テーマ:SANDY DENNY
FAIRPORT CONVENTION「Unhalfbricking」
このサード・アルバムのすんばらしさを果たして己の未熟な文で伝え切れるのか・・・。
ジャケを含めてこの内容を超えることなんて不可能でしょう。フェアポートの最高傑作。
瑞々しいセカンドに続く躍動感溢れるサードと言えるでしょうか。
ジョー・ボイドも「自分が関わったアルバムの中でのベスト」に挙げていました。
何十回聴いても、聴く度に益々好きになっていくアルバム。この先何百回聴いても同じだと思います。
私が今まで聴いたフェアポートのアルバムで最も好きなアルバム。
突然不穏なギターのイントロでアルバムのオープニングを飾るのはトンプソン作の“Genesis Hall”。
もの悲しくも美しいメロディを一段と貫禄を増したサンディが情感たっぷりに歌い上げる
極上の名曲・・・。私はこの一曲だけに3000円払えます。
サンディはといえば、“Autopsy”と“Who Knows Where The Time Goes?”を提供。
後者はつい先日も貼り付けた彼女の代表作であり、彼女の最も有名な作品でもあるんですが
もうここでは既に‘名唱’と言えるレベルの歌声を記録するに至っています。
まだ22歳ですよ!ここ日本で大安売りされている「歌姫」という言い回しはこういう場合に使用するんです。
今作に収録された唯一のトラッド“A Sailor's Life”は十分越えの大作ですが
静かに始まり、豊かな表現力で歌い上げるサンディの歌声と共に徐々に盛り上がっていき
後半はド迫力のアンサンブルを聴かせます。ゲストのフィドル奏者デイブ・スウォーブリックが
素晴らしい演奏でこの曲の本気度を高めています。彼のこのアルバムでの貢献度の高さは半端なく、
次作以降の方向性において正式メンバー入りは必然だったんでしょうね。
で、このアルバムにもディランのカヴァーが収録されてます。それも三曲。
アルバム二曲目に配置された“Si Tu Dois Partir”は "If You Gotta Go, Go Now"の
フランス語カヴァー。スマッシュ・ヒットを記録したシングルにもなりました。
ケイジャン(米国南部のフランス系移民が始めた音楽)風味のアレンジが効いてます。
サンディの可憐な歌声がラブリーな一品でもあります。シリアスな“Genesis Hall”と“Autopsy”
の間にこれが挟まれていることがアルバムにおいて良いフックになってますね。
“Percy's Song”はアルバム終盤のドラマティックなナンバーで
本作収録中に脱退したマシューズとサンディとの最後のコラボ。
フェアポートのディラン・カヴァーって、他の曲もそうですが
原曲のメロディが引き立つ素晴らしいアレンジと歌唱ばかりなので
「カヴァー」って感じがしないんですよね。ビートルズの初期作と同じ感覚と言いましょうか。
で、選曲もディランのオリジナル・アルバムに収録されていないマニアックな曲ばかりです。
おそらくディラン本人からの直通ルートによるカヴァーではなかったと思いますが・・・。忘れました(汗)
そしてアルバム最後のナンバー“Million Dollar Bash”。
ゲスト・ヴォーカルにマーク・エリントンを迎え、サンディとリードを分け合うこのナンバー、
跳ねるようなグルーブが楽しそうに演奏するメンバーを聴く者に思い描かせる
この充実作の最後を飾るに相応しいトラックですね。スウォーブはここではマンドリンをプレイしてます。
まさにこれ以上無い大団円。
というわけで、何というか全てが詰まった文句なしの一作。
おまけにこれぞ英国!というような美しいジャケット・・・。最高です。
ちなみにここに写る夫婦はサンディの両親であります。う~ん、気品漂うお二方。流石彼女のご両親。
さて、順風満帆のバンドはまさにさぁこれから・・・という感じだったんですが
このアルバム録音直後、ライブ終了後にメンバーが乗った移動バスが事故を起こし
ドラマーのマーティン・ランブルが死亡するという悲劇が襲います。
他のメンバーも重傷を負い、(サンディは後の旦那様トレヴァー・ルーカスのバンドのバスに
乗っていて難を逃れた)この事がこの後のバンドの運命を変えることになります。
“Genesis Hall”
“Si tu dois partir ”



