平成25年1月28日
第百八十三回国会における安倍内閣総理大臣所信表明演説
首相官邸HPの映像です。
http://www.kantei.go.jp/jp/96_abe/statement2/20130128syosin.html
<概要>
映像を見ながらのスピードで書き取れた、重要と思われる部分を下記に示します。
下記○数字は、私の便宜上付けたものです。スピーチそのものとは関係がありません。
①かつては挫折を体験した自分(安倍首相ご自身)
②ニッポン経済の危機
福島原発による危機
外交安全保障への危機
学力の低下による教育の危機
頑張る人は報われる、まっとうな世界を築いていこう。そのために危機を乗り越える
国会議員全員にむけて「危機の突破」のため与野党の英知を結成させよう。
③まずは「経済の再生」断固たる決意で取り戻そう
IPS細胞のようなイノベーションは、経済再生の原動力となる
④世界一を目指して行こうではありませんか!
⑤働く女性、男女で子育て、中小企業、地域の魅力~これらを成長戦略に結びつける
被災地には可能な限り足を運ぶつもり。
⑥ある少女との出会い~ある一通の手紙が届いた話。
その少女が「小学校を建てて欲しい」と言ったこと
復興という言葉を唱えるだけではなく、
政府を変革していく。福島の再生。
外交安全保障
日米の絆の復活を内外に示す
沖縄への取組み
アルジェリアでのテロ事件
拉致問題の解決へ全力
⑦自信を失っている日本人。
芦田元総理~戦後の焼け野原で
「どうなるだろうか、と人に問いかけるのではなく、我々自身の手に寄って運命を開拓するほか道はない」
⑧みなさん、誇りと自信を取り戻そうではありませんか。
自らの中に眠っている力を活かして、強いニッポンを私たち自身で作って行こう。
=======
<考察>
①まずはご自身について話されました。
これを言うことで自己開示となり、聞き手への共感を生みやすくなります。
②危機を4回繰り返しました。重ねて表現することにより、その重要性が伝わります。
③就任当初から訴えている、まずは経済から。これを強調しています。
⑤⑥で国民に触れています。とくに⑥は具体的な一人の国民(少女)の例、その少女に実際に自分が触れ合った体験談を話すことで、国民と自分との繋がりを明らかに表現しています。
具体例や体験談は、聞き手に共感を生むためには必須の内容。
オバマさんの就任演説でも、必ずご自身の体験談が実名入りでスピーチされていることを
彷彿とさせる部分でした。
⑦歴史を引き合いに出しています。
「今」と「過去」を結びつけると、その対比によって「今」のインパクトが強くなります。
離れたものを掛け合わせると、話にぐっと厚みや重みが出るのです。
米大統領スピーチでは、聖書からの引用や歴代の大統領の言葉などが頻繁に使われますが、
これらも「離れたものを掛け合わせる」ことのひとつの技法です。
④と⑧は、国民への呼びかけの言葉です。
大変ストレートでわかりやすい言葉を選ばれました。
これらが伝わるように、全体をコーディネートしたスピーチであることがわかります。
<考察まとめ>
聞き手は誰か=国民、であることをはっきりと意識したスピーチでした。
また、具体例や体験談、歴史を含めており、
全体として、かなり伝わりやすい内容であったと考えます。
【声】
安倍さんの強みである、しっかりした通る声質を活かして話され、メリハリがありました。
強い決断を感じさせる声である、という印象です。
昨年末、衆議院選挙時の自民党広告で、
安倍さんの言葉の滑舌について言及されたコメント等がありました。
滑舌が悪さが逆に一生懸命さを生んでいる、というような評論もありました。
少々早口でいらっしゃるのですが、それも、一概に良くないとは言い切れません。
早いことは、逆に取れば、スピード感となります。
一方で、落ち着きが無いイメージなる、とも言える。両面性があるのです。
要は、「早口が良くない」のではなく、
「言葉が聞き取れないほど早口になることは良くない」のです。
決め手となるのは、メリハリ。
聞き手が飽きない程度に、また、感情を豊かに表現するために、
「言葉の速さ、強さ、高低」に適切な緩急があることが非常に大切です。
そういった点では、安倍さんの話し方には、説得力の高いメリハリが強く感じられます。
言葉がしっかり聞き取れない部分が散見されることについては、
特定の子音の発し方によるものが主な要因、と考えられます。
今後の課題と言えるでしょう。
近いうちに、別の首相の所信表明演説と比較する等、してみたいと思います。
JUDY