ザ・ロード

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自分は何のために生きるのだろうか。
そんな疑問を持った事が、一度ならず人はあるのでは無いか。


『ザ・ロード』の舞台は何らかの原因で文明が崩壊した後の世界。主人公親子は名前すら無く、エンドロールでも「男」「少年」としか書かれていない。生きるか死ぬかの世界には名前も個性も必要無い。二人とも、ただ一人の人としてしか描かれていない。


文明が崩壊し、秩序が失われ、命を必死になって繋ごうとする人々の行動は恐ろしい。生き残るために弱者を文字通り取って食う生活を送る。凄惨な殺戮シーンが繰り広げられるスリラーのような画面描写は無いのに関わらず、目を血走らせ、必死になって生にすがる人々の姿には思わず目を背けたくなるシーンも多々あった。


モノクロかと見紛う程の色の無い世界で唯一の光とも言える少年の演技は逸品。時に冷酷なまでの冷静さで息子を守る父・ヴィゴ・モーテンセンは言うまでも無い名演技だけれど、この映画に希望と光をもたらしているのは紛れも無く息子の方で。


人が人を食べてまで、生き残ることに価値はあるのか。そこまで追い込まれた時に自ら命を絶つことは果たして弱さなのか。絶望しか感じられない中で、それでも“人間らしさ”を持つことに、逆に何の意味があるのか。


映画の中では何一つ答えは得られない。ただ、自分がその環境に置かれた時に何を選択するか、ひたすらその問いかけだけが心に重くのしかかった。


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