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2017年06月19日(月) 17時26分01秒

弁護士が教える!:「契約書作成のメリットと望ましい作成方法とは?!」(2/2)

テーマ:ブログ

 (前編からの続きです)

 ほかに契約書を作成する際には、法令が遵守されているかを確認する機会も得られます。下請法の規制や公正な取引方法の一般指定に反していないかなどを確認することができるでしょう。

 

 争いになったら、裁判で解決を図るということもあるでしょう。裁判官は、契約書の記載を非常に重視します。その時になって契約書に書かれていないことを沢山主張しても、認められないおそれがあることを考えておかなければなりません。

 

 わが社のニーズは契約書に盛り込まれているか、この取引で想定される紛争を防ぐ手立ては盛り込まれているか、担当者がやめても問題が起こらないように詳しく規定されているか、法令は遵守されているか。これらが契約書を作成する際に確認されなければならないことなのです。契約書は記念に作成するものではありません。契約書を作る際に意識しなければならないこれらのことは、同時に契約書を作成するメリットになります。ニーズが満たされるための方策が確保でき、紛争を予防でき、取り決めた内容の備忘録ができ、コンプライアンスも確保できる。契約書は、これらのメリットのために作るのです。

 

 

 そのことをよく知っている方は、メールに契約書案を添付するだけの方法で契約書案のチェックを依頼したりはしません。必ず、依頼先(自社の法務部門や外部の弁護士など)に対し、わが社のニーズ、相手社のニーズ、わが社の譲歩できる項目、契約に至った経緯、契約の履行の細かい段取り、予想される紛争、懸念している事項、相手社との力関係などを伝え、どのような条項を盛り込むべきか、どのように交渉すべきかを自らも検討し、依頼先との打ち合わせに臨みます。

 

 業務の効率性という観点で申し上げますと、その契約での取引価額が僅少であるとか、リスクが小さいといった場合は、慎重な検討は不要かもしれません。しかし、そうでない場合にも、契約書案の表面的なチェックを依頼しているとしたら、それが原因で、会社のピンチを招くかもしれません。くれぐれもご注意ください。

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2017年05月24日(水) 16時33分28秒

弁護士が教える!:「契約書作成のメリットと望ましい作成方法とは?!」(1/2)

テーマ:ブログ

 私は、日常的に契約書のチェックを依頼されます。依頼の方法も様々で、面談して依頼される場合や、契約書案だけをメールに添付してお送りになられる場合などなど。

 

 最も多いのは、契約書案だけをメールでお送りになられる場合ですが、少々心配になります。契約を結ぶに至った背景や、その契約で達成したいニーズ、相手方の要求により譲歩してもよい項目などが分かりませんので、質問させていただくこともございますが、とにかくチェックだけを求めてこられる場合は、表面的なチェックしかできなくなります。

 

 そもそも契約書は何のために作成するのでしょうか。取引先と商談して、うまくまとまったから、その記念に書面を残す、ということでは決してないはずです。でも、契約書のチェックを表面的に行うよう依頼するというのは、記念として契約書を残すのと変わりません。

 

 

 取引先と契約を結ぶとき、それぞれのニーズを合わせるはずです。例えば、メーカーが部品を調達したいときには、その部品の仕様、形状、性能、価格等がニーズに合致していると確認してから調達するはずです。継続かつ安定的に調達したいときは、その旨を取引先に伝えて継続かつ安定的調達を実現しようとするはずです。部品供給業者からすれば、継続かつ安定的に供給するためには、もしかしたら、生産ラインを確保しなければなりません。あるいは、設備投資が必要になるかもしれません。そのような特別の対応に見合う利益や取引期間がなければ契約に応じられないと考えるかもしれません。そのような双方の思惑が合致して、契約に至るわけです。できあがってきた契約書案が、継続かつ安定的調達に配慮した内容でなかったら、設備投資を回収できるだけの取引期間を保証するものでなかったら、その契約書案は修正しなければなりません。契約書案を表面的にチェックする場合は、そういったことでさえ見逃す可能性があります。

 

 自社で開発した新製品を取引先に量産してもらうことになったとしましょう。この場合、製造委託側は、その新製品の仕様、形状、性能に加え、量産時の価格についても具体的にイメージがあるのが通常です。取引先と打ち合わせをして、量産する新製品の仕様、形状、性能を協議して、なんとなく決まったような雰囲気になりました。そこで、一般的なひな形を用いて契約書を締結したら、よく起こる紛争があります。製造委託側が量産品の初期納品分をチェックした際にその紛争は起こります。「こんな仕様、形状、性能の製品を注文した覚えはない。作り直しだ!」と。製造受託側の反論は決まってこうです。「注文を受けたのはこの製品だ。作り直す必要はない。」「仕様変更するなら追加料金を請求する!」と。製造委託側も負けずに「仕様変更ではなく、契約不履行だ!」と反論することになるでしょう。なぜ、こんな紛争が起きるかと申しますと、契約書を作成する段階で、新製品の仕様、形状、性能でもめることを想定していなかったからです。ひな形には、そこまで詳しい記載はありません。安易に考えた代償は高くなるでしょう。契約書を作る際には、技術者であれば誰が読んでも同じ製品しか作れないくらい仕様、形状、性能を特定しておく必要があります。そういったことをおろそかにしたのは、起こりうる紛争を想定しなかったからです。

 

 

 この紛争が解決されたとしましょう。両社が仕様変更であることを認めつつ、製造受託者側が見積もった追加代金の半額を製造委託者側が支払うことになりました。しかし、そのとき、新たに書面を作成しませんでした。新たな商談が成立したときは契約書を作成する習慣があった両社ですが、紛争解決のときにも新たな合意書を作成することが必要になるとは理解していませんでした。その後、仕様変更による量産体制が確立されるまでの間に、紛争を解決した担当者が双方ともやめてしまいました。そうなると、また問題が再燃するでしょう。追加代金の支払いをめぐって争いが再燃するわけです。(後編につづきます。)

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2017年05月12日(金) 19時38分51秒

弁護士ひとりごと:「節税目的の養子縁組は問題?」

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先日、ある最高裁判決が注目されました。節税を目的の一つとして行われた養子縁組について、縁組の意思(親子になろうとする意思)が欠落していて無効ではないかと主張されていた事件で、節税目的と縁組の意思は併存することができるし、縁組の意思がないという事情も窺えないとして、養子縁組は有効であると判断されました。

 

相続税対策として、養子縁組をすることで相続人の数を増やし、基礎控除額を増やすという手法が採られていることがありますが、節税対策というだけでは養子縁組は無効にならないということです。

 

事業承継の一方法として、養子縁組もあり得るのですが、孫を養子にする場合や、一定数以上の養子は基礎控除の対象から外れますので、節税効果が得られないこともあるようです。ご注意を。

 

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2017年04月25日(火) 16時14分46秒

弁護士ひとりごと:「ハラスメントには○○通報制度が有効?!」

テーマ:ブログ

自分の職場にセクハラやパワハラがあったらイヤですよね。もし自分が被害者になったり、身近な人が被害者になったら、イヤとかって問題じゃなくて、真剣に悩みますよね。

 

ハラスメントは、被害者がSOSを発信しないと解決しません。だけど、被害者がSOSを発信する前に必ず思うのは、発信したために、より事態が悪化しないか、という心配です。

 

ハラスメントが放置されると、被害者がよりダメージを受けていきますので、警察のお世話になったり、被害者が自殺したりと、経営者にとっても好ましくない事態に陥ります。

 

被害者が早期にSOSを発信し、経営者が早期に解決を図れるようにするためには、被害者と経営者との情報伝達がうまくいく必要があります。この情報伝達の肝は信頼性です。

被害者からすれば、希望すれば情報が公開されないこと、必ず解決に向かうこと、この二つを信じられないと、経営者に情報を伝達する意味がありません。

経営者はこの二つを被害者に保証する制度を用意しなければなりません。

 

それが内部通報制度や被害者ホットラインというものです。非公開、解決という信頼のためには、外部機関の利用も必須です。

 

消費者庁が公益通報者保護制度の充実を図ろうと動き始めました。民間人である弁護士も頑張らないといけないと思っています!

 

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2015年11月24日(火) 20時20分42秒

下町ロケットに見る特許権の重要性

テーマ:知的財産の話題
下町ロケット、面白いですね。

今回は、このドラマで出てくる特許訴訟を取り上げてみたいと思います。

ドラマでは、N社がT製作所を特許権侵害で訴えました。侵害行為の差し止めと90億円の損害賠償を求める内容です。この請求が認められれば、T製作所は対象製品を製造販売できなくなり、多額の賠償責任を負うことになります。

僕も色んな特許訴訟を担当させていただいたことがありますが、これらの訴訟には競争上の優位性を確保するという目的がありました。自社製品と同じ長所を持つ他社製品があるとして、その他社製品の長所が自社製品と同じ(ような)技術で発揮されているとしたら、他社製品を排除して、自社製品をもっと売れるようにしたいと考えるのは自然なことです。

しかし、ドラマでは、買収を目的にして特許訴訟を提起していました。すごい発想です。

N社はT製作所の発明に改良を加えて独自に特許を成立させ、その特許をもとにT製作所を訴えた様子でした。しかし、もとの基幹技術はT製作所が持っている様子でしたから、N社が敗訴する可能性もあるわけです。敗訴してしまえば、N社の製品は競争上の優位性を確保できません。いや、むしろ、価格やその他の要素でN社の製品が劣っている場合は、市場で駆逐されてしまうかもしれません。そう考えると、敗訴する可能性のある特許訴訟は提起しにくいはずですよね。それなのに、N社は特許訴訟を提起した。それは、対象製品のみの競争上の優位性を確保するのではなく、T製作所をまるごと吸収して、製品も技術も我が物にして、競争上の優位性を確保するという目的があったからなんですね。繰り返しますが、すごい発想です。

ドラマで描かれていましたように、特許訴訟を提起された会社は、取引先から対象製品の購入を中止されてしまうということがしばしば起こります。それは、取引を続ければ、取引先も特許権侵害で訴えられる可能性が出てくるからなのです。それが主力製品ならば、T製作所のように、深刻な売上減少を招いてしまうことになるおそれがあります。ドラマでは、T製作所の大口取引先がN社と組んでいたという特殊な事情もあるわけですが、一般的にも、特許訴訟を起こされると、売上げが減少して倒産の危機に瀕するということがないわけではありません。特にベンチャー企業ならば想像しやすいです。もともと資金繰りが楽ではないなかで、ようやく事業化(商用化)に成功した製品が特許権を侵害するとのことで訴訟を提起され、売上げが減少するわけです。たちまち倒産の危機に瀕したとしても不思議ではありません。倒産の危機に瀕した企業が自主再建できないとしたら、本当に倒産してしまうか、スポンサーに助けてもらうかなのですが、N社はそうなるように仕掛けていったということなのです。

ドラマでは、T製作所からの逆提訴、T重工からの特許権譲渡提案と進んでいくわけですが、優れた特許権を取得し、周辺技術をうまく補足し、それらを正しく活用できることが本当に大切なんだな、と痛感しました。

特許権は、その賠償金が高額なだけではなく、会社の命運を握る存在であることが珍しくないですから、簡単に考えてはいけません。必ず専門家の知恵を利用しなければなりません。宣伝失礼(笑)。

では、今回はこのへんで。
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