2016.1.1

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 先日。
誰も来る予定がなかったのでだらだらすごすつもりでいたら、午後、いつもの電話なしでM君が来た。

 「お正月ぐらい、あいさつに行かなくちゃと思ってさぁ。」

 彼は、創設当時の在園生。
今、グループホームで暮らしてる。
おととしお母さんが交通事故死して、親が手配して約束してあったホームだ。

 父がガンで亡くなったあと、長いあいだ母と2人暮らしだったから、彼のショックは大きかった。

 毎日のようにやって来て、話しては泣き、泣いてはグチった。
話を聞いてくれるところは峠くらいしかなく、通っている作業所でも、悩みは話せなかったから。

 「信号のないところは渡るな、とかいつも言ってたのに、だいじょうぶだって言うこときいてくれなかったから」
母親の股関節が悪く、心臓も悪く、早足で歩けなかった。
「お姉さんは、おまえがついていながらって怒ったけど、ぼ、ぼくは、ぼくは作業所に行ってたんですよォ」
どう考えても、彼が責められることではない。
「おにいちゃん(義兄)は、おまえが長男の役割をはたさないから、おれが大変だって、ぼくに怒るけど」
長男の役割なんかはたせないから、義理の息子を後見人にしたんだろうが。
「もう、なんかゆうびんがくるたびに、どきどきして、頭が痛くなるんです。また、怒られたり、やなこと言われたりするから」
一番つらうのは彼だろうと思うのだが、よくも弱い立場の弟を責めたてることができるもんだ、とハラが立ったし、M君がかわいそうだった。

 今、グループホームでの生活も落ち着き、つきに月に1回計算書(生活費の)を持って行く以外は、姉の家に行かない。
「行っても、やな顔されるしさぁ」と言う彼に、「今の生活場所はホームなんだからね。」とは言っても、友だちづきあいのようなこととか好きなこと(趣味?)もないから、話を聞いてもらって、昔……峠地代……をなつかしむぐらいしか時間の使いようがない。

 それでも、「どうして自エータイが戦争に行くことになるの?」なんて話を振ってくる。「みんなが反対してても、どうして決まっちゃうの?」なんて言う。

 ホームでそんな話が出てるのかと思ったら
「テレビで大さわぎしてたじゃん」

 彼はえらい!個室で、ひとりでテレビのニュース見て、どうしてなのか考えたのだ。
彼の能力から言って、すごいこと。
何も考えない、何も思わない「健常者」たちも多いのに。
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