2007-03-06

ガールズ・トーク ~いとしさと、せつなさと、

テーマ:恋とか愛とか

それはサンディが大学に入って間も無い頃の話だ。



ドイツではギムナジウムと呼ばれる中・高一貫の進学校が9年間という長い期間を要するので、大学に入るのは早くても19歳だ。

(ちなみに小学校は4年生、10歳まで)

男子は徴兵制度があるし、女子も1年間研修や奉仕活動、語学留学などをするケースが多く、20歳で大学新入生というのが珍しくない。



サンディもその時、20歳だった。



入学してまもなく知り合った同級生のミヒャエル(男)と知り合った。

偶然だが、ミヒャはサンディの地元からあまり遠くない街出身で、そんな気安さもあり、すぐに打ち解けた。


背がスラっと高く、整った顔立ち。

一目見て、サンディもなんてカッコイイんだろう、と我を忘れて見惚れてしまったほどだった。

一緒に歩いていると、通りすがりの女の子が振り返ったり、じっと視線を投げかけたりする。


しかし、当のミヒャはそんなことには一切お構いなしで、朗らかで親切で感じが良い。

講義を受けるのも一緒、移動するのも一緒、昼ご飯を食べるのも一緒。


話をすればするほど惹き合うものがある、

気が合うなんてそんな生易しいもんじゃない、

すべての感情を分け合うことができる気がする、

お互いに対する信頼感は増すばかりで、

急速に接近していく二人だった。


はっきりとした言葉も態度もなかったけれど、どちらも自分の気持ちを意識し、そしてお互いの気持ちに気付いていた。

気付かずにいることも、気付いていない振りをすることも、もはや不可能だった。

気付きながらも、どっちからもはっきりした次の一歩は踏み出さない。

しかし、そんなことにはお構いなしに、お互いへの気持ちばかりがどんどん膨れ上がっていく。



ミヒャと仲良くなればなるほど、サンディは追い詰められていき、苦しくなっていった。



当時、彼女にはすでに、パートナーがいたのだ。



女性を愛している自分。

パートナーもいるのに、なぜかミヒャのことを思うと胸が苦しくて仕方がない。

そんなはずはない。

自分のことを「こっち側(これはサンディの使った表現そのままです)」に属する人間だと思っていたのに、

こちら側で生きていこうと決めて、ようやく心の平穏を手にしたところだったのに、

ここへ来て男性に恋するなんて、、、。



彼女はひどく混乱していた。



誰かを愛しく思う、

その感情は、

必ずしも相手の性別を限定して芽生えるものではない、

そのことを当時の彼女はまだ知らなかった。


当時20歳のサンディにとって、女性を愛する自分を受けとめるということは大変な覚悟でもあっただろう。

今から10年以上前。

彼女の育った田舎の小さな町では、同性間のパートナーシップはまだまだタブーであったに違いない。



ある週末、サンディは久しぶりに両親が暮らしている地元に帰ることにした。

すると、偶然にもミヒャも両親の居る地元を訪れるという。


どちらからともなく、方向も一緒だし、それじゃあ片方の車で一緒に行こうと言い出し、話はすぐに決まった。


ミヒャの車で彼の地元まで行き、サンディはそこからバスで地元に帰ることにした。


いつものごとく一緒に居ると、話しても話しても話題は尽きず、ただ楽しく、瞬く間に時間は過ぎていく。


気がつけば、ミヒャの地元に着いてからさらに4,5時間が経過していた。

サンディの地元へ行くバスの最終便の時間が迫ってくる。


行かなくちゃ、

でも後ろ髪を引かれる思いで歩き出すことができない。

ミヒャの顔に目をやると、彼も何とも言えない苦悶を顔に浮かべている。

さっきまでのお喋りの勢いがウソのように、黙り込む二人。

必死で言葉を探しているのに、何か言おうとすればするほど、何も出てこない。

まるでしゃべり方を忘れてしまったようだ。

気持ちはちりぢりに引き裂かれ、頭の中では取り止めのない思考が渦巻いている。

グルグルと回っているだけで一向に収集がつきそうにない。


もうだめ、これ以上はここに居られない、バスが来ちゃう、行かなきゃ。


意を決したサンディは立ち去る準備をする素振りを見せた時、

ミヒャが言葉を発した。



サンディ、君にどうしても言わなければいけないことがあるんだ。



オレ、、、、



実はオレ、、、、、
















彼女が居るんだ















あ、あ、あ、




















あたしも彼女がいるのおぉぉぉ


わぁぁぁぁぁぁ(号泣)







ずっと無理に胸の中にしまい込んでいた感情を一気に解き放ち、

堰を切ったように泣きじゃくる、

もうどうにも止められない状態のサンディ。


その横で、ミヒャはただただ呆然とした面持ちで立ち尽くしていた。



らしい。



あいつは本当にイイ男だわ。

相っ当ショックだったと思うのよ。

なんて言っても、想像だにしていなかった展開じゃない。


でもね、どうにか持ち堪えてたわ(笑)


本っ当にイイ男なのよ。


それ以来、ミヒャは私の一番の親友なの。





いやいや、君も相当イイ女だよ、サンディ




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2007-03-02

ガールズ・トーク ~焼酎ケーキで大盛り上がり

テーマ:恋とか愛とか

久しぶりに(他人の)恋の話でも。



先日、同僚K.T.の誕生日パーティがあった。



知っている人もいると思うけど、ドイツでは(ヨーロッパでは?)誕生日は「自分で祝う」もの。


友人達を自宅に招き(もちろん場所を借りて祝う人もいるけど)、

アパートメントを片付け、

朝からケーキを焼いて、料理をするまで自分でする。


招かれた友人達は、プレゼントを用意したり、ワインを持って来たり、ケーキやサラダを持ち寄ったりするので、とってもフェアな感じがする(笑)



さて、その同僚の誕生日パーティ。


招かれた時に、ガールズ・ナイトだと聞いていた。

ヨーロッパでは、パートナーがいる場合、たいてい二人セットで招待される。

私の同僚達もみんなパートナー持ちばかりだし、パートナー同士もパーティや何かで顔見知りだ。


パートナーも交えた付き合いもすごく楽しい。

お互いの知らなかった部分が、パートナーとのやり取りの中で見えてきたりもする。

それに、仲の良い同僚のパートナーがすごく良い人で、二人の間に良い関係が築かれているのを見ているのはうれしいし、楽しい。


しかしそれでもやっぱり、気心の知れた者同士が集まってのガールズ・トークの楽しさはまた格別(笑)


ガールズ・ナイトなんて久しぶりだったし、集まるのはほとんど仲良し同僚ばかりなので、かなりワクワクしていた。


美味しいサラダやチリコンカルネをたらふく食べて、デザートに同僚S.S.が作ってきた「(通称)焼酎ケーキ」(笑)を食べた辺りから、テンションが異様に上がっていった。


このケーキ、本当はなんとかザーネトルテ(名前忘れた)とかいうスイスのケーキらしい。

スポンジケーキに、果実で作られた焼酎を、前もって火を通すわけでもなく「生」のまま、これでもかっていうくらいに染み込ませてある。

口に入れた瞬間に焼酎の香りが口いっぱいに広がり、生暖かい息とともに鼻を抜けていく、というそれはそれは楽しいケーキだ。

もちろんザーネトルテというだけのことはあって、生クリームと砂糖もたっぷり使われている。

こうしてきっつい焼酎の味は、適度にマイルドに中和され、二口目からは味覚も良い具合にほだされ、結構パクパク食べてしまい、知らず知らずのうちにいーーーーい気分になっている。


そんな異様な意味のない大盛り上がり大会のさなか、

ふと気付くと、同僚C.R.が彼女の5年来のパートナーとのなれそめを語っていた。

いや、正確には輪になった同僚ちゃん達から次々と質問や突っ込みが入り、なんだか分からないうちに語らされていた。


あーでもない、こーでもない、とさんざんに茶々を入れられながら、語り終わったC.R.が輪になっているメンバーの顔を見回して一言。


さあ、次は誰?


こうして、「パートナーとのなれそめ語りなさい大会」の幕が切って落とされた。


これがまあ尋常ではないくらい面白かった。


みんながみんな面白かったわけではない。

とっても純粋で素敵な恋の始まりの話もあった。

しかし、日頃からしゃべりが達者な同僚ちゃん達だから、ここぞとばかりに盛り上げて、面白おかしく語っては笑った。


いつのまにか審査員グループが結成され、

「付き合ってから何年?」

「一緒に暮らして何年?」

「彼はお皿洗ってくれる?」

「コートを着る時に手伝ってくれる?」

などの採点のための必修の質問が設定されていた(笑)



さてさて、その日聞いた話の中で、特に書きとめておきたかったのは、

その日の主役、K.T.のルームメイトのサンディのお話。

彼女は、私達同僚の中に混じって大いに場を盛り上げていた。


サンディは本当に口から生まれてきたに違いないと確信をもっていえるくらいよくしゃべる。

毎朝朝食に焼酎ケーキをホール単位で食べているんじゃないかっていうくらい、年がら年中いつでもテンションが高いのだ。

しかも必ず笑うツボを用意している。

そして、調子が乗ってくるほどに出身地方のコテコテの方言を前面に押し出すところが、なんとも良いボケ具合を演出し、愛嬌があるというか、笑わずにはいられない。


というか、彼女の話についていくにはこちらも相応のテンションを要求される。

「いつ見ても眠そう」なんて不名誉なことを言われてばっかりの私には、なかなか辛い(笑)

彼女が勢いつけて話し出すと、こっちはとにかく「さあ、笑ってやるぞ」と身構えてしまう、そんな感じなのだ。



そんな、たまに会うと散々笑わされる羽目になるサンディには、現在、遠距離恋愛をしている彼女がいる。

タイプミスではない。

本人から直接その話を聞いたのはこの夜が初めてだったし、K.T.から間接的に彼女の近況として恋人の存在を知ったのもつい数ヶ月前のことだ。

しかし、不思議なもので、そのずっと以前から、何となくそうではないかと思っていた。

だから話を聞いても特に何とも思わなかった。




サンディの恋のお話は次回に!


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2005-05-21

GとJの恋

テーマ:恋とか愛とか
ドイツでは、「付き合ってください」とか、「彼女になってください」なんていう告白はしない。

と思う。
少なくとも、私はされたことがない。

良いな、と思ったらデートに誘う。
週末に会わない?とか、ご飯食べに行かない?とか、とってもラフな言い方で誘われる。
行く先も、気取ったレストランとかバーとかでなければならないわけではなく、
映画だったり、普通の飲み屋だったり、カフェでコーヒーだったり、森へ散歩だったり、
とにかく二人で時間を過ごそうということになる。
その場で二人の雰囲気が盛り上がれば、また二人で会うことにする。
それを繰り返しているうちに、キスしたり、家に招いてご飯を作ってあげたり、そのうちに泊まっていったりする関係になる。

もちろん、あくまで友達として気が合って楽しいからまた会おうってこともあるから、
二人で会うからカップルってわけではない。
セックスするけど、友達、みたいな人だってきっといるはず。

じゃあ、どこで分かるのか?
・・・。

雰囲気、かな。

会話の中で自分達をセットにした話になったり、家族に紹介されたり、友達にパートナーとして紹介されたりする。

「あ、今、私のこと、彼女って紹介した」

そんな感じ。

さて、本題のGとJの恋物語。

アメリカ人のGとオランダ人のJは大学で知り合った。
二人とも、誰に対してもオープンでいつも明るく、冗談ばかり言っては笑いを取るタイプだ。
Jはヨーロッパの男の子らしく、女の子を紳士的に大切に扱う心優しい男の子。
Gは周りをあんまり気にしないで、前後も考えず行動して周りを巻き込んだりするちょっとカオスな女の子。
いつも数人でワイワイと楽しそうにしている彼らが、いつからか二人だけで見かけられるようになった。
私達の間では、みんな彼ら二人が付き合っていて、上手く行っていると信じて疑わなかった。

そんな二人の関係は、長くは続かなかった。
Gの煮え切らない態度に、Jが辛くてついていけなくなってしまった。
思い悩んだ挙句に、Gに別れを告げたJ。

後日、いまだにとっても興奮状態のGが早口にまくし立てる。

「Jから、私とはもう終わりにするって言われたの。
終わりにするなんて、そんなことできるわけ無いじゃない。

だって、わたしたち、付き合ってないんだから!!!

そりゃあたしかに、キスしたりじゃれあったりもしたわよ。

でもそんなことあたし、誰とでもするし。」

そうか、アメリカでは、デートすることとパートナーとして交際することは別なんですね、もみじさん
ようやく、ここ数年来の疑問が解けました(笑

そう言えば彼女、こんなことも言っていた。

「彼は、一緒にジョギングに行ったり、サイクリングに行ったりするのにすごく良い相手だったのに、それが出来なくなるのは残念だわ」

明るくて楽しいGは大好きだけど、当時は、「あの心優くて人懐っこいJをもてあそぶなんて、可愛い顔してなんていうモラルを持った子なんだって」思った。でも、これも文化的背景の違いっていうんだろうか。
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2005-05-17

Mの結婚

テーマ:恋とか愛とか
かつての学友、Mはアメリカ人。

ちょっと話はずれるけど、
私の知っている限り、アメリカ人やカナダ人の女の子ってドイツ人学生からいつでもモテモテ。
って言っても、今までに4人しか居なかったけど。
見た目も性格も好みもそれぞれに違う彼女達だったけど、やっぱり皆ドイツ人学生からモテモテだった。
私なりに推測するに、

1) 大学に言っているドイツ人学生は英語が出来る人が多い、が、本当に英語圏にいったことある人はあんまり居ない、英語はやっぱり世界共通語という認識があるので、インテリそうである彼らは英語をブラッシュアップしたい。だから英語圏出身者とおしゃべりしたい。

2) 北アメリカの人って、男女関係無く「フレンドリー」。表面的っていう意見も多いけど、いつでもにこやかだし、感じが良い。人見知りをするし、他人に無関心なドイツ人に囲まれていると、フレンドリーな人って、天使に見える。

3) 北アメリカの女性は、ドイツ人女性よりも「女性的」。っていうより、ドイツ人女性って「男らしい」。←ドイツ人男性+様々な国からドイツへ来ている外国人女性の見解。ドイツ人女性の多くは、主義主張を持っていて、周りの目なんか気にせず自分の意見をはっきりと主張するし、ディスカッションでもひるまない、ところがカッコイイ、けど、「わがまま」と「個性的であること」を履き違えている迷惑極まりない娘達が多いことも事実。普段そういう子達に囲まれていると、北米人ばかりでなく、東欧人でもアジア人でもラティーナでも、女性的な対応に感激する男性ってかなり多いらしい。

さて、話を戻して、
1学期目から既にモテモテだったMだけど、彼女が素敵と思える相手にはめぐり合わなかった。
連絡をくれて誘ってくる友達は何人もいて、みんなと仲良くするけれど、それはあくまで友達。

2年ほどの学生生活がそろそろ終わりに近づいたある日、
いつものように大学のジムで筋トレをしている時に、それは訪れた。
一目見た瞬間、カッコイイって思った。
ジムの器材の調整を手伝ってもらって、楽しく会話して、結構良い雰囲気。
今度外で会おうか、という話になり、番号を交換した。

しかし彼女はアメリカ人。
いくら素敵って思っても、自分からいきなり言い寄ったりはしない。
やっぱりデートに誘うのは男の役目。
自分から言い寄るなんて、飢えてるみたいでみっともないし、あきれられちゃうかもしれない。
電話を待ちつづけるM。

しかし相手はドイツ人の大学生(インテリ層)。
プライドが高いのか、単に度胸がないのか、イニチアシブを握るのは女の方が多い。
少なくとも、女のほうで気のある素振りを見せなければ、一歩を踏み出してはこない。

彼女が家を空けているときに電話が来たり、
彼女が電話を掛け直したのに彼が忙しかったり、
そんなすれ違いを繰り返し、
しびれを切らした彼女が、思い切って自分から電話を掛けて誘ってみると言った。

不安でナーバスになっていたMを励まし、背中を押して電話を掛けさせる。
電話を切った後、興奮して頬を高潮させていた。
初めてのデートの後、別れ際に「あ、これはキスのタイミングだ」と思ったのに、
繊細なドイツ人の彼は何もして来ない(笑。
「もう、思わず自分からキスしちゃったわよ!」

それから後は展開が早かった。
「離れているのが耐えられない」と、彼が涙ぐむので、自分の部屋に帰る回数が激減し、
数ヵ月後には二人で暮らすための部屋を見つけた。

Mの誕生日、彼から連絡が来る。
「今日、彼女の誕生日だからサプライズパーティをしたいんだ、来てくれる?彼女の好きな寿司を作りたいんだけど、お願いできるかな?」
アパートメントを訪ねると、彼がケーキを焼いていた。
本当は内緒だったんだけど、Mは戻ってきて部屋に入った瞬間、甘い香りで彼がケーキを焼いたことに気付いてしまった。(そりゃあそうだろ)

ちなみに、ケーキやパンを焼く男、もちろん料理をする男も、全然珍しくない。
こういうドイツ人男性に、マッチョー大国出身の女性人はひどく感激するものだ。
私も、はじめの頃はひどく驚いて耳を疑った。
しかし、本人達にしてみればいたって当たり前のことのようだ。
「美味しくって健康的な物を食べたいから自分で作るんだ」

Mも、彼がケーキを焼いたり、手袋や帽子を編んでプレゼントしてくれることに、ひどく感激していた。
いや、そこまでやるのはさすがに珍しいかも・・・。

それからさらに数ヵ月後、彼らは婚約した。
「彼がバラの花を一輪握り締めて涙ぐんでたの。どうしたのかと思ったら、感極まって泣いちゃったみたい。それからプロポーズされたの」
とても繊細でロマンチックな男である。

そして結婚式。
淡いピンクのシンプルなウェディングドレスに身を包んだMの顔は幸せに輝き、見たこともない位美しかった。
その隣で涙ぐんでいる彼・・・。

別の友人が私に耳打ちする。
「あのウェディングドレス、彼が自分で縫ったんだって」
ウェディングドレスを新郎が製作?
ビックリして思わず私の口から出てしまった言葉、
「すてきね、うらやましいな」
に対して友達の冷静な一言
そうかあ?
「ぅ・・・・・。」
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2005-05-17

Dの恋

テーマ:恋とか愛とか
Dは、以前、4年間一緒に生活した恋人に突然別れを告げられた。
他に好きな人がいると言い、その女性の所へ引越してしまった。
その時まで、他の女性の存在にはまったく気付いていなかった。
まさに寝耳に水だった。
彼とは、学生時代からの恋人で、学校を卒業してすぐに一緒に住み始めた、長い付き合いだったのに。

彼が出て行った後に、一緒に住んでいた部屋を引き払い、親元へ戻り、
それから1年近くは、当時通い始めた専門学校以外では外に出るのも嫌で、何をする気も起こらず、
ごく身近な友人以外とは連絡も取らずに、引きこもったように生活していた。
もう男の人を好きになることなんて考えられない、
これからずっと独りで生きていくんだと思うと悲しくて辛くて気持ちが沈んでどうしようもなかった。
3年半前のことだ。

専門学校を修了し、新しい職場を得て、ようやく親元を離れることができた。
新しい職場では気の合う同僚に恵まれ、仕事帰りや週末はほとんど家に居つかないほどだ。

そんな彼女が一人の青年と知り合った。
人懐っこくて活動的で、常にふざけて冗談を言っては大笑いする、とても明るい青年だ。
辛い恋の終わりから3年半、初めて「素敵だ」と思えた人だった。

しかし、彼にはDの他にも仲の良い女友達がいた。
それも一人ではなく、何人か。
そういう話を彼は隠さずに話してくれる。
他の女性の存在を最後の瞬間まで隠され、ある日突然去っていった元彼よりも「誠実」だ。
しかし、、、。

他の女性に魅力を感じること、その女性とも会っていることを「正直に」話してくれる彼、
そしてそういう自分の行為を許容できるかと彼女に聞く彼。

Dの顔から笑顔が消えた。
彼女は悩んでいた。
こんな関係を続けるべきなのか、止めるべきなのか。

彼は5歳年下で、色んな女性と付き合い、色んなことを経験したい時期なのかもしれない。
いつか自分のことだけを見つめてくれるようになるかもしれない。
あれから3年半、初めて素敵だと思える人に出会えたのに、
今、彼と別れてしまったら、今度はいつこんな出会いがあるのだろう?
しかし、楽しくて幸せだと思った次の瞬間、傷つけられ悲しみの底に突き落とされるような関係を続けていく意味があるんだろうか?

こんな関係をいつまでも続けていけるわけではない。
Dは彼との別れを決意した。

彼女ほど人当たりが良く、優しく親切で、美しく笑う女性はそういない。
彼女に笑顔を戻ったことを、心の底からうれしく思う。
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