ハート・ロッカー

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私の周りで人気海外ドラマシリーズ『24』を観たことのある人に「面白いか」と訊ねると10人中9人からは「面白い」との答えが返ってくる。私は少数派の「好きにはなれなかった」派。どうも主役のジャック・バウアーの自己中心的な性格が好きになれず、主役に魅力を感じないので作品としても良いと思えない。


主役に感情移入できないという意味では、この映画『ハート・ロッカー』にも同じことを言えた。米アカデミー賞の作品・監督賞独占で話題の映画を早速観に行って来た感想を一言で言うと、まさに「主役に魅力を感じない」。


舞台は爆弾テロの相次ぐイラク・バグダッド。冒頭からいきなりスリリングな爆弾除去シーンで幕を開ける。除去中の事故で爆弾処理班のリーダーが戦死。代わりにやってきたのが一風変わったウィリアム・ジェームズ軍曹で。


800個以上の爆弾を除去した驚異的な記録の持ち主であるが、爆弾を除去するのに集中できないと無線機は放り出すは、任務を全うするために仲間の安全は頭から抜け落ちるはで、班を取り纏めるリーダーとしての適正は皆無な人物。


戦争物と言えばまず思い出す『プライベート・ライアン』の冒頭ノルマンディ上陸のような、ぶれる画面、ドキュメンタリーを観ているかのような臨場感は劇場の大スクリーンで観る価値あり。ただ、同じイラクを舞台にしている映画ならレオナルド・ディカプリオ主演の『ワールド・ライズ』の方が現地の協力者も登場するという点では内容的に柔らかかった印象が。


昨年アカデミー賞を受賞した『スラムドッグ$ミリオネラ』が逆境にもめげず生き抜くパワー全開だったのに対し『ハート・ロッカー』はひたすら、終わりの見えない戦争で生きるか死ぬかの瀬戸際に立つ兵士達の精神的・肉体的な限界を描く暗さに満ちている。生きて戦地から帰還することだけを夢見て任務に励むと言うよりも、ひたすら絶望しているようにしか見えないのが本当に重苦しくて。


『戦争は麻薬だ』という言葉が最初に出てくるが、禁断症状に陥るその感覚が最後まで理解できず。登場人物がほぼ99%男性だったので、女性には共感し難い映画なのかも(監督は女性なんだけれど…)。


一番気持ちが分かりやすかったのは爆弾を前にする恐怖を素直に表すオーウェン・エルドリッジ技術兵。そんな彼に対しても、ヘリの中でジェイムズ軍曹に向かって言った言葉にはオイオイ、本当はホッとしてるんじゃ無いの?とツッコミたい気分に。


重いテーマを見事に映像化している手腕はさすがとしか言えないし、映画賞を総なめした理由も分かるけれど、観終った後の気分は爽快とは言いがたい作品だった。


にしても、爆弾除去はイラクに住む人のためであるはずなのに、命を賭して爆弾処理に当たる米兵に対する非協力的な態度(まぁ周りにいるのは大半が爆弾をしかけた犯人達なので当たり前と言えば当たり前だけれど)には本当に疑問しか感じず。日本も太平洋戦争直後は治安部隊として残った米兵に対してどんな対応をしていたのかとちょっと考えさせらた。


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基本的に映画館で観るのは圧倒的に洋画。
去年映画館で観た邦画は日本アカデミー賞を獲った『沈まぬ太陽』のみだし、比較的テレビですぐ放映する邦画を映画館で観る気になれない。


まして米アカデミー賞前哨戦のこの時期は観たい映画が一年で一番多い時期。
『ハートロッカー』『しあわせの隠れ場所』『マイレージ・マイライフ』と、近日公開の作品を合わせればいくらでも見たい映画を挙げられる中で、今日観たのは『ライアーゲーム ファイナル・ステージ』。


『のだめカンタービレ』もドラマは観ていたけれど、一応話が完結していたので映画はテレビで放送するのを待とうと観なかったのですが、続き物で完結してないドラマを最後は映画でどうぞ、はとにかく続きが気になるので、そう悠長な事も言ってられず。それでも2時間スペシャルドラマでは無くお金を払って映画で見せようとする手法は商売意識強すぎだな、と興ざめしてしまうので、これまでに貯めた某映画館の鑑賞ポイントを使ってタダ観(笑)。上映2日目で観に行って来ました。


ストーリーはドラマ2ndシーズンラストでファイナル辞退を宣言していた神崎直の元にライアーゲームの招待状が届く場面から開始。決勝進出を決めていた人物の中から辞退が出たというのがその理由。出場を渋る直に対し、事務局の人間が「このゲームは人を信じあうゲームだから君は必要不可欠」と煽って、まんまと口車に乗せられた正直者の直はファイナルステージへと向かいます。


物語展開がグダグダだった2ndと違って、映画は皆で協力しましょう!という直に一見協力しようと見せかける参加メンバーの中から次々と裏切者が現れるスリリングな展開。裏切者が出る度に、相手の裏をかいて暴いていく、直のブレーンとも言うべき秋山の手腕も見事で初期の良さに戻ったな、と十分満足のいく内容。


ただ、普段は家の大して大きくないテレビ画面で観ていると違和感の無いゲーム会場は映画の大画面で観てしまうと何とも言えず貧相に見えて。特につい最近『Dr.パルナサスの鏡』みたいなCG駆使した幻想的な映像を観た後では本当に子供騙し。本当は笑うシーンじゃ無いはずなのに、画面のあまりのお粗末さにニヤリとしてしまうシーンも多々ありました。


それでも、主演の直&秋山の二人の熱演は『沈まぬ太陽』に匹敵する見応えあり。ゲーム主催者が判明したり、メンバーが信じあえるか?とのテーマに対する最後のオチは安易と言えなくも無いけれど、観客に中学生ぐらいの子供も多かったこともあり、こうせざるを得ないのかな、という感じで。嘘つきのゲームという名の物語の割りに予想を覆さない結末を迎えたけれど、それでもドラマ・映画を通して最近観た日本ドラマの中では本当に面白かったと言えます。だからこれで終わっちゃうのも何だか淋しい。レオナルド・ディカプリオとトム・ハンクスのコンビで詐欺師と彼を追う捜査官を描いた『キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン』みたいな詐欺を摘発するドラマでも直&秋山コンビで新たに作って欲しいぐらい(笑)。


ちなみに誰が裏切者かを暴く展開は、出演者のセリフがあまりに早くて私の貧弱な理解力では付いて行けず。ファイナルステージの勝負を決めるリンゴ投票順が裏切者を知るための大きな鍵になるので、せめて映画観ながら誰が何番目に投票したかメモれるノートPCか何かを映画館から貸し出して欲しいとか思ってしまいました。


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