ワインインポートコンサルティング㈱ 代表取締役社長 岩元 渉のブログ

ワインの販売事業者様・輸入事業者様に経営的観点から知見を提供致します。


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財務省は2016年のワインの輸入通関実績を発表しました。

それによりますと、スティルワイン(2ℓ以下のボトルワイン)の輸入量は、前年対比で92.9%と極めて軟調な数量であったことが明らかになりました。

一方でバルクワイン(150ℓ以上の容器で輸入され国内で瓶詰めされるワイン)は、前年対比で112.6%という大幅な増加を記録しました。

更にこのバルクワイン市場は、日本国内だけでなく、弊社がビジネスの拠点を置く中国香港においても猛烈な勢いで伸びています。

今日のこの記事では、日本、更にはアジア圏内におけるバルクワインマーケットを俯瞰する事で、今後のアジアのワイン市場の課題を抽出していきたいと思います。

 

さて前述の通り、2016年はバルクワインが躍進した年でした。

しかしワインショップやスーパーマーケットに行っても、どのワインがボトルで輸入されたワインで、どのワインがバルクで輸入されたワインなのかを判別するのは容易ではありません。

では一般的に言って、酒販店で販売されているワインの中で、どのようなワインがバルクワインなのでしょうか?

 

それを判別するには、まずバルクワインの目的を考慮する必要があります。

バルクワインは、ワインを大型のタンクで輸入し、それを国内の瓶詰工場で詰め込みます。

この最大の目的は、コスト削減にあります。

とはいえ、人件費のコストだけを見るならば、日本国内の人件費よりも、例えばチリのような国民一人当たりのGDPの低い国のワインであるならば、現地でボトリングした方がコストは安いはずです。

また国内で瓶詰めするのであれば、ワインボトルを資材として調達しなければなりませんが、この調達コストも国内の方が割高な傾向にあります。

 

しかし一見するとコスト的には不利な状況に思えても、国内で瓶詰めするメリットは確かにあります。

そのメリットの一つに、関税率の低減を挙げる事が出来ます。

バルクワインはボトルワインに対して関税率が低く設定(国によってはゼロ)されているケースが多く、この税率の低減により輸入の間接コストを削減する事ができます。

 

またもう一つのメリットとしては、大量生産する事によるコスト削減です。

上述の通り、瓶の調達コストだけを見るならば国内の方が高くつきますが、大量に生産するとなると話は別です。

例えば1銘柄当たり10,000本を超えるタンクを輸入した場合、そのコストは瓶詰めのワインよりも安くなると言われています。

とはいえ、大量生産するには大量の消費先が必要になります。

それで一般的にバルクワインの領域に進出できているインポーターは、ビールメーカーを含む、ある程度の大手のメーカーに限られているというのが現状です。

 

特に近年日本国内では、「無添加の国産ワイン」なるものの販売量が急増しています。

これらのワインのほとんどは、海外から輸入したバルクワインに、国内産のワインを少量混ぜたものです。

このようなワインを「国産ワイン」と果たして呼べるのかは議論の余地がある点ですが、このようなワインの販売量の急増が、バルクワインの急増を後押ししている事は、紛れもない事実と言えます。

 

さてここまでで日本国内におけるバルクワイン市場を俯瞰してきました。

日本国内において、バルクワインの輸入量が急増している背景も考察してくることが出来ました。

ここからは、日本以外のアジア市場におけるバルクワインマーケットを考察していきたいと思います。

 

さて中国貿易輸出入協会は、20171月~2月期のワインの貿易統計を発表しました。

それによりますと、昨年来スティルワインの輸入量は増加傾向にありましたが、この2か月は反動で陰りが見えてきている様です。

一方でバルクワインは引き続き堅調で、前年同期比139%という大幅な増加を記録しました。

内訳を見ると、チリ産・オーストラリア産の輸入量が非常に堅調である事が分かります。

 

これらのデータを俯瞰して理解できる事は何でしょうか?

それは日本でも中国でも、ここ数年同様の販売傾向が見られるという点です。

つまりその傾向とは、バルクワインの廉価帯の販売量が急増し、高価格帯のワインの販売量が落ち込んでいるという点です。

 

とはいえ、ワイン事業者が忘れてはならない点もあります。

それは、バルクワインのマーケットは決してグローバルなマーケットではなく、日本や中国といった極めて限られた国だけで広がっているという点です。

 

ワインを大きなタンクで運んで瓶詰めするという工程を聞いて、快さを感じる消費者は多くはないでしょう。

自分の飲んでいるワインが自国で瓶詰めされている事は、消費者からすると余り知りたくない情報かもしれません。

そしてこのようなバルクワインが販売されている国というのは、日本・中国と言った極めて限られた一部の国だけで、世界の大多数の国においては、バルクワイン自体が販売されていないか、場合によっては販売が法律で禁じられている国もあります。

 

バルクワインの是非をここで論じるつもりはありません。

筆者はスティルワインにはスティルワインの、バルクワインにはバルクワインの良さがあると感じています。

とはいえ、少なくとも消費者はそれを判別できる様にするべきであり、それがラベルに表記されるなどの措置は必要なのではないかと考えています。

この点に関しては、日本も中国も全く一緒で、どちらの国においてもバルクワインの存在自体が消費者に知られていない(あえて知らせていない)状況にあるのです。

この状況は早急に改善すべき状況ではないかと考えています。

 

今日はアジアにおけるバルクワインマーケットを俯瞰してくることが出来ました。

バルクワインの存在を、ワイン業界に携わる私達は良く知っているかもしれません。

しかし、消費者のほとんどはその実態を知りません。

ワイン業界はその乖離を埋める必要があり、その事を広く発信していく必要があると強く感じます。

 

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。

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