歳が明けてしまった

毎年、1月1日に年頭所感を書くのだが、遅くなったのには理由がある

実は、私は日本にいない

昨夜は、Matsuhisaというレストランのカウントダウン・パーティに行ってきた

言わずと知れたアメリカを代表するスターシェフで、いろいろなセレブが来ていたようなのだが、顔と名前が一致しないし、こちらから挨拶にいくわけにもいかない

ということで雰囲気だけを楽しませてもらった

でも、アメリカで年越しそばが食べられると思わなかったし、みんなでシャンパンをあけ、記念写真を撮るのもいいものだ

さて、前回、イスラムの世界に本当に入って、よく知っている中田考の話をしたが、その数日前に、天皇陛下と直接に何回もお話をされている歴史家(これでも特定されそうだが、迷惑がかかるのであえて匿名としたい)の方とお話しする機会があった

もちろん、その方は陛下の実直な人柄を尊敬しておられたのだが、陛下が今の右傾化を喜んでいないことは確かなようだった

彼によると言葉の端々から現在の総理大臣を嫌っていることは感じられるとのことだ

もちろん、憲法改正も喜んでおられない

選挙で選ばれ、ころころと変わる首相と違って、天皇陛下の意義というのは、同一人物、同一家系で一貫しているので、歴史の連続性を担保することにあるのだろう

サンフランシスコ講和条約でも、締結国にした約束をいまだに大切にされているようだとのことだった

だから、極東軍事裁判にも文句を言わないし、A級戦犯が合祀されてからは靖国に行かない

彼らを戦死者とみなすことは条約違反だからだ

奥方がリベラルな人で、その影響が大きそうだという話だが、これは納得がいく

主治医兼心の友である神谷美恵子は左翼と言われても仕方のないリベラル論者だったのだから

ただ、ここからは私の見解だが、日本の保守論陣の人がもっとも勘違いしているのは、天皇陛下は武家の代表などではなく、貴族の親玉だということだ

武士に政権を任せることはあっても、自分が元首として戦争をやるという発想も伝統もないはずだ

憲法を改正して、戦争ができる国にする際に、どさくさまぎれで天皇陛下を元首に祀り上げたいようだが、これは汚いやり方だろう。どうしても戦争をしたいなら、ときの首相が責任者となるべきだ

天皇の政治利用という場合、通常は、中国とかに謝罪をさせるという意味でつかわれるが、右の人が、戦争を天皇陛下の名前を使ってやろうとするほうが、本意でない分だけ余計に性質が悪い

私も実際、お会いしたことがないので、これはあくまで推測だが、そう思えてならない

あと、右の政治家の人たちは、要するに薩長主導のころの日本国が日本国と勘違いしている

鹿児島に行くと、日の丸が薩摩の旗だという話を何度も聞いたが、日本の本当の伝統は国歌も国旗もない国(そのために陛下が大切なのだが)のはずだ

天皇陛下にお会いしたことのない人(私もそうだが)が、勝手なことを言ってほしくないというのが、私がその方とお会いして感じた印象だった

ついでに、別のWEBSITEで今回の自民党の大勝で、日本がフィリピンのようになる危惧を書いた

http://www.nikkeibp.co.jp/article/column/20141218/429154/

よければ読んでほしい

年末の株の値段が15年ぶりの最高値になっていたことがニュースになっている

前の最高値は99年だった

金持ち減税が実施された年だ

金持ちに金を持たせると株も上がるし、景気もよくなると、その年には思われたが、その5年後には、半値以下に株価が下がり、景気も一向に回復せず、国の借金だけは膨れ上がった

アメリカにいると、円安で日本が貧乏国になったのが実感される。

安倍政権になってからドルベースで2兆ドル近くGDPが下がっている

国の資産ということなら10兆ドル近い

これでいいのか?

これも伝聞だが、前の天皇陛下は、「円高はいいことではないのか?」とおっしゃったそうだ(これに周囲のバカ経済学者がどう説明したのかはわからないが)

自国の通貨が強くなるというのが、国の発展を表しているというのは、やはり歴史の連続性を知る人ならではの実感だったのだろう

さて、年頭所感だが、もう今年で55歳になる

昔なら定年の歳だ

私もぼちぼち、俗世の仕事を少しずつ減らしてクリエーティブな仕事に重点を移したい

ただ、昔なら、55歳で十分な退職金もでたし、それに合わせて貯金もしていたのだろうが、私にはそれがない

頑張って稼ぎつつ、クリエーティブに生きる

その二足のわらじしか当分はなさそうだ