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2009年02月27日 06時55分00秒

肌と心の相互作用について考える。

テーマ:美容・化粧品
肌と心は、お互いに影響し合っているんじゃないだろうかと、
多くの人が感じていることだと思います。(過去に私が関わったマーケティングリサーチなどからの推測。)

肌の状態によって心の状態も変わったり、
逆に、気分によって肌が影響を受けている。
そんなことを経験的に感じているのではないでしょうか。

そんな肌と心の関係について、面白い記事が出ていました。


・「見えてきた!「第三の脳」の判断力 “肌で感じる”ストレスの科学(前篇) 」-日経ビジネスオンライン
皮膚は、(中略)顔色の悪さや肌のトラブルといった健康や美容の問題として扱ってしまい、そこに日々生きる上で欠かせない精妙な働きが行われているなど、想像もしない。
だが、「皮膚は第三の脳である」と提唱している人がいる。資生堂新成長領域研究開発センターの傳田光洋さんだ。身体を包む役割に過ぎないという皮膚の常識を覆す宣言だ。成人だと一畳ほどの面積、重さ3キログラム。そんな皮膚の持つ思いもよらぬ働きについて尋ねた。
・「皮膚は喜び、傷つき、人を求める “肌で感じる”ストレスの科学(後編) 」-日経ビジネスオンライン
皮膚は単にバリア機能をもつだけでなく、脳や感覚器と同じような働きがあると考えても不思議ではない。
(中略)後編では、最新の研究をもとに「皮膚の知覚している世界」をうかがう。目には見えないもの。耳には聞こえないもの。どうやらそういうものまで皮膚は察知しているらしい。

資生堂さんの傳田光洋氏はこれまでに、
皮膚科学の基礎知識とご自身の研究成果、仮説などについて2冊の著作を書かれ、
いずれもわかりやすくとても興味深い内容です。(*1)

・「皮膚は考える」 (http://www.amazon.co.jp/dp/4000074520
・「第三の脳-皮膚から考える命、こころ、世界」 (http://www.amazon.co.jp/dp/4255004013/


また、資生堂さん自体もこれまでに、肌と心の関係について研究してきた成果を発表してらっしゃいます。

・「未来を拓く基盤研究 「肌と心」の研究 」-資生堂研究所


前掲の記事は、資生堂さんの「肌と心」の研究の最前線として、
傳田氏の著作内容を概観したインタビューという感じです。


記事の内容は専門的な話や、まだ仮説に過ぎないことも書かれていますが、
一般の方に興味のありそうな箇所を引用しながら、この内容の価値を考えてみます。
つい一昔前の20世紀まで、皮膚は免疫機能と水分を通さないバリア機能だけに着目されがちでしたが、最近の研究によって、それらの働きも別の方面から考察されるようになりました。
例えば、人の受けるストレスの度合いによって、ばい菌を殺す免疫力も低下することが分かってきたのです。
(中略)
ストレスを受けると、アトピー性皮膚炎を抱える人の皮膚では、症状を悪化させる免疫システムが活発になることが分かっています。
逆に、皮膚の状態が悪くなるとストレスが増えるという関係も見られます。
(いずれも当該記事・前篇の傳田氏の発言より)
ストレスが皮膚に与える影響が強いということがわかってきているという話ですが、
ここでは、心理状態が肌状態に影響を与えることを、
科学的なアプローチで研究・解明しつつあるということが重要なことだと思います。

これまで世の中にあふれている、心の状態が肌に影響するという話の大半は、
古くからの試行錯誤の積み重ねによる知識(経験則)で語られるか、
東洋医学的な「気」などを代表とする、
現代の科学では説明不可能なメカニズムが働いているという説明がされています。

傳田氏の研究では、皮膚科学・生物科学などの科学的アプローチで研究し、
肌と心の関係を追求しているのが、とても大きな価値のあることだと考えます。
まだまだ未解決の問題や仮説も多く含まれる話ですが、
科学的な視点・方法を用いていることが重要なポイントでしょう。

意識できるものや目に見えるものだけで世の中が成立しているという考えが社会的には主流ですが、実際はそうではありません。これから真剣にそのことを考える必要があると思います。
(中略)
言葉や文字で伝えることも大事。けれど、根本的には、身体接触や皮膚感覚でしか人や世界とのつながりを作り出すことはできないのではないか。そう思っています。
(いずれも当該記事・後編の傳田氏の発言より)
ここは、傳田氏の研究の成果や現状を踏まえた、ご自身の見解ですが、
私にとっては、体験的にとても共感できるところもあります。


私は以前、「見えない展覧会」というアートイベントに、ボランティアスタッフとして参加したことがあります。
これは、アイマスクをして視覚を遮断した状態で、様々なアートを体感するというものでした。

・「「見えない展覧会」のお知らせ
展覧会のきっかけは、私がアイマスクをつけて作品を触る体験をしたときに指先からその作品の世界が流れ込んでくるのを感じ、感動したことです。
そのとき、今まで本当に私はものを“みて”いたのだろうかという疑問がわき、単に作品を鑑賞する“みる”ではなく、実際に作品に触れ、聴覚、触覚、味覚などの視覚以外の感覚でも“みる”展覧会をしてみようと思い立ちました。(中略)様々な“見る”を探ることが今回の目的です。
視覚を遮ると触覚がとても敏感になり、
それによって、皮膚感覚を通じて広がる世界や他者との繋がりを感じたり、
あるいはそこから沸き起こる感情の深さ・豊かさを実感し、
また、感情の起伏とともに皮膚感覚も変化していくように感じました。

これはあくまでも、体感的な経験から得た私の個人的な感想でしたが、
このような感覚が、傳田氏の研究や考えとどこか通じているような気がしたのでした。


※注釈;
*1;これらの書籍については、他のブロガーさんが詳しいレビューを書いてらっしゃって参考になりますが、
  そのうちのひとつに、著者の傳田氏がコメントを書いてらっしゃいました。

・「『皮膚は考える』読了。 」-poor man's diary
・「『第三の脳 皮膚から考える命、こころ、世界』傳田光洋 」-ish

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