【お知らせ】

期間限定でtwitterはじめました。

こちら

フォローよろしくお願いします。





1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >>
2014-09-18 22:28:04

ご無沙汰してます、ネオン堂さん

テーマ:ブログ

いかがお過ごしですか?
私はわりと元気です。
34歳になりましたよ。
お元気ですか?

めっきりブログの更新をせず、申し訳ありません。
月に二度、水道橋博士のメルマ旬報、に連載させていただくようになりましてから、必然的に私の執筆はそちらに重きを置くようになりました。
先にアップした三つのエントリーは、そのメルマガ内に時々出てくる「ソレナリ」シリーズというものです。
粗削りではありますが、その分わりとむき出しなつもりです。
ソレナリシリーズは今後もメルマガで続けていきます。
他にも、これまでブログに書いてきたようなエッセイやコラム、単発の創作物も書いています。

筆力は相変わらずで、なかなか上達しませんが、私は書くことが好きです。
こんな稚拙な物語を不特定多数のかたが読むブログに載せるのはなかなか勇気がいります。
だけど書くことが好きです。
なので、ひっそりと、メルマ旬報でわりとむき出しに書いていこうと思います。
よかったら、そちらにお越しになって。
無理はなさらずで結構ですから。

またメルマ旬報からの引用記事をブログに載せることがあるかもしれませんし。
ね。


ひとまずご報告まで。
私はわりと元気です。
季節の変わり目、ご自愛ください。


ごきげんよう
酒井若菜さんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

読者になる
2014-09-18 21:55:43

『ソレナリ』〜ダマリ〜

テーマ:ブログ


「私は嘘が嫌いだ。民よ、いかなる時も、決して嘘などついてはならぬ。誠実に日々を送りなさい」
王は言った。
民衆から、大きな歓声が起こった。

誰かにとっての一番になれない女、ソレナリは、旅の途中に立ち寄った小さな小さな共和国の王の演説と、民衆の湧き上がる声を目の当たりにし、立ち止まっていた。

その王は、国民たちの圧倒的な支持を得ていた。
誰もがその王を慕い、誰もがその王が統べる国に暮らしていることを誇らしく思っていた。
いささか奇妙ではあるが、「誰からも愛される権力者」という人間が、確かに存在していた。

王は王でありながら、へいきで城外に出ては、国民達と触れ合った。
行きつけのパン屋でパンを買い、花屋で花を買い、BARで酒を飲み、孤独な老人の家に遊びに行って話し相手になったりした。
王というより、村長。村長というより、子供達が集まる近所のよろず屋のおっちゃん。
そんな感じだった。
王はひたすらに愛されていた。

ソレナリがその演説を見た時。
それはちょうど、共和国の建国記念日で、それに伴い盛大な儀式が行われている最中だった。
正装に身を包んだ王が冒頭の台詞を言葉にすると、途端に妙な貫禄を帯び、王たる者としてそこに居た。
そんな頼もしさもまた、民衆の支持を得る理由の一つになっていた。

王は、嘘を嫌った。
ーー正直であれ
と王は常々国民達に提唱していた。
そんな王が、演説をひとしきり終えると、いつもの柔和な顔に戻り、照れたようにこう言った。
「ふぅー。偉そうにしちゃったよ、ごめんね。へへへ。さてさて。今日の良き日に、私は歌を創ってみたんだよ。我が国には国歌がないからな。あんまり自信はないが、ちょっと聴いてみてくれるかい」
そう言って、王は大きな声で自作の歌を披露した。
この国と、この国に住む嘘のない国民達への愛を歌った歌。
何人かは、心の底から素晴らしい歌だと思っていたが、ほとんどの国民は、どこかで聴いたことがある歌詞とメロディだとすぐに気がついた。
それでも、顔を真っ赤にして、上手くもない歌唱力を披露した王に、民衆からは心からの拍手が送られた。

ソレナリは、「ありがちな歌だわ」と思わず呟いた。
隣りでソレナリを制したのは、ソレナリの知人で、この国に住むダマリという女だった。
「それでもいい」
ダマリはそう言って、ソレナリの「続き」を促さなかった。

ソレナリ「あなた達は、王が好きなのでしょう?王が嘘を嫌うなら、嘘の称賛をするのはよくないわ」

ダマリ「嘘ではないわ。みんな、王が好きなだけよ」

ソレナリ「あなた、本当にあの歌が素晴らしいと思う?」

ダマリ「どこかで聴いたことのある歌だと言いたいのでしょ?それでもね、それでも、私たちは、王が顔を真っ赤にしながら歌ってるあの姿が好きなの。歌がどうかなんかどうでもいいのよ」

ソレナリ「けれど、素晴らしい歌だ!なんてみんなで持て囃して。そんなの滑稽だわ。見世物よ。王が可哀想だわ。嘘が嫌いな王に嘘をつく。そんなの裏切りじゃないかしら」

ダマリ「それでも、私たちは王が好きなの。傷つけたくないのよ。それに、あの姿は本当に美しいわ。それは真実よ。大事なのは、歌自体じゃない。どんな稚拙な歌だって構わない。誰が、どんな気持ちで歌ってるか。“王が好き”。私たちの大好きな王に幸せを感じていてほしい。傷つかないでほしい。それを守るためなら、私たちは全てが真実じゃなくたっていいのよ」

ソレナリ「それじゃあもし、王に嘘がバレたらどうするの?どこかで聞いたことあるぞ!って誰かが指摘したらどうするの?その時、国民の嘘に気づいた王は、どんなに傷つくかしら」

ダマリ「知らせないわよ。私たちは、知らせないわ」

ソレナリ「あなたも、ここの隣りの国の王の話は知っているでしょう?煌びやかな衣装を纏っている、さすが王様、持て囃され、騙され、愚かにも裸で街中をパレードしたあの王のこと。正直な子供に、裸だ!と指摘されたあの王のこと」

ダマリ「ええ。知ってるわ」

ソレナリ「あの王は、死んだわ。頭がおかしくなったのよ。信じた者に裏切りを受けるのって、本当に苦しい。信じれば信じるほど、嘘を知ったときの悲しみも大きくなるわ。あの王は確かに愚かだったかもしれない。でも、私は、あの王がどんなに高慢で愚かで、恨みを買うような王でも、騙した側近達や、笑った民衆達のほうがよっぽど怖い。よっぽど最低だわ」

ダマリ「私たちを、あんな意地悪な国と一緒にしないで。私たちは、絶対に私たちの王にそんな想いはさせない。私たちは、顔を真っ赤にして歌っているあの王が好きなの。王が笑うなら、私たちは嘘をつくわ」

ソレナリ「そんなの…優しさじゃないわ。知らないのは王だけ。そんなの…王が可哀想だわ。それに、知らせない、なんてどうして言い切れるの?それはあなた達の正義なの?なんのためなの?」

ダマリ「好きだからよ、みんな。私たちの王のことを、みんな、好きなのよ」

ソレナリ「じゃあもし、バレなかったとして、そのまま王が死んだら?王の人生は幸せだった?騙されたまま死んだいく王は、幸せだった?」

ダマリは、しばし黙り込んだ後、悲しそうな目でソレナリを見て言った。


ダマリ「ソレナリ。人間ってね、真実だけじゃ、生きられないんだよ」


ソレナリは、ダマリとは違う種類の悲しそうな顔をして、ダマリを見返した。

ダマリ「私たちは、絶対に知らせない。王が死ぬまで、いえ、死んでも、例え王の影がこの国から見えなくなる日がきたとしても、王が存在している今を知っている私たちは、真実を言わなかったことを、永遠に背負うわ」

ソレナリ「どうして…。なんか、ずるいよ。王を自分たちの都合のいい存在にしてるだけじゃない。自分たちの自己満足のために」

ダマリ「ズルくてもいい。だけどきっと、これは自己満足じゃないわ。言わなくていいことを、嘘と定義するのは虚しいわ。真実は、王が好きだということ。それだけ。それが偽善なら、それでもいい。あのねソレナリ。真実って、一つじゃないのよ。真実っていつだって、相反するものが同時に存在してるの。ぜんぶの真実なんていらない。私たちは、数ある真実の中から、王と私たちを一番強く結びつけているものを選んだ。これから先、私たちに嘘がつきまとっても構わない。あなたがそれを嘘だと言うなら、それでもいい。それでも私たちは、王が好きよ」


ソレナリは、何も答えず、背を向けてダマリの横から離れた。
そして、国を出た。

歩くソレナリの耳には、振り返らなくとも、王の上手くもない歌声がまだ聴こえている。
ソレナリは思っていた。

ーー王と彼女たちを一番強く結びつけている真実って、なに?
ーー真実は一つじゃないって、なに?
ーー私も、真実で誰かに愛され、その真実のために嘘をついてもらったことがあるのかな


ソレナリは立ち止まり、小さな小さな共和国を振り返った。
民衆の人だかりで、王の姿はすでに見えなかった。
しかし王を取り巻いているであろう国民達は、その中心に向かって、みんなで揃って幸せそうに笑っていた。

「いいな…。王様…羨ましいな」

そう呟いたソレナリの目からは涙が落ちていたが、ソレナリはスッと拭い、「私にはきっと、この先も体感し得ない世界ね。ソレナリ、忘れなさい」とすぐにまた歩き出した。


王は、街に降りて、自作の歌詞カードを国民に配っていた。
その歌詞カードには、国民1人1人の名前が入っていて、「いつもありがとう」というメッセージまで書いてあった。

ありがちだ。稚拙だ。馬鹿みたいだ。

あまりにも、馬鹿げている。

王は、ニコニコ笑いながら、心の中で思っていた。

「私がやっていることは、全てありがちだ。嘘は嫌いだよ。だけど私は時々、本当は、自分の未熟さや稚拙さに戸惑うんだ。本当は、この歌に満足なんかしていない。頑張ってみたけれど、私にはどこかで聴いたことのある歌しか、作れなかった。だけど、私のこの民達への愛に偽りはない。そこに嘘はないんだ。だけど…。もっと、もっと、上手く表現できればいいのに。もっと、もっと、上手く伝えられたらいいのに。不器用でごめんなさい。ごめんなさい。」


ダマリは、背を向けて歩き出したソレナリをしばし見た後、王のほうを振り返ると、王はまだ、ニコニコ笑いながら、国民一人一人に歌詞カードを配っている。
「もっといい歌詞とメロディがあったらどんどん言ってな」
そう言う王の姿を見て、ダマリはあらためて、誓うのだ。


「絶対に、知らせない!」


酒井若菜さんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

読者になる
2014-09-18 21:48:50

『ソレナリ』〜エトセトラ〜

テーマ:ブログ



誰かにとっての一番になれない、それなりな女、ソレナリ
ソレナリは、かすみ草を抱えたまま、街中で佇んでいた
その視線は、一人の女に向けられていた

ソレナリが見つめるその女は、ダンサーだった
レンガが敷き詰められた通りにある街灯の下で、彼女はいつも踊っていた
彼女がひとたび踊りを舞えば、彼女の体から桜が舞い上がるような錯覚を誰もが覚えた
昼間は日光が彼女を照らし、夜は街灯が彼女を照らした
その姿は美しく、哀しかった

ある日、ある大きな劇場の支配人が、そんな彼女に目を留めた
支配人は「君は美しい。こんなに美しい君が、こんな街中で踊っているなんてもったいないよ。もっとたくさんの客の前で、素晴らしいセットの中で、踊るべきだ。僕の劇場で踊るがいい。僕ならきっと、君をさらに輝かせることができるよ!」
と言った
女は「ありがたいけれど、結構よ。私、ここで踊るのが好きなの」
と答えた
支配人は「それなら、一度でいい。試しに一度だけ、僕の劇場で踊ってみてはくれないだろうか」
と言った
その瞳はキラキラ輝いていて、例えば、女性が、手に入るかもしれない素敵な宝石を目の当たりにした時のような、期待と欲が滲んでしょうがない、そんな無邪気な感じの瞳だった
支配人のその熱意に、女は「一度きりなら」と了承した


煌びやかなスポットライトを浴びながら、女は劇場で踊っていた
女は「違う。ここじゃない」と踊りながら思っていた

ーあたし、ここじゃない

拍手喝采の中、彼女の踊りは終わった
支配人は、満足そうな笑顔を見せて、女に尋ねた
「どうだい?完璧な舞台。完璧な音楽。完璧なライト。君の実力に見合う場所はここだ。こういう場所でこそ踊るべきだろう。明日からも、ここで踊ってみないかい?きっと君は、あっという間に世界に名を轟かせるスターになるよ。僕にはそれが分かるんだ。嗚呼、それはなんて素晴らしいことなのだろう。君はこれから、沢山の賞賛を浴び、地位と名声を思うがままに手に入れてゆくんだ。そうして更に輝いていく。美しいシンデレラストーリーじゃないか。僕は君がスターへの階段を上って行く姿をこれから見ていける。嗚呼、想像しただけで、心が昂ぶるよ。どうだい?素晴らしいと思わないかい?それが君も望んでいることだろう?」

女は「違うわ」とだけ答え、さっさとその場から立ち去った
そして、また次の日から街灯の下で踊った

女にあっさりと拒絶された支配人は、誰に頼まれたわけでもなし、女のために新たな劇場を作った
そうしてまた街灯の下で踊る彼女のところへ行き、必死に口説き、「一度だけでいい」とまた言って、女を劇場に出させる約束を取り付けた

新たな劇場には、敷き詰められたレンガ、街灯が用意されていた
女がいつも踊っている街並みを、そのまま再現したセット
素晴らしいセットだった
しかしそれを目の当たりにした女は言った

「違うわ」

支配人はなにが違うのかと女に聞いた

女が「風がない」と答えると、支配人は大きな扇風機を用意した
女が「空がない」と答えると、支配人は劇場の天井を取り払った
女が「匂いがない」と答えれば、支配人は街のパン屋からパンを、花屋から花を、ゴミ箱からゴミを集めて劇場のセットに置いた
女が「客席なんて街にはなかった」と言えば、支配人は客席の椅子を全て捨てた

それでも女は「違うわ」と言った


次第に、支配人は、自分が女のどこに惹かれていたのかを忘れていった
愛情が、憎しみに変わり始めた
「僕が君を輝かせるために、どれだけ努力したと思っているんだ!君は随分と思い上がっているようだが、自分にどれだけの価値があると思っているんだ!いいか?君はな、所詮は街中にうろつく娼婦とおんなじようなもんだったんだ!それを僕が拾ってやったんだぞ!せっかく僕が君を輝かせてやろうと思ったのに!」と罵った

女は言った
「支配人さん、私に何を求めてるの?」

支配人は答えた
「僕が求めてるんじゃない。全ては君のためだ」
と都合のいいことを言った

女は「それなら、私をあの場所に返して」と言った

支配人には、女は一体なんのために踊るのか、女は何を求めているのか、まるで理解できなかった

支配人は女を手放した
女はついぞ、その新しい劇場で踊ることはなかった

女は、また街灯の下で踊る毎日を過ごすようになった


さて
街の住人たちの会話に、彼女がここで踊ることに関しての話題が挙がることはまずなかった
が、誰もが密かに歓迎していた
住人たちにとって彼女は、パン屋や花屋の匂い、風、空、その他諸々、と同じものだった

彼女は彼らの「日常」だった
素通りもするし、見入ることもある
見入れば桜が舞うような錯覚を覚える
しかし、それは彼女にピントがふいに合ったときだけで、実は、それ以外の時は、彼女はいつも素通りされていた

日常だったから

邪魔じゃなかっただけ

女の名を、エトセトラ、という

エトセトラは、紛れることが好きだった
紛れて紛れて、ふとした時に愛される、その都合のいい愛されかたが好きだった
それくらいでちょうどいい、と思っていた
疲れた時、心がおぼつかない時に、道端に咲いている一輪の花がやけに美しく感じる例のあれ
あの稚拙な感動、励み
全ては見る側のテンション次第
「ああ!なんと美しいのだ!」
と手のひらを返した賞賛も、三日も経てば褪せていく
そういう陳腐な感じが、エトセトラは好きだった
そういう存在でいる自分を、立派にも思わなかったし、可哀想だとも思わなかった
ただ、ちょうどいい、と思っていた


誰かにとっての一番にはなれない女、ソレナリは、かすみ草を抱えたまま、エトセトラの踊りに目を奪われていた
エトセトラが踊りを終えると、ソレナリは近づき、思い切って話しかけてみた

「寂しくは、ありませんか?」

エトセトラは、ピンと背筋を伸ばし、ハッキリとした口調で答えた

「寂しくて、今にも死にそうよ。それがなにか?」







酒井若菜さんの読者になろう

ブログの更新情報が受け取れて、アクセスが簡単になります

読者になる
1 | 2 | 3 | 4 | 5 |最初 次ページ >>
Ameba芸能人・有名人ブログ健全運営のための取り組み