陛 下 | ナベちゃんの徒然草

ナベちゃんの徒然草

還暦を過ぎ、新たな人生を模索中・・・。

時々マスメディアの報道でご外遊や式典のご出席などの様子が報じられますが、天皇皇后両陛下は普段どのような日常を過ごされているのかは、中々私たち国民に伝わってきません。


そのお二人のご様子を、嘗て10年半にわたり侍従長を務められた現・宮内庁参与の渡邉 允(まこと)氏が月刊 『致知』 7月号にて語られていましたので、以下に抜粋・編集にてご紹介させていただきます。


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両陛下は毎朝6時にはお目覚めになり、お二方で吹上御苑の森の中を散歩なさっています。 驚くべきことに、ご病気の時を除いて、この6時起床を変えられたことはありません。

普通はその日の予定に合わせて起床時間を決めたり、休みの日は遅くまで寝ていたくなるものでしょう。


しかし1年を通じて時間を変えないという規律を自らに課しておられる・・・そこに私は陛下の一貫した強靭な意志力を垣間見る思いがします。

そんな陛下の1日は、本当にお忙しいものです。

例えばまず午前中、宮中三殿で宮中祭祀を執り行われた後、午後は宮殿において社会福祉関係者の拝謁や認証官任命式<※国務大臣その他の官吏を任命し、辞令を交付する儀式>がある。 


その後新しく着任した外国大使夫妻のためにお茶会をなさり、夜は御所で近く訪問予定の国の歴史について、学者の話をお聴きになる。

通常、夜10時半が御格子<※みこうし=陛下が御寝(おしずまり)になること>ですが、大抵両陛下はそれ以後も翌日の行事のための資料や式典で読まれるお言葉の原稿に目を通したり、外国の国王・王妃にお手紙を書かれたりされているようです。

このように朝から晩まで次々と性質の異なるお仕事に取り組まれており、それが1年を通じて続くことになります。


両陛下がお出ましになる大きな行事や式典は休日・祝日に行われることが多いため、5日働いて2日休むという生活のリズムもないのです。


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そこまでしてご公務に邁進される陛下の根底にあるもの・・・それは、「国民のために」 という思いにほかなりません。

陛下のその思いが一つの形として具現化される場が 『宮中祭祀』 です。
これは、陛下が国家国民の安寧と繁栄をお祈りになる儀式のこと。

陛下の一年は、元旦朝5時半から執り行われる 『四方拝』 で始まります。

外は真っ暗、しんしんと冷えている中、白い装束に身をまとい神嘉殿の前に敷かれた畳の上に正座され、伊勢神宮をはじめ四方の神々に拝礼される。

その後宮中三殿に移られて 『歳旦祭』 を執り行われ、五穀豊穣や国民の幸福をお祈りになるのです。

このように陛下が執り行われる宮中祭祀は年間20回程度ありますが、この中で最も重要とされるのが11月23日の 『新嘗祭』 です。

※『新嘗祭』に関しては、下記拙ブログ記事をご参照ください。(

< http://ameblo.jp/warmheart2003/entry-11399994067.html >


夜6時から8時までと、夜11時から翌午前1時までの2回、計4時間にわたって執り行われる間、陛下はずっと正座で儀式に臨まれます。


我々も陛下がいらっしゃるお部屋の外で同じように2時間正座を続けるのですが、これは慣れている人でも難儀なことです。 

私は毎年夏を過ぎると正座の練習を始めていました。


ある時、陛下の元に伺うと、居間で正座をされながらテレビをご覧になっていたことがありました。

やはり陛下も練習をなさっているのかと思ったのですが、後でお聴きしてみると、陛下はこうおっしゃったのです。

「足がしびれるとか痛いと思うことは一種の雑念であって、神様と向き合っている時に雑念が入るのは良くない。 

澄んだ心で神様にお祈りするために、普段から正座で過ごしている。」

その取り組み方ひとつとっても、専ら肉体的苦痛を避けたいと思っていた私とはまるで次元が違うと感服した一瞬でした。

これらさまざまな宮中祭祀の多くは国民の祝日に行なわれています。
つまり私たちが休んでいる時に、陛下は国民の幸福をお祈りされているのです。

そのことを私たちは忘れてはなりません。


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その他、大きな地震が起きた際にも狼狽えず直ぐにテレビをつけて情報を収拾し、ご自身よりも国民の安全を気にかけておられたエピソードなどが記されておりました。

〝国民が第一、自分は二の次〟・・・普段からのこうしたお考えや姿勢が両陛下から滲み出ているからこそ、東日本大震災の被災地をお見舞いされた際、多くの被災者に希望と勇気を与えて下さったのでしょう。

逃げるように現場を離れようとして被災者から厳しい言葉を浴びせられた当時の総理大臣とは、比較することすら憚られます。

日々私たちのために祈りを捧げられている両陛下に感謝し、その思いに応えられるような国民にならねば!・・・と、改めて気を引き締める私です。



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