それでも恋するバルセロナ

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今年初の試写会は、ペネロペ・クルスがアカデミー助演女優賞を獲ったことで話題になったウッディ・アレン監督の「それでも恋するバルセロナ」。


一言で感想を言うと、芸術作品になり損ねたドタバタコメディ。


ヴィッキーとクリスティーナの2人は夏休みを利用し、ヴィッキーの親戚が住むバルセロナへ。ヴィッキーは修士論文を書く準備をするために。クリスティーナは自ら撮影した短編映画の失敗を振り切るための気分転換に。
ガウディが創った建造物が立ち並ぶ芸術の都を二人は満喫。けれど、一人の画家の登場で楽しくも穏やかだったバカンスが一変し…。


映画は最初から最後までナレーションが多く、せっかく演技派のスカーレット・ヨハンソンやペネロペ・クルスが出ているのにナレーションが演技を損ねている、という感じでちょっと勿体無い気が。


ヴィッキーは結婚を控え若干マリッジブルー。クリスティーナは「自分が何をしたいか」を模索中。二人の悩みや問題を真面目に取り扱えば、芸術性高い作品になったと思うのに、ナレーションでストーリーをさっさと進め、ヒロイン二人の心理を掘り下げないことで底の浅い物語になってしまった気が。


ヴィッキー、クリスティーナ、マリアの3人のヒロインはそれぞれ個性があって良い味を出しているのに対し、対する男性陣がイマイチ魅力不足。3人のヒロインをくどき落とす画家フアンはただのプレイボーイ、ヴィッキーのフィアンセは頭が固く偏見を持つ堅物で、しかもフィアンセの心が揺れていて、果ては浮気までするのにすら気付かない鈍い人物。


かなり辛口批評になりましたが、試写会だったからまぁ良いかな、という感じでお金を出してまで観たい映画では無くて。好みの問題だと思うので、ドタバタコメディ大好き!という人にはお勧めです。


映画の中でちりばめられているセリフ(主にヒロインが発する)は思わず頷いてしまう良いものが沢山。コメディよりサスペンスなど、物語の筋がしっかりしている映画が好きな人は、ストーリー性をもとめず、セリフを楽しんだ方が良い映画だと思います。


蛇足ですが、試写会前に挨拶してくれたJ-WAVEのDJ南美布さんを生で見られたのは嬉しかったし、会場だった原宿QUESTの和食レストラン「山居」のおかみさんが見せてくれた長大なナスも面白かったです。やっぱり試写会って映画を観る以外の付加価値があるので楽しい。。


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ミルク

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ニューヨークの地下鉄階段で、偶然すれ違った青年に管理職クラスの年配の男性、ハーヴェイ・ミルクが話しかける。「今日は自分の誕生日なんだ」


偶然の出会いから始まり、同性愛者を始めとする全米国民の権利を守るために立ち上がったハーヴェイ・ミルクが政治家への道を駆け上がり、仲間の権利を守るために奔走した姿を描いた映画。主役のショーン・ペンがアカデミー主演男優賞を取ったこともあってか、上映開始から大分経つのにも関わらず、すごい人で驚きました。


主人公が最初にもらす「今日で40歳になった。だけど自分は誇れることを何もしていない」という言葉に対し、その日知り合った若者スコットが「だったら新しい人生を進めば良い」と勧め、二人はニューヨークを飛び出しサンフランシスコへ。そこで創めたカメラ店を拠点に、徐々に同性愛者のコミュニティ(?)を形成していきます。


ストーリーが丁寧だな、と思ったのは同性愛者に対する偏見を一方的に描いているのでは無く、ゲイ仲間の中にも精神的に問題があり、常に周囲を困らせる人もあり、ストレートの人でも偏見無く友情を築いていける人もいる。異常者とは、異性を好むか同性を好むかの違いでは無い。ゲイであろうと、ストレートであろうと社会に害を成す犯罪者もあり、まっとうな人生を送る真面目な者が多数を占めている、ということを、あからさまにセリフとして出てきた訳ではないけれど、映画を通してショーン・ペンが伝え続けていたように思えました。


ミルクをあからさまな英雄に仕立てておらず、作品中で「まるで独裁者だ」と言われるような印象的なシーンも。カリスマ性が突出した英雄では無く、欠点もまるごと含めて魅力的な人物像に仕上がっているのは、やはりショーン・ペンの演技力のたまものだと感じます。


恐らく、多数派よりも少数派、マイノリティの方が味方が少ないという理由で団結しやすいのだと思いますが、それでも全米を動かすゲイパワーは圧巻(笑)。自分達の権利を声高に主張するシーンが目立っていたため、映画ラストの静かな行進には思わず涙がこぼれました。


「クローゼットから出よう」というスローガンを元に全米の仲間をひとつにした主人公と、彼を見守り続けたスコットがミルクに投げかける最後のセリフ。同性・異性関わらず、二人のような心の底で繋がることができる人間関係を築けたらな、と思います。


自分の中で無意識のうちに偏見や差別観を培っていないかを見つめ直したい、そんな気持ちにさせられました。


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消されたヘッドライン

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路地裏でアフリカ系アメリカ人の少年が銃殺された。現場に居合わせたピザ宅配バイト中の大学生も撃たれ重体。事件を調査しに言った新聞記者カル・マカフリーは、戻った新聞社のテレビで現職上院議員で、学生時代のルームメイト、スティーヴン・コリンズの姿を見る。彼は、テレビで放映されていた審議会中に、その日の朝通勤途中に電車事故で亡くなった女性スタッフの死を報告し涙する。彼の姿は、そのスタッフとの愛人疑惑を生み、担当するプロジェクトに大きな影響を及ぼし…。


最初に見た印象が「ラッセル・クロウもただのオヤジになっちゃって…」。
太い、ムサイ、スクリーンから加齢臭が漂ってきそうなオヤジくささに、ちょっと圧倒。ただ、その彼が事件の真相を究明するため熱が入れば入るほど、グラディエーター時代の剣闘士の姿を彷彿させてしまうのが、圧巻の一言で。


一見何の関係も無さそうな路地裏の殺人事件と議員アシスタントの女性の事故死が繋がった瞬間、事件は一気にサスペンス色が濃くなり、スピード感も増して引き込まれていきます。特に情報源の情報から訪れた家での攻防は手に汗握る展開。事件の真相は二転三転し、しかもラッセル・クロウが記事の裏づけとして調査して聞き取った内容に真相へのヒントがきちんと隠されていて無理の無い展開になっているのもサスペンス好きとしてはたまらない内容に仕上がっていると思いました。


映画を通して面白かったのはWEB担当でWEB知識はあっても記者としての取材スキルはゼロだった新人記者、デラ・フライがどんどんスキルアップしていくところ。ラッセル・クロウは手取り足取り教えているわけではなく、基本的な記者としての考え方だけ教えて、あとは自己学習。彼女が記者としての仕事にのめりこんでいく様子が新鮮でした。


ただ、最終的に映画のメッセージとして感じたのが「他メディアがどんなに栄えても新聞は廃れない」という新聞保護メッセージだったのが、ちょっと…。

たしかに、昔気質の新聞記者役はラッセル・クロウに合ってるしカッコよかったのではありますが。。


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天使と悪魔

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原作から読んで、映画化するというパターンでは、大抵の場合失望する。

『ロード・オブ・ザ・リング』三部作についても、原作ファンとしては「ここは、こんな展開有り得ない!」という突っ込みどころ満載だし、『ハリー・ポッター』シリーズについても原作・映画両方良かった!と言えるのは個人的には『賢者の石』と『炎のゴブレット』ぐらい。

原作が長ければ長いほど、3時間程度の映像で表現するには無理がある。


前作『ダヴィンチ・コード』は、そんなガッカリ映画の典型例。

原作既読⇒内容が薄い!と怒り、原作未読⇒意味が分からん、という人が私の周りでは多かったような。。


そんな『ダヴィンチ・コード』と同様のラングドン教授シリーズ『天使と悪魔』を観て来ました。

結果は一言で言うと『前作より面白い!』。


原作では『ダヴィンチ・コード』がシリーズ第二作、『天使と悪魔』が第一作となる訳ですが、ストーリーとしては繋がりがある訳では無いし、殺人事件が4件発生する『天使と悪魔』の方が原作でもスリリングで映画の題材としては扱いやすかったのだと思われます。


本の中で「このシーンを映像化したら、そうとうグロイだろうな」と予想していたシーン、ほぼほぼ全て映画でバッチリ出てきていました。かなり残酷な殺人現場が展開するので、流血度は『ダヴィンチ・コード』に比べかなりの高さで。


それでも殺人を未然に防ごうと必死になって走るラングドン教授、宗教の伝統を守ろうとするヴァチカン公国の人々、そして何と言っても“カトリック教会のトップ”であるローマ教皇選出までの儀式を文字だけでは無く映像として観られるのはやっぱり嬉しい。

歴史的に由緒有る数々の聖地が血で犯されているのは事実なのですが、それにも関わらずヴァチカンとローマに行きたくなりました。


何と言ってもコンクラーベを行うシスティーナ礼拝堂。ミケランジェロの天井画は、やっぱり一生に一度で良いのでこの目で観てみたいと思います。