みなさんこんにちは。

修行時代に自分の仕事の持つ意味や価値に気づかせてくれたある日の事をご紹介させて頂きます。


『ある日の決断』
しおかわ鍼灸整骨院グループ それぞれの整骨院感動物語
 
【塩川 徹 編】


私は開業前、修行時代に整形外科でリハビリスタッフとして働いていた時期がありました。
その整形外科はとても有名な病院で、毎日とてもたくさんの患者様が来院され、私たちリハビリスタッフの業務も多忙を極めており、毎日仕事が終わるとみんなクタクタでしたる土曜日の業務終了後の事です。

その日はいつもの土曜日に比べて特に忙しく、土曜日なので午前のみの受付なのですが、ほとんど休憩を取ることもなく、業務を一通り終了させるともう夕方でした。ですが、土曜日は1週間のカルテ整理や、経過観察中の患者様への連絡など、まだまだやることがあります。

とても疲れておりましたが、受付の奥のスペースでカルテ整理などをしていると、
院の自動ドアが開く音が聞こえました。

私の場所からは見えませんが、中学生くらいの女の子とそのお母さんらしき方が来られたようで、受付さんとのやり取りが聞こえてきました。

「あの~、娘が足首をひねってしまったのですが、診て頂けませんでしょうか?」

受付スタッフが答えます。

「あいにく、ドクターがもう帰ってしまっておりますので、診ることができないんです。申し訳ございません。」

「娘は明日、テニスの試合があるんです!先生じゃなくてもいいので、誰か診れる方はおられませんかっ? お願いします!」

受付さんが「どうしましょう?」という困った顔で、奥にいる私の顔を見てきました。


院内のルールとしては、ドクターがいないときは患者様を診ることはせず、他の救急病院などを紹介するという事になっておりました。


少しの間考えましたが、私の出した判断は「ノー」でした。

おおきく両手で「バツ」というジェスチャーをし、受付さんに伝えました。
その判断に従い、受付さんは他の救急病院をその親子に伝えて院での診察をお断りしました。


そんなことはすぐに忘れて、私はカルテ整理にとりかかりました。やることはまだまだあります。所見も書かなければいけません、データもまとめなければいけません、患者様へ連絡もしなければいけません。
 
結局、その日のすべての業務が終了したのは夜8時を過ぎていました。もう体はクタクタです。その日は特に予定はありませんでしたので、そのまま帰宅をしました。

食事をし、お風呂に入り、少しテレビを見て、早めに寝床につきました。


今日はすごく忙しかったなぁ、疲れたなぁ、などど布団の中で考えていると、ふと、あおの親子の事が頭に浮かんできました。


どんな子だったのかは私からは見えませんでしたが、あの子はあのあと、ちゃんと紹介した病院に行ったんだろうか?

そこでちゃんと処置はしてもらえたんだろうか?

どれくらいの捻挫だったんだろうか?

痛みはどれくらだったのだろうか?

明日の試合は出られるんだろうか?



すごく気になりだし、眠れなくなりました。

でも、もう、どうしようもありません。。。


確かに院内のルールとしては、ドクターがいない時は診てはいけないという事になっていました。ですが、私には足首の捻挫を診る十分な知識もありましたし、多くの捻挫を診た経験もありました。テーピングなどの処置に関しても、かなり自信がありました。

ドクターではないので、レントゲンは撮れませんが、診てあげて、アイシングや固定などの処置や、その後のアドバイスはできたはずです。
その親子を安心させてあげるような事を伝えることもできたかもしれません。


でも、なぜ、私はあの時、両手で大きく「バツ」というジェスチャーをしてしまったのだろうか。。。


やることが多かったから?

すごく疲れていたから?

院内のルールだから?

じゃまくさかった??



自分の中で一つの質問が湧き上がってきました。


自分は一体なんの為に一生懸命勉強し、一生懸命働き、いろいろな経験を積んでいるのだろう?

資格を取る為?

開業してお金を稼ぐ為?

自分の将来の為?

物知りになって他の治療家に知識をひけらかすため?   

手に職をつけるため??

私は自分の目的がいつの間にか大きくずれてしまっていることに気が付きました。

今日のように、今、目の前に困っている人をなんとかする為に勉強をしてきたのではなかったのだろうか!!


「ああ、私はなんて事をしてしまったんだろう。。。」


自分の中でとても大きな後悔の念が起こってきました。





そして、この日、私は一つの決め事を自分の中でしました。


もし、自分の目の前に、ケガや痛みで困っている人がいて、そこに自分の知識と経験が役に立つのであれば、それがどんな状況であれ絶対に診てできるだけの事はしよう!そんな時の為に一生懸命勉強し、経験を積んでいるのだから!

と。


当院には、「ケガの救急ダイアル」というものがあります。

専用の携帯電話を私が24時間365日身につけていて、かかってきた電話に対応をしています。

休日に
「足首をひねってしまった!」
という電話がかかってきたり、

夜中に
「ギックリ腰になってしまい動けない」という電話がかかってきて、往診に行ったり、

遠い地域の方から
「ケガをしたけれどもこんな時はどうしたらいいですか?」という相談の電話がかかってくることもあります。

「休みの日にいつ電話がかかってくるかわからないなんて大変でしょう?」

とよく言われますが、自分の知識と経験で楽になる方がいるのなら、とにかく今、自分がその方にとってできることを精一杯しよう、あのテニスの少女のような事を二度と繰り返さないように、という思いで「ケガの救急ダイアル」を始め、続けております。





「何の為に??」


私がよくスタッフに口にする言葉です。


当院のスタッフはとても勉強熱心です。

毎朝、業務開始前に技術の練習をしたり、難しい医学文献を読んだりしています。


中には、めったに遭遇しないようなケガや疾患に対する勉強や処置の練習をしたりもします。

何の為に、そんな遭遇するかしないかというケガや疾患の勉強をするのか??


答えは簡単です。


もし、10年後、20年後に自分の目の前にそのケガ・疾患の方が現れた時に、笑顔でにっこりしながら自信満々に

「大丈夫ですよ!」

と言って、患者様を安心させてあげることができ、そして適切な判断・処置ができるように勉強しているのです。


自分の将来の為ではなく、10年後20年後に出会うかもしれない、まだ見ぬ患者様の笑顔の為に勉強をしているのです。



世の中には整骨院がたくさんあります。

中には「医療」とはほど遠いレベルで運営をされている整骨院もあります。


そんな業界の中で、「何の為に?」というこの想いだけは絶対に忘れることなく、どんな患者様が来られても、しっかりと適切な判断と処置が行える、そして、一人でも多くの患者様の痛みや不調を取り除くことができる、そんな鍼灸整骨院を目指して、これからもスタッフとともにより一層努力をしてゆきたいと思います。



あの日、私はあの親子を笑顔にすることから逃げてしまいました。

だからもう絶対に逃げません。


当院の合言葉は

『すべては患者様の笑顔の為に!』

です。


毎朝、みんなで大きな声で唱和しています。



『すべては患者様の笑顔の為に!!』






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