見えざるピラミッド-赤き紋章の伝説-
ラルフ・イーザウ著


単一の世界がある呪いによって分裂し、三つの異なる世界となり均衡を保っている。三つの世界とは地球、トリムンドス、アンクスと呼ばれる異次元の世界。だが異なる速度で揺れ動く三つの世界が最も接近する機会に結節点で何かを起こせば、世界を一つに束ねることができる――。


ファンタジーではお馴染みの今ある世界の裏側に存在する異なる世界。同じ著者の本では『ネシャン・サーガ』でも2つの世界が登場しましたが、その内容をより深く掘り下げたのがこの『見えざるピラミッド』になります。異次元空間を繋ぐ場所は、屋根裏部屋にある扉だったり、鏡だったり泉だったり“物”とされることが多かったのですが、この物語では三つの世界を繋ぐ重要な結節点は人(場所もあるので、それと差別化を図るために可動結節点と呼ばれている)。同じ時期にそれぞれの世界で生まれたフランシスコ、トレヴィル、トプラが知らず知らずのうちに三つの世界を一つに統一し、支配したいと考える支配者に狙われ、戦っていく姿が描かれています。


面白いのは元々が一つの世界であった事を示す遺跡が各世界に残っているということ。地球とアンクスでは結節点がクフ王のピラミッド「英知の間」であり、トリムンドスではロンドンだったりする。アンクスで壊れたピラミッドの内壁が地球でも壊れている。そして世界が三つに分裂した時の事が書かれた著書は地球にあるだろうとついつい思いがちであるけれど、トリムンドスの大英博物館(正確には図書館)に残されている。それぞれが“世界が三つに分裂した”経緯を探る旅に出るので、『ダヴィンチ・コード』を読んだ時同様、遺跡を巡る旅をしたくなりました。


イーザウ著書で一番お気に入りの『盗まれた記憶の博物館』に比べると私個人の中では評価が下がってしまいますが、数多く登場する戦闘シーンは迫力満点。まとまった休暇が取れず夏の旅行を断念した私のような方が本を通じて旅するには最適の物語となっています。



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