ナレーションがやたらと入る映画は苦手だ。


最近観た映画では『ラブリー・ボーン』『それでも恋するバルセロナ』がこの類。
どんなに内容が良くても説明が多いだけで興ざめする。


そんな意味で会話の応酬と映像だけで観客に明確に状況を説明できる映画は逸品だと思う。
この『噂のモーガン夫妻』はまさに、冒頭と最後に流れる夫から妻への留守電メッセージだけで今どのような状況にあるかが分かることに始まり、終始セリフだけで物語が展開する秀作だと思った。


物語は上に記載した通り、ポールからメリルへの留守電メッセージで幕を開ける。ポールとメリルは別居3ヶ月目の夫婦の危機にさらされている。原因はポールの浮気。心底後悔し、やり直したいとあの手この手でメリルにアプローチするポールと、そんなポールにあからさまに迷惑気なメリルは永遠にすれ違うかと思いきや、偶然殺人現場を目撃した事で、一緒に証人保護プログラムの一環として片田舎に匿われることに。


身の安全最優先であるため外部との通信も一切禁止され、これまでの人と物と音と情報に溢れた都会から無理矢理引き離された夫妻は、思いがけず訪れたこの“休暇”を通して二人が何故すれ違ってしまったのかを見つめ直すことになる。


モーガン夫妻のやりとりを始め、登場人物のセリフの応酬が本当に面白くて仕方ない。匿われたウィーラー保安官の家で遠慮なく夜中に大喧嘩するモーガン夫妻の様子にウィーラーは「(前に匿った)殺人犯の方がマシだった」とボソリ。電話もPCも使うときは暗証番号を入れなければならず、一切の外部との接触を禁止されたと知ったポールは、その後バスルームの場所を教えられ思わず「バスルームを使うのも暗証番号が必要?」とツッコミを入れる。


結婚相手の浮気をどうやったら乗り越えられるかという、かなりシリアスなテーマを扱っているのに関わらず、要所要所に散りばめられた笑いは絶品で。笑いを誘うシーンは映画館の中でほのぼのした笑い声があちこちから上がり、あぁやっぱりヒュー・グラントの出演するコメディ作品は良いなと改めて実感。


ヘタレだけど憎めない男を演じさせたら右に出る者は居ないヒュー・グラントを堪能するのも良し、登場人物達の小気味良いテンポの良い会話を楽しむのも良し。仕事やプライベートの予定を鮨詰めにして時間に追われている都会人を自称する人達には是非観て頂きたい作品だと心から思う。


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