今年何度目かの蜷川作品である。

蜷川さんの舞台はいつも刺激的で楽しみにしている。
幸いにもチケットがとれたので、
土曜夕方の混み合う電車を乗り継いで
渋谷のBunkamura シアターコクーン に行った。


今回の舞台は、シェイクスピアと同時代のイギリスで活躍した劇作家
ジョン・フォードの代表的な作品である「あわれ彼女は娼婦」
実の兄妹の禁断の愛という反社会的なテーマを投げかけ、
発表当初からセンセーショナルな話題を呼んだという
激しくも哀しい愛の悲劇である。


舞台は中世のイタリア、パルマ地方。
若く聡明で、将来を嘱望される青年ジョヴァンニには、
長く心をとらえて離さない想いがあった。
それは美しい妹アナベラに対する男性としての愛である。
彼は次々と現れる妹の求婚者たちを前に、
抑えのきかない熱情に駆り立てられるように愛の告白をする。
すると彼女もまた兄と同じ想いを抱いていたことを打ち明け、
ふたりは男女として結ばれることに。しかし、やがて妊娠が判明。
カモフラージュのために、アナベラはかねてからの求婚者
ソランゾのもとに嫁ぐことになる。
しかしソランゾはすぐに彼女の不義を見抜いてしまう。
怒り狂う彼は、おなかの子の父親が妻の実兄であることを知ると…。


宗教的な要素も多分に含みながら、
「真実の愛とは何か」、「正義とは何か」と正面から問いかける
舞台は今観てもなお、ずっしりと重いテーマを負っている。
しかしながら、許されぬ愛とその昇華を描く点では
「ロミオとジュリエット」にも通じる儚さと美しさを持っているし、
人間の正と負のあらゆる感情を内包しながら、
登場人物たちそれぞれの思惑を幾重にも絡み合わせ
ラストの悲劇へと加速させてゆくところなどは
エンターテイメント的な仕掛けも多く見応えがある。

蜷川さんの演出はこれまでのシェイクスピア作品などとも
共通することだが、400年近くも前に書かれた戯曲であることを
感じさせないほど現代的、都会的で、そこで展開する物語が
私たちとなにひとつ変わらぬ人間のものであることを伝えている。
悲劇でありながら、よい意味で軽やかさを感じさせる部分も多く、
それが主要な登場人物が若い俳優で占められていることに起因するのか、
蜷川さんが何か意識的になさったことなのかわからないが、
主人公たちと同年代の観客にも同じ目線で観やすく、
また共感しやすい舞台に仕上がっていると感じた。


さて、主要な3人の人物を演じる俳優について
少しばかり書かせて頂きたいと思う。
みな蜷川作品ははじめてとのことであるが、
実力派ぞろいでそれぞれに存在感がある。
時に美しく、時に生ぐさささえ感じさせながら、
若者らしい躍動する感情を体現する。

ソランゾを演じる谷原章介はモデルから
キャリアを重ねてこられたと記憶しているが、
その長身と美しい身のこなしは誇り高い貴族に適役である。
気品がありよく通る声も存分に生かされていると感じる。
クールでスマートな印象だが、後半は妻の不義を知るや激昂し、
血なまぐさい復讐へ自らを駆り立ててゆく男を全身で演じ迫力がある。
その誇りの高さゆえなおのこと、自らその愛の前に跪き懇願し
手に入れた愛が偽りであったことを知る怒りははかり知れないものだ。

ジョヴァンニを演じる三上博史には、
まるで何かが乗り移ったように演じる俳優という印象がある。
今回もまた、俗世間の垢にまみれることを嫌うようなナイーブさと
それゆえ純粋なままの情熱を内に秘めた青年の役を
実にデリケートに演じている。
一見華奢に見える体躯と透明感のある高めの声が説得力を増して、
多くの舞台経験を感じさせる安定した演技も見事だと思う。
ただもうひとつには、
狂おしい熱情に我を忘れ、最愛の妹を道連れにしてまで
破滅へと向かわざるを得なかった兄の狂気をもっと見せても
よかったのではないかと私は思ったのだが…どうだろうか。

アナベラを演じる深津絵里は映像作品に多く出演されているが、
舞台ではまったく違った印象を与える女優だ。
よく澄んで通るのびやかな声。
何ものにも染まるようでいながら、
たやすく揺らぐことのない存在感に魅せられる。
この舞台でも、嫉妬や憎悪に足を取られ
自らの手を血に染め血にまみれてゆく男たちのなかにあって、
彼女だけは最後まで気高く純粋で美しい。
追いつめられれば追いつめられるほど、
その透明度を増してゆく姿はまさに象徴的であった。
これからも多くの舞台で拝見したい女優だと思う。


加えて、以前にも書かせて頂いていると思うのだが、
人間の暗部が生み出す悲劇を視覚的な美へと昇華してゆく
蜷川さんの感性には今回も敬服の思いを抱いて帰ったしだい。
鮮烈な赤と白を効果的に取り入れられ、光を操り、
眺めていても鳥肌の立つようなシーンがいくつもあった。


とりとめのない感想に終止してしまって申し訳ないが、
俳優も演出もバランスのよい魅力的な舞台であったと思う。
次回の公演「オレステス」のチケットがとれなかったことが
残念でならないと、帰宅後あらためて思ったことだ…。


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蜷川幸雄公式サイト

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開場とともに場内に足を踏み入れると、
舞台上で若い俳優たちが
ストレッチで身体をほぐしながら発声練習をしている。
ぱらぱらと客席を埋めはじめた観客の前で
衣装を身につける者…打ち合わせをはじめる者…。
演出家の蜷川幸雄さんの姿も見える。

舞台稽古の様子をあえて見せるのは
これから繰り広げられる物語はあくまで芝居、
虚構の世界のことですよという、いわゆる前口上なのか。
はたまた客席と舞台との垣根を取り払い、
その虚構の世界に観客を引き込むしかけなのか。
蜷川さんらしい、風変わりで大胆な演出。
どちらにしても場内がすっかり埋まる頃には、
観客の視線は目の前で徐々にかたちを現わしてゆく
舞台上に吸い寄せられていた。


かけ声とともにライトアップ。幕が上がる。

シェイクスピアの中でも最も残酷とされる作品、
「タイタス・アンドロニカス」
2004年に好評を博した舞台の再演である。
今回は6月の英国シェイクスピア・フェスティバルでの公演に先駆け、
4月21日から5月7日まで彩の国さいたま劇場 で行われている。

ローマの将軍タイタスと戦争に敗れたゴートの女王タモーラ。
タイタスが生け贄として女王の息子を切り刻んだことから、
この両者の家族の間に凄惨な殺し合いが展開してゆく

欲望や傲慢、怒りや憎しみといったあらゆる負の感情によって
引き起こされる争いは、流される血が増えるほどに増幅し、
断ちがたい連鎖となって舞台上を悲しみで覆ってゆく。


その悲劇の舞台として用意されたのが、
一見シンプルな、白を基調とした装置と衣装だ。
ライトを跳ね返し鋭いほどの輝きを放つ白は、
おびただしく流される赤い血を受け止めながらなお、
痛々しいほどに美しく、冷ややかな印象を与える。
流れる血は赤い糸を、死体や切断された首や腕はオブジェを
使うことで目を覆うような生臭さは感じさせないが、
その色彩の対比があまりに鮮烈で見る者の胸を突き刺すようだ。
残忍さも醜さも徹底した美しさのなかに提示される。
蜷川さん独特の美意識が貫かれている。

舞台から客席まで俳優たちを縦横無尽に走り回らせ、
また白い装置にライトを当てて様々な表情をつくることで、
限られた空間を実に伸びやかに開放してみせるところなども
芝居の流れをイキイキとしたものにしていて魅力的だ。
場内いっぱいに吐き出される俳優たちのパワーと疾走感が、
収縮を繰り返しながら、約3時間の長丁場を
少しもだれることなくグイグイと引っ張ってゆく。


出演者の大半が命を落とす結末は
あまりに無惨で狂気じみてさえいるが、
そんななかひとすじの希望の光となるのがタイタスの孫。
長年に渡る殺し合いの末、もはや感情が麻痺してしまったような
大人たちのなかにあって、少年は最後、
空を仰ぎ何度も何度も言葉にならない叫びを上げる。
…その手は、今だ血で汚されてはいない。
少年のあどけなさの残る声が、
幕後も静かな余韻として心に残った。


女王タモーラを演じたベテラン麻実れいや、
彼女の愛人エアロン役で、若手ながら見事な存在感を示した
小栗旬など、俳優陣も充実している。

おおいに見応えのある舞台だった。


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土曜の夜、人込みでにぎわう渋谷の雑踏を抜け、
Bunkamuraオーチャードホール へ行って来た。
アイーダ・ゴメスと彼女の率いるスペイン舞踊団による
「アイーダ・ゴメス カルメン/サロメ」 のBプロを観るためだが、
今日が楽日ということもあってか、Bunkamuraは1F入口辺りからもう、
ざわざわとした熱気に包まれていた。
先日Aプロで、「IBERIA」(2005年カルロス・サウラ監督により映画化)
から組曲とアイーダ・ゴメスの新作「カルメン」を観て来たばかり。
(前回の記事はこちら)
それが非常に良かったので前回にも増して期待して来たわけだが、
周囲を眺めてみると、やはり熱心な観客が多い様子でなんだか嬉しくなる。

さて、今回のBプロは「フラメンコ組曲」と、2004年からの再演となる
「サロメ」
(これもサウラ監督により2002年映画化)である。

「サロメ」もまた、非常にドラマティックで好きな題材のひとつだ。
サロメはカルメンとともに情熱的な恋に身を投じる女のイメージだが、
ゴメス演じるサロメはまるでガラス細工のような繊細さを感じさせる。
知ってしまった母の不貞、義父の好色な眼差し…。
宮廷に居場所を失い、彼女の情熱は行き場を求めて内へ内へと向かってゆく。
ためらうことなく人生を謳歌し、感情の趣くまま死をも恐れぬ
カルメンの情熱とは、それは対極のものとして表現されている。
宮廷でひとり心細げな様子や、牢獄のヨハネに想いを寄せ、
恋する喜びに身を震わせる様子など実に美しく、少女のように可憐でさえある。
しかしながら、彼女の揺れる心をなぞり波のようにうねりを繰り返す身体は、
彼女の纏う深紅の衣装とともに、その内に秘められた情熱を体現する。
前回の「カルメン」同様、ゴメスの衣装へのこだわりはなかなかのものだ。
この深紅のドレスが、後半ヨハネの拒絶によって
愛を憎しみへと転化させてゆく場面で、次第に激しくなる動きで大きく翻り、
まさしく燃えさかる炎のように見えるのだ。
しかも一旦吹き出すと、その情熱の炎は彼女ばかりか周りのすべてを
焼き尽くす勢いで物語を悲劇的な結末へと追い立ててゆくことになる。

この辺りから有名な見せ場のひとつである”7つのベールの踊り”、
ヨハネの斬首からサロメの狂死へと、
次第に加速度を増してゆく舞台に目が離せなくなった。

あれほど恋い焦がれ求めてやまなかったヨハネを手に入れた瞬間、
彼女は永遠に彼を失ってしまったわけである。
自らの情熱に身を滅ぼした悲劇の女の姿を、舞台の上で彼女そのものとして
生きるように演じてみせたゴメスは本当に素晴らしかった。


カーテンコールではまたもや拍手が鳴りやまず、
ゴメスはほかのダンサーたちと何度も登場し、挨拶をしてくれた。
舞台上から笑顔を送りながら、客席のひとりひとりを見回すように
視線を合わせてゆく。達成感が伝わってきた。
拍手とともに歓声があがった。
瞬間、彼女の大きな瞳にキラリと光るものが見え胸が熱くなる。
観客もまた、舞台をつくる一員なのだという幸福な実感を久しぶりに味わった。


個人的には再演を重ねている「サロメ」の方がより好きだが、
機会があれば彼女とスペイン舞踊団の公演はまた観に来たいと思う。
昨日観たばかりで、もう次回を望むのは性急すぎるだろうか…。



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【映画化作品】
ポニーキャニオン
サロメ

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鳴り止まない拍手、そして場内一斉のスタンディングオーベーション。
前の席にいると、後ろから観客の発する熱気が迫ってくるのを感じた。

ダンサーたちがアンコールに応え即興で見せてくれた踊りも含めて、
緞帳が下りるまで20分はかかったのではないだろうか。
そのくらい会場中が興奮に包まれていた。
…素晴らしい舞台だった。

昨日、Bunkamuraオーチャードホール で、
アイーダ・ゴメスと彼女の率いるスペイン舞踊団による
現在公演中の舞台「アイーダ・ゴメス カルメン/サロメ」 を観て来たところ。
今だ身体の芯がじんわりと熱く、興奮覚めやらないところである。


今回の公演は短期間ながらもAプロとBプロとに分かれ、なかなか贅沢な構成だ。
Aプロでは、2005年製作のカルロス・サウラ監督映画「IBERIA」より組曲と
アイーダ・ゴメスの新作「カルメン」を上演。
またBプロでは、2004年に絶賛を博した「サロメ」
(これもサウラ監督により2002年に映画化)の再演が果たされる。


昨日はAプロの楽日。
アイーダ・ゴメスは今まで映画作品でしか観たことがなく、
初めて目の前にその演技を観ることができると思うと幕前から胸が高鳴った。
しかも幸運なことに中央の前から3列目の席を確保することができたので、
やや視界が狭くなるという点はあるものの、
非常に迫力ある舞台を間近に観ることができ堪能した。

踊りはあまり細かな感想が述べられるほど観慣れていないので、
如何せん言葉が足りず申し訳ないが初心者なりの感想を少しばかり。
ゴメス好き、ダンス好きの方にはどうかお許し願いたい…。

カルメンはこれまでにも何人かの監督によって映画化もされているし、
私自身は好きな題材のひとつだ。
ゴメスのカルメンは炎のように情熱的、挑発的でありながら、
内面に氷のようにどこかひんやりとした感触も合わせ持つ女性だ。
けれどもそれは、私には冷淡ではないような気がする。
工場で、酒場で…
彼女は女たちを罵り、男たちを挑発しながらもなお誇り高く毅然として、
前半まとっている純白の衣装のように凛として美しいからだ。
ほかを寄せつけないような強さと言ったらよいだろうか。
そのせいか、一瞬の激情に身を任せながらも、
彼女のカルメンに奔放という言葉はなんだかそぐわない。
芯の強い、大人の女を感じるのだ。

こう感じるのも私の印象にしか過ぎないし、
カルメンはジプシーなのだからもっと大地の匂いがしても
よいという感想もあるかもしれないけれど、
私は彼女のカルメンが今まで観たなかでは一番好きである。

90分の舞台が短く感じられるほど魅せられたが、
やはり間近でダンサーの動きを観ることができたことにも感激した。
時にぐんっ、としなる弓矢のように張りつめ跳躍しかと思えば、
指の先までしなやかに、まるで蝶のように曲線を描いてみせる。
音が聞こえるのではないかと思うくらいに
どくんどくんと波打つ筋肉の美しさに圧倒されながら、
思わず緩急自在といういう言葉を思い浮かべてしまう。
以前「バレエ・カンパニー」(ロバート・アルトマン監督/2003年)
という映画で、ダンサーたちが強靭でしなやかな肉体をつくり上げ、
舞台に立つためのレッスンを重ねる過程の過酷さに驚いたことがあったが
目の前にすると本当に頭の下がる思いがする。

鳴り止まない拍手に、疲れた身体で何度も何度も応えてくれた
ゴメスとスペイン舞踊団のダンサーたちに心から拍手を送りたいと思った。


今週末はBプロも観に行く予定である。
今から待ち遠しい…。


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【参考までに】
「carmen.カルメン」(2003年製作/ビセンテ・アランダ監督)もおすすめ。
こちらのパス・ウ゛ェガ演じるカルメンは、
ゴメスとは対照的な印象を受けるが、実に豊満で野蛮で魅力的。
その存在感はまさに野に咲く大輪の花といったところだ。
レオナルド・スバラグリア演じるホセを純情な青年士官とすることで、
逃れることのできない破滅的な愛に身を投じる姿に一層の説得力を感じさせた。
ハピネット・ピクチャーズ
carmen. カルメン【完全無修正(R-18)エディション】

【文中にて紹介の作品】

ポニーキャニオン
サロメ
エスピーオー
バレエ・カンパニー

ダブリンの鐘つきカビ人間

5月にはじめて観た「Shuffle」からハマって、今年3本目の後藤ひろひと作品。
ここまで来たら、もはや好きなものに理屈はないという感じだ。目下、お休みよりもお財布の中身よりも優先順位が先に来るなんて困ったこと…。いやしかし、存分にたのしんだ約2時間の舞台。前回の「姫が愛したダニ小僧」同様、天候には恵まれなかったけれど、おおいに笑って身体の芯からいい気持ちである。

今回の舞台は、2002年に脚本の後藤ひろひとさんと演出のG2さんのコンビで初演され評判を呼んだ作品の再演とのこと。DVD化もされている前作はまだ観ていないけれど、おそらくこれは生まれ変わったまったく新しい作品として、純粋に楽しんで正解だろうと思った。今回も破綻すれすれかと思うような、コメディとシリアスの境界線をうまく渡りながら完成度の高いエンターテイメントに仕上げている。作家と演出家が別というのも、あるいはバランスがとれてよかった点かもしれない。

ストーリーは後藤さんらしい寓話性に富んだファンタジックなものだ。小さな頃に夢中になったおとぎ話のように、のびのびと想像の羽根を広げながら、自由に時間と空間を行き来するたのしさを味わわせてくれる。おおよそ以下のような内容である。HPを参考にさせて頂いた。

舞台はとある山のなか。
旅行中の聡と真奈美は霧のため立ち往生し、老人の住む山小屋に一夜の宿を求める。そこにどこからか不思議な歌と鐘の音が…。やがて老人が話しはじめる歌と鐘にまつわる物語を聞くほどに、ふたりの心はそのさなかへと引き込まれてゆく。
物語のはじまりは遠い昔。この土地に不思議な病が蔓延し、住人たちを苦しめていた。
ある人は指に鳥が止まる病。ある人は遥か遠くのものが見えすぎる病。はたまたある人は知らない名前ばかりを口にしてしまう病。なかでも最も不幸な病に冒されたふたりー誰もが恐れるほど醜い容貌となったカビ人間と、思うことの反対の言葉しか話せなくなった娘、おさえ。ある出来事から互いに惹かれ合うようになったふたりだが、カビ人間を想うほど、口をついて出るのはひどい罵倒の言葉。やがてそのおさえの言葉が彼を窮地に追いつめていく…。

ラストは美しいと同時に、ひどく残酷で痛々しいものでもある。表面的なものに囚われるあまり、時に大切なものを見失ってしまうことの危険を、一見可愛らしいおとぎ話にまぶして差し出してみせるのがうまい。結末の重さに引きずられずに済むのは、コメディとシリアスのさじ加減の妙だと思うけれど、観客がうっかりするとその勢いに振り落とされてしまいそうでなかなか油断がならず、そこがまたおもしろいところでもあった。

次の舞台はいつだろう。
幕が下りた瞬間に、もう次はいつかと考えているなんて…やっぱり困ったことである。

〈2005年10月28日(金)~11月13日(日)ル・テアトル銀座 にて公演/
その後、名古屋・大阪・福岡・広島・松本へ〉

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「ダブリンの鐘つきカビ人間」

【作品データ】
staff*
作:後藤ひろひと
演出:G2
企画:G2プロデュース
制作:パルコ/リコモーション
制作協力:キューブ

cast*
片桐仁(ラーメンズ)/中越典子/橋本さとし/山内圭哉/中山祐一朗/及川健/ 八十田勇一/田尻茂一/トロイ/山中崇/平田敦子/土屋アンナ/姜暢雄/後藤ひろひと/池田成志/若松武史

【作品情報】
(パルコ劇場)
http://www.parco-play.com/web/play/dublin2/

(G2プロデュース)
http://www.g2produce.com/g2p/dkk2/

【Piper公式サイト】
http://www.piper-z.com/indexpc.htm

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