おととし退園したY太の母から電話があった。
何事か、と身がまえたら、ごぶさたしてますのあとに、突然
「アノー、カなんですけど」
と言う。
しかも「メ」にアクセントのある言い方だったので、一瞬
「え?こっとう品?……」
さらにしかも、2度同じことを繰り返して、ますます?だった。

 でも、私の沈黙に気がついたのか、
メなんですけどォ」
と言いなおしたが、それもおかしい!何の説明もなく。

 それは亀のことで、自分の家に飼っていた亀を友人のMさん(峠へY太を紹介してくれた人)にあげたけど、結局いらないので返すと言われた。
峠で引き取ってもらえないか、という事だが、相変わらず話がよくわからん。
亀の種類も忘れ、でも外来種で暖かい国のものらしい、とか。

 普通に飼える亀だったら引き取ってもいいけど、自分の家ではもう飼えないの?にはムニャムニャ……。
主人が行ってくれると言うから、これからMさん宅へ引き取りに行って、峠へもって行きます、と言うから、じゃあ、現物を見て、詳しく聞いてからね、と電話を切った。

 返す刀で、ではないが、Mさんに電話。
「エーッ!せんせいのとこへですか」
と、びっくりしてた。

 だいぶ前に、亀を飼おうかなって話をしたことがあるが、4~5日前に何の連絡もなく亀と水槽を持って来て、前に欲しいって言ってたからあげると、置いていった。
その後、外に置くつもりだ、と言ったら、初めて外来種で、暖かい国のものらしい、と後出し。
種類(名称)を教えてくれたらネットで調べるから、には、忘れたけど、外来種でお父さんの名で届けも警察にだしてある。
ペットショップは潰れてもうない、と、さらに後出し。
それで、わが家ではムリだから返したい、と言ったのだそうだ。

 わかるなぁ、相変わらずだなぁ、Y太母。

 で、結局持って来たのだが、峠でも作業室でしか飼えないが、ここは寒くて、真冬には2度ぐらいまで気温が下がる。
種類がわからないと、飼育方法もわからないし、調べた結果、峠ではムリとわかったら返してもいいのか、と確認した。
ええ、それは、まァ責任持って、と言うが、一連の騒動と、われわれが知っているY太母の特性から、「これはあやしい」と思い、直接お父さんに言うね、と車中の父に同じ話をして、
「生きものだから、無責任にいいよというわけにもいかない」
とつけ加えた。

 ムッとしたらしく、じゃぁ、めんどうだからこのまま持って帰ります、と水槽を積み込み、帰って行った。
それなら最初からそうればいいのに。

 帰りの車中は、ケンアクだったろうな、とおかしかった。

 見たところかめは、体長12~13センチぐらいで、おとなしそうだし、飼ってもいいとは思ったが、
「なんでこの人たちの尻ぬぐいみたいなことをしなきゃなんないの?」
こんなことで峠へ来られる立場じゃないでしょ、といってやりたかったが、通じないし、おとなだから言わなかった。

 夜、Mさんに電話して、ことの次第を話した。

 それにしてもMさん、またやられましたねぇ……。