不愉快なメッセージを書き続けている人から、久しぶりに「よろしくお願いします」というメッセージをいただいた。

多少は言葉遣いが直ったと思ったのであけてみると、「わだひできさん。少なくともここで書かれてることの反論を思いつかれてから、経済について語ってください。一般の人に間違った認識が浸透してほしくないからです」というメッセージだった。

http://blog.livedoor.jp/nnnhhhkkk/archives/65349757.html#comments
(こっちの考え方のほうが正しいと思う人もいると思うからあえて、不愉快だが載せておく)

この時点でこのリンクをあけなければよかったと反省している。自分の意見と違う意見が、「間違った認識」と断言しているが、経済に正解はないはずだ。彼に言わせると、おそらくラビ・バトラやポール・クルーグマンは経済学者でないということになるのだろう。

いちいち反論を考える気にならないくらい、ありきたりの株主資本主義の人たちの論調の羅列だが、一つくらいはあえて反論を載せておこう。

この主は、株式市場がなかったころ(江戸時代を例にあげて)のほうが格差が大きかったと論じているが、もちろん福祉概念のない時代であれば、飢え死には当たり前だから、貧しいものがとことん貧しいという意味では、格差は大きかったといえるかもしれないが、大金持ちがどれだけ金持ちかという点では、資産格差は実は、株式資本主義になってからのほうが大きい。人権が無視され、強者が好きなだけ収奪できた時代より資産格差が大きくなったことは恐ろしいことだ。

たとえば、このブログの主は、加賀藩の屋敷が東京大学だったが、今ではそんな豪邸を持つ人がいないから、今の格差など大したことはないと論じている。しかし、豪邸はともかくとして、加賀藩のもつ金融資産など、どう多く見積もっても数百億円だろう。石川県全体が加賀藩の私的所有物であったというのなら話は別であるが、東京大学の本郷キャンパスの敷地面積は約40万平方メートル。この程度の資産をもつ人は株主資本主義の時代には珍しくなくなった。このあたりの地価は平米100万円くらいだとして、約4000億円の時価である。mixiの笠原氏が上場した際の手持ち株の時価総額が約1000億円ということだから、株主資本主義のほうが、日本一の大名以上の資産を持つ人を何人も作っているはずだ。もちろん、当時は今ほど江戸の地価が、現在の貨幣価値に合わせても高いものでなかったから、おそらく加賀藩の資産は、江戸の豪商よりはるかに少なかったと考えられるのだが。

この程度の計算もできない人間だから、自分のいっている理論以外が間違った認識だという自信がもてるのだろう。彼の考え方では、家の広さのほうが、資産格差より重要な格差らしい。もちろん、金持ちが消費をしないという観点から考えると、金があっても、アメリカのように自宅に飛行場のあるような大豪邸に住まない(これは堀紘一からの受け売りであるが)で、マンション住まいというのは(このブログの主はえらく同情しているようだが)、日本の金持ちのケチさ故のもののようだが。ただ、金持ちが、東大レベルの広い土地に住もうとすると、日本人の嫉妬の対象になるからあえてそういう選択をしないということはあるかもしれない。家が大きいほど金持ちという発想自体が金融資本主義とは別次元の封建時代的発想であることも言うまでもない。

ただ、日本で、東大並みの豪邸に住めない理由はある。国家が飛行場や高速道路でさえ簡単に作れないくらい地権者が大勢いることがある。これは、このブログの主がいうように、相続税が高いためではない。農地解放で地権が細分化されたためだ。私の言うように相続税が100%になれば、50年も待てば土地は全部国のものになるから、たとえば株の上場益で数千億円手にした人間が、都内に10万坪の豪邸をもちたければ、それを国から買えばいい。ただ、それが子供の代に相続できないだけだ。子供に相続できなければ土地を誰も買わないという人には、ネバーランドを作ったマイケル・ジャクソンのような発想は一生できないだろう。

ちなみにこのブログのコメントをみると


1. くま 2009年12月20日 01:11
和田秀樹ほど嫉妬狂いはなかなかいないでしょう。

こいつのブログをよく読んでみるとよくわかるのですが「近所に豪邸があった」、とかそんな話もけっこうおおいですよ。

過去の記事を読むとこいつはローンを組んで家を建てたみたいですね。成城なんて高級住宅街に
見栄を張るためにローンを組むって最高の馬鹿ではないでしょうか。

それで、家のローンが残っているのに運転手を雇っているそうです。見栄を張るために。

自分は日本最高学歴を持っているのに周りには自分をはるかに超える金持ちがいっぱいいることに愕然としたのではないでしょうか。

2. くま 2009年12月20日 01:12
あと和田秀樹ってチビらしいですよ。

頭がいい割には全然もてなさそうですよね。

3. だい 2009年12月20日 01:13
最近森永のやつがコメント欄にでてきてねえなー。

見てるなら出てこい森永!!

4. 寺 2009年12月20日 01:50
日本の主力輸出品は資本財だから円高には強いと思いますよ。
外需自体がしぼんじゃったんだから打撃うけてあたりまえですよ。

>一人ひとりの消費なんて永遠に増え続けないのだから

 別に永遠に増やさんでもエエでしょうw

>相続税100%なんて私有財産の否定そのものだ

 同感。

というもので、感情論と個人攻撃ばかり(最後の人だけはちょっと経済の話になっているが)で、およそ経済に強いと思われる人からのコメントはない。

私には、この人のほうがはるかに感情論を振りかざしていて、まともな経済の理論と思えないし、経済のプロが読むにたえるものでないように思えてならない。

がんばって、まともな経済学者からコメントをもらえるようなブログを書いてほしい。私は読者になる気はないが、いろいろな意見を言えるのが自由社会と考えているから、この人に経済について語るなという気はないし、書いているうちに、進歩するかもしれないから、エールは送りたい。

ちなみに昨日は、私の理論を評価してくれる内閣情報調査室の人が私の研究室に訪ねてきた。ある程度以上勉強している人は既成概念より、そうでない理論を求めていることは私の実感するところだ。

もちろん、いろいろな経済学者やエコノミストの人とも対談している。お互いに学べることは多い(むこうがそう言ってくれているから、私が真に受けているだけかもしれないが)

一般的に優秀な学者ほど(自然科学の学者でさえ)、世の中理屈通りにいかないことがわかっているし、これまでの学説と違う発見がないかを捜し求めている。また、自分がわかった気になってはいけないことをわかっている。

いずれにせよ、このブログで見る限り、ようやく感情論ではないまともな議論をする気で「よろしくお願いします」というメッセージをいただいたと思ったが、ものの言い方が直っていない上に、書いている内容なら学ぶべきことがないようなので(こちらが聞いたことのあるような理屈、たとえば損をすることもあるから株の売却益の課税が安いのは当たり前--損をする可能性があるから株の税金が安くていいというのなら、法人税や個人事業主だって損をする可能性があるから、株と同じような低率の課税でいいはずだろうし、この人は、そういうことも理解していないのだろうか、もちろん一般の労働は損をすることはないが体を壊すなどのリスクがあることもこの人の発想にはないーーという話、ばかりなので)、この人のメッセージやブログは二度と読まないことになるだろう。

私に送るのは時間の無駄なので、二度とメッセージを送らないでほしい。もっと影響力のある人に、あるいは、もっとまともな経済学者に賛美されるようなブログを書かれることを心から願っている。

私の尊敬するような経済学者から、「このブログは面白いから読んでごらん」と言われるようになった際が、私がこの人のブログを次に読む機会になるだろう。