピュタ』に比べると、大人の鑑賞に耐えうると言うよりは、子供向けの作品だと思った。


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今年2度目の試写会は『ミレニアム』三部作の続編。

正確に言うと試写会では無く、初回上映記念1・2・3一気観が当選したので土曜日の夜、オールナイトで観るにはちょっとばかり怖い内容の映画を観に行って来た。


『ドラゴンタトゥーの女』 は既にブログで感想を書いているので今回は2・3について。(ネタばれ有)


まず2作目は『火と戯れる女』。『ドラゴンタトゥーの女』でハッキング能力を駆使し大金を手に入れたリスベットが世界を放浪していた旅から戻る場面から展開。『ドラゴンタトゥー』で制裁のため彫りつけた刺青を消そうとしたビュルマンを再度脅した事がきっかけとなり、ビュルマンは“ザラ”という人物にリスベットの始末を依頼。しかし逆に依頼したビュルマンが殺されているのが見つかり、同時に『ミレニアム』に新たに入った編集者ダグも同棲中の彼女と共に惨殺されているのが発見される。


ダグが殺されたのはまさに『ミレニアム』で出版しようとしていた少女買春で実名告発されては困る人物によるものと睨んだミカエルは独自で調査を開始。現場に残された銃からリスベットの指紋が検出されるがミカエルはリスベットの無実を信じ、ダグの資料を元に事件を紐解いていく。


一方のリスベットは自らが容疑者となった事件を得意のハッキングを駆使し調べ始める。しかしダグの資料にある少女売春組織の黒幕“ザラ”とリスベットの間には国家機密レベルの因縁が隠されていて…。


『ドラゴンタトゥーの女』では常軌を逸した変質狂によるレイプ殺人を巡る謎解きだったのでエグイ・グロイシーンが多発。今回は映画の初っ端からダグと彼女、ビュルマンの3名が立て続けに殺されるけれど前作程のグロテスクな殺人シーンはその後は展開せず。ミカエルとリスベット、全く別の方面から事件を調べているのにいつの間にか接点を持ち、絡み合う様は原作そのままの見事さで。


リスベットの弱者(この映画では主に女性)に対する暴力への憎悪は尋常では無く、彼女の“目には目を”的なやり方が良いと全面的には賛同できない。彼女のこの信念は彼女自身を殺人事件の容疑者に追い立て、ある意味映画で繰り返し言われているように『社会にとって危険人物』とみなされても仕方ない面もある。


ただ、繰り返し行われるDVから法律によって守ってもらえない女性はどのように身を守れば良いのか。そもそも法律で保護されていない移民は守られる価値すら無いのか。恐らく物語の舞台となっているスウェーデンだけでは無い世界共通の法律の網目を掻い潜って行われる悪事に対し静かな警鐘を鳴らしている。


『眠れる女と狂卓の騎士』は宿敵ザラと相討ちで重傷を負ったリスベットの裁判を巡るストーリー展開。アクションシーンが多かった『ドラゴンタトゥーの女』『火と戯れる女』と比べ、前半はリスベットはほぼベッドから起き上がれない状態で静かな展開に。


リスベットやザラの問題を公衆の面前に曝け出したくない警察(の内部の秘密組織)とすべてを白日の元に曝け出したいミカエルとの言わば政治合戦。ミカエルは女性の前では女ったらし、お茶目な一面を見せる分、雑誌を使用した真実の告発や仕事に対する信念での瞳の真剣度のギャップが良いなと実感。


国家権力をかさに着た政府高官を相手取って戦う一見勝ち目の無い戦いに見える中の頭脳戦はさすがの一言に尽きて。ただ、原作では大手新聞社引き抜きの話でエリカが迷ったりするのに、映画ではただただリスベットに関する記事を出すなとの脅しに怯える女性になっているのが若干残念だったかも。


先天性の疾患により痛みを感じない金髪の巨人、銃で撃たれたリスベットの自力での脱出等、正直ツッコミどころも満載なのだけれど、そんな細かい点は全て目をつぶれる面白さ。


『ドラゴンタトゥーの女』で1事件、『火と戯れる女』『眠れる女と狂卓の騎士』で1事件と考えると、1から3まで一気観する必要は無いと思うけれど、2と3は是非続けて観てもらいたい。

サスペンスとしても、リスベットの過去を克服するための成長物語(大して成長できてないけれど)として捉えても面白い作品だと思う。

原作の持ち味を存分に発揮している映画だけにハリウッドリメイクが失敗しないことを切に祈りたい。


ちなみにオールナイト映画は初だったのだけれど、朝の渋谷&朝の電車が結構な人でビックリした。


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