渡辺やよいの楽園

小説家であり漫画家の渡辺やよい。
小説とエッセイを書き、レディコミを描き、母であり、妻であり、社長でもある大忙しの著者の日常を描いた身辺雑記をお楽しみください。


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 昨日、我が家のミドリガメ(ミシシッピアカミミガメ)、亀子が死んだ。
 去年くらいから、急に首の辺りがげっそり痩せ、じっと目を瞑って寝ていることが増えたので、そろそろ寿命かな、とは思っていた。
 なにより、なんでもばくばく食いついていた食欲がめっきり衰え、嚥下する力が低下して、餌は小さく切ってあげないと飲み込めなくて口に入れたまま途方にくれていることも多かった。
 ヒーターを1年中付けっぱなしで温めてやり、なんつーか、老亀介護。
 それでも病気らしいこともなく、徐々に弱っていく感じが、老衰だなぁ、と思わせた。
 
 しかし、いくら亀が長生きだからといって、30年飼ってたうちって、珍しくないだろうか。
 そもそも、お祭りの亀すくいのミドリガメだ。お祭りものの生きものは、たいていはすぐ死んでしまう。劣悪な環境でさんざん人間に追い回されいじくり回されて、弱っているからだ。こういうのを最近は、すぐ残酷だとか可哀想とかいうけど、そもそも金魚や亀自身には、自分が可哀想とかおもう感情はないと思う。かれらは、粛々と与えられた環境で生きるているだけだ。飼えばなつくけど、そこに愛情みたいなものは確立しないと思う。人間側の受け取り方だ。私は生き物が大好きで、飼うことも大好きだからこそ、そう思う。そもそも、ペットに対する感情って、人間主体の問題だと思う。愛情かけるのは人間側で、生きものたちはそれを甘受するだけだ。ほ乳類くらいだと、そこに信頼関係とかも産まれるけど、魚類や爬虫類は、そういう感情めいたものがそもそも存在しないと思う。
 魚類や爬虫類を沢山飼育してきた私が、そう思う。
 星の王子様のきつねのうところの、「飼いならす」という言い方がぴったりするかな。
 でも、それでいいじゃん、と思う。
 私は、金魚すくいなんかは残酷だとか思わないんだよな。なんというか、人間の獲物を狩る原始的な欲望を満たすというか、生き物にほとんど触れることのない都会の子どもなんかには、生き物を捕らえ、飼う、そしてその死に立ち会う、という行為は必要だと思うんだ。言っちゃ悪いが、金魚すくいに使われる金魚は、観賞用からはじかれたクズ金魚で、金魚すくいに使われなければ、生き餌として出荷されてしまうのだ。だから、金魚すくいですくわれて、飼われることは幸運なくらいだ。弱っているとはいえ、金魚も亀も、きちんとケアすれば、ちゃんと長生きする。私は金魚すくいの金魚を生かすのが上手で、たいてい10年くらいは生かしてしまう。だから、子どもたちには金魚すくいで金魚すくってくるな、と言っている。うちにきたら、がんばって生かしてしまうから、どんどん水槽が増えてしまって、私の負担がハンパ無いからだ。

 で、亀子。
 亀子はうちに養女できた。知り合いの娘さんが、子どもの時に縁日ですくってきた亀で、それが体長30センチととんでもなくでかくなり、衣装ケースで飼育していたのだが、彼女が大学生になり、海外留学をすることになって、飼えなくなったのだ。家族は誰も世話したがらず、でかいミドリカメなど引き取る人が誰もいなくて、もはや処分するしかないと思い詰めていたところに、私がいた、というわけ。泣きつかれて、引き取った。まだ結婚もしてなくて、子どもも産まれていない時代である。
 引き取った時にはすでに10歳になっていた。
 でかくて凶暴で大食らいで、まあ可愛いとはお世辞にも言えない。
 ミドリガメは生後1年くらいは、綺麗な緑色で頬のところに鮮やかな紅があるが、大人になると、ただのどす黒い凶暴なでかい亀である。
 特大の水槽を購入し、UVライトやヒーターも設置し、亀は大量に排泄物を出すので、水換えも大変で、それでもせっせと世話をしたが、これがなつかないなつかない。私の顏をみれば、しゅーっと息を吐き出して威嚇する。ふてぶてしい面構えもあいまって、あまり可愛くないのだ。まあ、うちには犬猫もいたし、そのうち人間の子どもも産まれてそっちのほうが、はるかに重要事項なので、亀子はなんとなく飼っているという存在だった。それでも、子どもの小さいときは家のビニールプールで一緒に泳いだりして、交流していた。数年かかりで私にだけはなつき、餌をもらえるときにはばたばた二本足で立ち上がってねだるようになった。なついてくると、不思議なもので可愛く思えるから、人間っていいかげんだ。
 そもそも爬虫類は猫っかわいがりする生き物ではなく、付かず離れずの世話が一番長生きする。ということで、いつの間にか亀子は我が家に二十年もいることとなった。
 水棲亀の寿命は二十年か三十年ということで、亀子は寿命を全うしたといえる。
 今日、いつもうちの犬猫を火葬してくれる大蔵霊園に連絡し、荼毘に伏して合同埋葬してもらうことにした。さすがにお骨上げまではいいや、と思ったが、長年うちで暮らし寿命をまっとうした亀だから、ちゃんと弔ってやりたい。

 しかし、亀は長生きすぎるから、もう私はさすがに飼わねー、とおもうが、実は今うちには、生後1年くらいの石亀、亀男がおるのである。娘が日本亀が飼いたいと導入したが、結局世話しているのは私だし。まっとうに飼ったら、私80歳ですよー。
 「お母さんが死んだら、亀男を引き取ってよ。そこらの川に捨てちゃだめだからね」と、今から子どもたちに遺言してあるのだ。

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