2010年2月
数多く存在する社会問題の中で、人が何に興味を示すかは千差万別だろう。
例えば私はLGBTの人権に関心を抱いている。
毎年8月、私が暮らしていた街、バンクーバーでは、Pride Paradeが開催される。このPride Paradeは、異性愛者が「普通」とされるこの世界で、迫害されがちなLGBT(Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender)であることに誇りをもち、その文化をコミュニティに紹介することで相互理解を目指し、延いてはLGBTの権利を主張し守るために行われるものだ。
バンクーバーでのLGBT権利主張の歴史は長く、このPride Paradeも10年以上に渡り続けられている。パレード前夜より街は盛り上がりを見せ、LGBTの人たちはもちろん、その家族やサポーターたちがパレードに参加し、沿道には多くの人が詰めかける。ちなみに2008年のパレード観客数は53万人。2003年にはBC州で同性愛者の結婚が法的に認められ、ゲイストリートとして有名なDavie Streetの旗は、LGBTのトレードカラーの虹色に、バス停やゴミ箱はピンク一色になった。手をつなぎ歩く仲睦まじい恋人たち。ベビーカーを押して歩くゲイカップル。バンクーバーでは日常の光景だ。
私が、最初に興味本位でパレードを見に行ったのは2002年。高校生の頃、自分の周りにLGBTの人がいるとは想像だにせず、彼らの人権について考えたこともなかった私にとって、あまりの自由さが新鮮だった。それから数年。同じ学科だったゲイの子と仲良くなったのをきっかけに、この問題に関心を持つようになった。こんなにもLGBTに優しくみえるバンクーバーでさえ、LGBTコミュニティとしては小さいほうで、同性を好きというだけで生きにくい社会であること、家族でさえ自分のことを心から受け止めてくれない辛さを語って聞かせてくれた。
大学からの帰り道、まだ彼がゲイだとは知らなかった頃、何気ない会話の中で、「どこにクラブによく行くの?」と聞いたら、バンクーバーではゲイクラブとして有名な2つのクラブの名前をとっても躊躇いがちに答えた彼の姿を思い出す。躊躇う必要なんか全くなかったのに。ゲイであることも含めそれが彼の人格で、私はそんな彼を人として大好きなんだから。男の子が男の子を好きだからって、女の子が女の子を好きだからって、それが何だっていうんだろう。こうやって近しい人にゲイがいるからか、同性愛者を毛嫌いする人の気持ちが私には分かり難い。
先日ニュースを読んでいたら、ショックな記事を見つけた。ウガンダで、ゲイ活動家として知られているDavid Katoさんが自宅で殺害された というもの。悲しいことに、ウガンダでは同性愛者は存在すら許されていない。2007年には、Pride Paradeならぬ、同性愛者反対の大規模な集会があったほどで、毛嫌いとか差別という単語では済まされないほどの嫌悪感がそこにはある。
オープンゲイは一人も見たことがないし、多くの社会問題について語り合えた同僚とですら、LGBTの話はタブーだった。こちらから話を持ちかけても、「ゲイ」という単語を口にするのも嫌そうで、話が前に進まないのだ。
そんなウガンダで、同性愛者として行動することには最大懲役14年が科せられていたが、それを無期懲役に、また、ある種の同性愛行為に限っては死刑という法案が出されたのは2009年。なんで生きることまで否定されなければならないのか。
David Katoさんが何故殺害されたかは明らかでないと記事にはあるが、彼は身の危険を承知で自分がゲイであることを明かし、自分たちの人権を主張するために主に東アフリカで活動してきたそうだ。所謂「国際社会」を敵に回した法案、その国際社会の反応に反発を見せるウガンダやその他諸国、その感情的な波に乗り更なる高まりを見せる反同性愛者意識。そんな社会において、彼の勇気と行動力に敬意こそ示せど、「殺されるべき存在だったんだ」などとは到底思えない。でも、そんなふうに考える人がウガンダだけではなく世界中にいるんだろうな、ということは容易に想像できる。
LGBT人権主張のため、特に何をしているわけはないけれども、そのうちLGBTなんて単語もなくなるくらい平等な社会になればいいのにと切に願った2008年のPride Parade。ウガンダという国を、その国のLGBTに対する姿勢を知った今、その願いは増すばかり。
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆
久々にブログ更新してこんな硬い内容かよ!と言われることは承知です。だって書きたかったんだもん。
ブログを放置して2カ月近くも経ってしまったのに、アクセス解析をしたら訪問者数が未だ減らないことに驚きました。ウガンダでの日常生活を綴るために作ったブログ。日本での私の日常生活を書いてもな~、と思いなかなか更新できていませんでしたが、またちょこちょこ書いていく予定です
数多く存在する社会問題の中で、人が何に興味を示すかは千差万別だろう。
例えば私はLGBTの人権に関心を抱いている。
毎年8月、私が暮らしていた街、バンクーバーでは、Pride Paradeが開催される。このPride Paradeは、異性愛者が「普通」とされるこの世界で、迫害されがちなLGBT(Lesbian, Gay, Bisexual, Transgender)であることに誇りをもち、その文化をコミュニティに紹介することで相互理解を目指し、延いてはLGBTの権利を主張し守るために行われるものだ。
バンクーバーでのLGBT権利主張の歴史は長く、このPride Paradeも10年以上に渡り続けられている。パレード前夜より街は盛り上がりを見せ、LGBTの人たちはもちろん、その家族やサポーターたちがパレードに参加し、沿道には多くの人が詰めかける。ちなみに2008年のパレード観客数は53万人。2003年にはBC州で同性愛者の結婚が法的に認められ、ゲイストリートとして有名なDavie Streetの旗は、LGBTのトレードカラーの虹色に、バス停やゴミ箱はピンク一色になった。手をつなぎ歩く仲睦まじい恋人たち。ベビーカーを押して歩くゲイカップル。バンクーバーでは日常の光景だ。
私が、最初に興味本位でパレードを見に行ったのは2002年。高校生の頃、自分の周りにLGBTの人がいるとは想像だにせず、彼らの人権について考えたこともなかった私にとって、あまりの自由さが新鮮だった。それから数年。同じ学科だったゲイの子と仲良くなったのをきっかけに、この問題に関心を持つようになった。こんなにもLGBTに優しくみえるバンクーバーでさえ、LGBTコミュニティとしては小さいほうで、同性を好きというだけで生きにくい社会であること、家族でさえ自分のことを心から受け止めてくれない辛さを語って聞かせてくれた。
大学からの帰り道、まだ彼がゲイだとは知らなかった頃、何気ない会話の中で、「どこにクラブによく行くの?」と聞いたら、バンクーバーではゲイクラブとして有名な2つのクラブの名前をとっても躊躇いがちに答えた彼の姿を思い出す。躊躇う必要なんか全くなかったのに。ゲイであることも含めそれが彼の人格で、私はそんな彼を人として大好きなんだから。男の子が男の子を好きだからって、女の子が女の子を好きだからって、それが何だっていうんだろう。こうやって近しい人にゲイがいるからか、同性愛者を毛嫌いする人の気持ちが私には分かり難い。
先日ニュースを読んでいたら、ショックな記事を見つけた。ウガンダで、ゲイ活動家として知られているDavid Katoさんが自宅で殺害された というもの。悲しいことに、ウガンダでは同性愛者は存在すら許されていない。2007年には、Pride Paradeならぬ、同性愛者反対の大規模な集会があったほどで、毛嫌いとか差別という単語では済まされないほどの嫌悪感がそこにはある。
オープンゲイは一人も見たことがないし、多くの社会問題について語り合えた同僚とですら、LGBTの話はタブーだった。こちらから話を持ちかけても、「ゲイ」という単語を口にするのも嫌そうで、話が前に進まないのだ。
そんなウガンダで、同性愛者として行動することには最大懲役14年が科せられていたが、それを無期懲役に、また、ある種の同性愛行為に限っては死刑という法案が出されたのは2009年。なんで生きることまで否定されなければならないのか。
David Katoさんが何故殺害されたかは明らかでないと記事にはあるが、彼は身の危険を承知で自分がゲイであることを明かし、自分たちの人権を主張するために主に東アフリカで活動してきたそうだ。所謂「国際社会」を敵に回した法案、その国際社会の反応に反発を見せるウガンダやその他諸国、その感情的な波に乗り更なる高まりを見せる反同性愛者意識。そんな社会において、彼の勇気と行動力に敬意こそ示せど、「殺されるべき存在だったんだ」などとは到底思えない。でも、そんなふうに考える人がウガンダだけではなく世界中にいるんだろうな、ということは容易に想像できる。
LGBT人権主張のため、特に何をしているわけはないけれども、そのうちLGBTなんて単語もなくなるくらい平等な社会になればいいのにと切に願った2008年のPride Parade。ウガンダという国を、その国のLGBTに対する姿勢を知った今、その願いは増すばかり。
*:..。o○☆゚・:,。*:..。o○☆゚・:,。゚・:,。★゚・:,。゚・:,。☆
久々にブログ更新してこんな硬い内容かよ!と言われることは承知です。だって書きたかったんだもん。
ブログを放置して2カ月近くも経ってしまったのに、アクセス解析をしたら訪問者数が未だ減らないことに驚きました。ウガンダでの日常生活を綴るために作ったブログ。日本での私の日常生活を書いてもな~、と思いなかなか更新できていませんでしたが、またちょこちょこ書いていく予定です