和力ブログ

WARIKI blog


テーマ:
 私は秋田県で育ちましたので、ポケットに手を入れたままでもツルツルの雪道を速足で歩くことが出来ます。滑る道を歩行する事に習熟しているのがちょっとした自慢です。雪道を歩くのにはコツがあります。体の芯を揺らさないよう、かかとからで無く、足裏全体で着地して、道に着けた足跡をくずさない心持でそっと足を抜きあげ、座布団に収まるほどの狭い歩幅で足を運びます。ペンギンのようなこの歩き方、何かに似ていると思って記憶の糸を手繰っておりましたら、小学校まで4㎞あった通学路、学校帰りに間に合わず、衣服の中で用を足してしまった後の歩行に酷似していました。それを揺らしてこれ以上事態を悪化させてはいけない切迫した体験から得たこの身体感覚は、体の芯や軸を確認する感覚として、私の中では重要な体験です。この感覚を人生の早い段階で体感できたことを、今では幸せに思います。
 民俗舞踊を教えて頂く場面で何度も耳にした、「座布団一枚の中で舞え」、という言葉は、地域は違えども、多くの場で受けた教えです。座布団一枚の大きさを考えた時、田んぼの中での作業が思い出されます。ぬかるんだ田んぼでは、足を抜くのも差すのもペンギンのような「なんば歩き」になります。試しに泥に埋まった足を抜こうとしてみてください。必ず右足と右手、左足と左手が連動する「なんば」になるはずです。草を抜いたり苗を植えなおしたりできるのは自分の足元、おおよそ座布団一枚分です。これも試しに、苗が植わっていることを考慮して、肩幅に構えた両足が泥に埋まった状態と仮定して、つま先の向きを変えずに地面に触ってみて下さい。座布団一枚くらいが作業範囲であることがわかります。農耕民族であった私たちの祖先は、仕事の中から「なんば歩き」を体得し、更に舞踊化し、座布団一枚の空間が、身体を支えるのに必要で十分な広さであることを実感してきたのだとおもいます。私に鬼剣舞を教えて下さった師匠は、『座布団一枚の中で踊れ。』とおっしゃいました。その師匠は、どんなに激しく動いても、同じ場所にふわりと着地して、ピタリと形が決まるときの足踏みからは、不思議なことに足音が聞こえませんでした。師匠は冬には炭焼きをしていたそうです。きっとカチンコチンに踏み固められた雪道を、原木を背負って何度も何度も運ばれたのでしょう。座布団一枚の中で動く感覚を、師匠は生活と労働の中から体得され、私は小学校の帰り道に独自の方法で身に付けました。
AD
いいね!した人  |  コメント(0)  |  リブログ(0)

AD

ブログをはじめる

たくさんの芸能人・有名人が
書いているAmebaブログを
無料で簡単にはじめることができます。

公式トップブロガーへ応募

多くの方にご紹介したいブログを
執筆する方を「公式トップブロガー」
として認定しております。

芸能人・有名人ブログを開設

Amebaブログでは、芸能人・有名人ブログを
ご希望される著名人の方/事務所様を
随時募集しております。