2017-02-26 12:31:26

愛おしい

テーマ:ブログ

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舞台『陥没』を観劇した。
劇場は、かつて私が舞台を降板したシアターコクーン。
避け続け、避け続け、避けることをやめようと決めてからもどうしても行けなくて、出ることはおろか、観ることもできず、気がつけばその年数、実に12年に及んでいた。
先日、観客とはいえ、長い年月を経てようやくコクーンに入ることができた。
それは、小池栄子、松岡茉優たちのおかげだ。

小池栄子ちゃんの麗しさに驚いた。
あまりにも完璧だった。
私はこれまで彼女に対し「栄子ちんは小池栄子だからだいじょうぶ。酒井若菜には無理なことも、小池栄子にはできるんだよ」とよく言ってきた。
今回は特に、そんな感覚で彼女を見守った。
コクーンに立てなかった私と、コクーンに立つ彼女。
ほぼ同期、同い年、グラビア出身、そして役者になった私たち。
当時は同じ釜の飯を食べることはほとんどなかったが、「同じ時代を過ごした」感覚のある彼女には、思い入れが深い。
私はかねてより、彼女と親しくなる以前から「小池栄子が先輩だったら私の芸能人生は変わっていた」と言っていた。
私たちの時代は、グラビアアイドルの寿命は2年と言われていた。
バラエティーに出て、名前を売ってようやく演じる機会をもらえる。
しかしどんなに頑張っても「女優」と呼ばれることはあり得ないとされる時代だった。
私は、バラエティーでうまく立ち回れなかったこともあり、あっさりとタレントの肩書きを得ることを捨て、グラビアアイドルからほぼ直接女優へ転身した。
それは、女優への足がかりとしてバラエティーの場を踏まなければいけない当時のステップ方法に違和感を感じていたこともある。
女優の才能があるにも関わらず諦め、引退していく同世代を何人も見ていた私は、今後、後輩たちが夢を諦めてしまわぬよう、私なりに新しい道を創ろうとした。
また、バラエティーを女優への足がかりにするバラエティーに対する敬意のなさに対するアンチ的な意識もあった。
当時で言えば、私のような移行は珍しいパターンだったため、私が女優業へいち早くシフトしたときの演技業界から受ける風当たりは強かった。
一方でその頃の彼女は、王道を胸を張って歩き、バラエティータレントとして成功していた。そしてやがて、完全なる女優になった。
全ての仕事に敬意を払い、成功していく彼女の姿を見て「小池栄子が先輩だったら、彼女の背中を見ることができていたら、私の道も変わっていただろう」と思っていた。
グラビア上がりでも、バラエティー出身でも、腕があれば女優になれる、ということを栄子ちゃんは証明したのだから。
栄子ちゃんが『八日目の蝉』でアカデミー賞の席に座っている姿をテレビで見たとき、彼女の経歴の潔さと、女優として正当な評価を受けていることに、私は感動してテレビの前で1人、泣いてしまった。
という話を『マッサン』の撮影中に栄子ちゃんに話したときも、私はセットの中であるにも関わらず泣いてしまった。
すると彼女は「グラビアから女優の道を最初に切り開いたのは若菜ちんだよ」と言った。
正解はわからない。
ただ、それぞれのやり方で、女優までこぎつけた私たちは、今でも尊敬しあっている。
今回、舞台に立つ彼女の姿は圧巻で、私は嫉妬もできないくらい、彼女の演技に魅了された。
そして、母親のような気持ちで彼女を見守った。
そんなことは彼女に伝えていなかったのに、彼女は終演後、私をお母さんと呼んだ。
タメ年じゃ!と思ったが、あの子は私の自慢の娘だ。

松岡茉優ちゃんの我慢に驚いた。
あまりにも可哀想な役だった。
私はこれまで彼女に対し「松岡茉優は芸能界に必要だよ。茉優がいないと今後の演技業界は廃れてしまう」とよく言ってきた。
彼女はいつも、なにかを我慢しているように見える。
今回の役も、舞台の上でずっと、彼女は我慢をしていた。
彼女が演じる役に焦点を当てた途端、私は哀しくてたまらなくなった。
しかし彼女はしっかりとその我慢を「表現」として昇華させていた。
かっこいいな、と思った。
彼女に対しては、最初から母親のような気持ちで見守っていた。
終演後、抱き合った彼女が私の耳元でそっと囁いたのは、「ここに来てくれたそのことが、嬉しい」だった。
それは、コクーンに12年間足を踏み入れること
ができなかった私への心配りだ。
茉優はいいこだ。
あの子の我慢が報われるためなら、私はなんだってできると思った。

二人の役は、一見すると真逆のようだが、よく見ていけば、ほとんど同じ性質を持つ女だということが分かってくる。
コメディの中に潜む女の哀しみを見て、私は切なかった。

特筆すべきはラストだ。
特筆すべきだが、まだ大阪公演もあるので書けない。
男はラストシーンのあの意味を、どれだけ理解しているのだろう。
あのラストは、たぶんどうしたって女にしか知り得ない感情だ。
男であるケラさんは、どのようにしてあのラストを見つけたのだろう。

出演者全員に思ったことは、以下である。
俳優の「俳」の字の意味を知る人は少ない。
俳優ですらその意味を知らない人のほうが多い。
「俳」は、おどけ、こっけい、という意味だ。
『陥没』を観た私は、俳優たるもの、コメディができなくてはならないと、つくづく思ったのである。

明日も良き一日を
ごきげんよう



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