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動物と人間と私と・・・


テーマ:

日本のアニマルライツ運動の現状と広がり


筆者:vivian
情報提供:ふみふみ隊長
http://maypat01.blog.fc2.com/


妊娠豚用檻(ストール)廃止活動 


―妊娠豚用檻(ストール) 工場式畜産の実態 安さの代償―



「とにかく畜産動物に目を向けて欲しかった。」

現在日本で、妊娠豚用檻(ストール)の廃止活動を行っている、
NPO法人アニマルライツセンター理事の佐藤さんは語る。



妊娠豚用檻(ストール)とは、繁殖管理の効率化(受胎・流産の確認・給餌制限)のために、
繁殖用のメスの豚たちに対して使われる檻のことである(写真1、2)。

檻のサイズは1頭あたりたったの1㎡程度、
大人の豚の身体がすっぽり収まる程度の大きさだ。


その檻の中で、豚たちは、方向転換することも、
身づくろいすることも、他の豚と戯れることもできない。

繁殖用のメスの豚たちは、その檻の中で飼育され、
1年で2~3回出産し、繁殖率の低下する4~5年でと殺される。

豚たちにとって、それが苦痛とストレスに満ちた一生であることは、想像に容易い。

現在スーパーマーケットで売られている豚肉、
ファミリーレストランやコンビニエンスストア、
ファーストフード店などで使われている豚肉のほとんどは、

その生産過程でこの妊娠豚用檻が使用されている
[i]。


写真1 妊娠豚用檻 (NPO法人アニマルライツセンター)
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写真2 妊娠豚用檻 (NPO法人アニマルライツセンター)
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妊娠豚用檻は、日本の90%以上の採卵養鶏場で採用されている
バタリーケージ飼育[ii](※1)と並んで、

現代の工場式畜産を代表する飼育方法の一つである。

工場式畜産とは、生産性を重視するため、動物を過密状態でモノのように扱い、
動物に大きな負担を与える生産方式である。



(※1)【バタリーケージ飼育】:
ワイヤーでできたケージ(間口25cm×奥行40cm×高さ45cm程度)の中に
ニワトリを2羽ずつ(日本の一般的な収容数)入れ、それを何段かに重ねて飼育する方式。

平均すると1羽当たり470平方cm程度で、B5サイズに満たない
(2007年畜産技術協会調査)[iii](写真3、4)。


写真3 バタリーケージ飼育 (NPO法人アニマルライツセンター)
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写真4 バタリーケージ飼育 (NPO法人アニマルライツセンター)
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アニマルウェルフェア、すなわち動物福祉について人々の関心が高いEUでは、

国際的な動物福祉基準である「5つの自由」(※2)に反するこの妊娠豚用檻が、
2013年1月1日以降、法律で禁止された
(一部未対応の国あり)[iv]。

アメリカの9つの州では禁止、あるいは今後禁止されることが決定。
スイスではすでに廃止され、オーストラリアは2017年までに廃止、
ニュージーランドは2015年までに廃止を発表
と、

先進国では、動物への思いやりの気持ちが運動へと発展し、
妊娠豚用檻は続々と廃止の傾向にある[v]。


(※2)【5つの自由】:
不快からの自由、
恐怖と悲しみからの自由、
病気と苦しみからの自由、
飢えと渇きからの自由、
通常行動への自由


(通常行動への自由とは、立つ、長々と横たる、大きく伸びをする、
方向転換、身づくろいをする、
他の仲間と親和行動を結ぶなどの欲求がかなえられる自由)



一方、日本では、83%の畜産農家で妊娠豚用檻が使われている。

また、妊娠豚用檻を使用している養豚農家のうち3割以上は、
この檻を「常時使用」している
(いずれも、2007年畜産技術協会調査)。

さらに、日本には畜産動物の飼育方法についての法規制が何もない[vi]。

そして、多くの消費者は、畜産動物の実態について何も知らない[vii]。




―なぜ、 “娠豚用檻の廃止活動”なのか―


「『福祉』でも『権利』でも何でもいい。

とにかく、今は全くと言えるほど知られていない、
畜産動物たちの実態を広く知ってもらいたかった。

最終的な目標は、動物の解放です。

でも、まずは現状を一刻も早く改善させたい。

EUや他の先進国で廃止されつつある、妊娠豚用檻という、
動物の感受性を無視した飼育方法に問題提起を行い、

普段日の当たらないところにいる畜産動物に目を向けてもらうことが、
動物の解放につながると考えています。」


一つの社会問題を解決していくためには、まず人々に実態を知ってもらい、
関心を持ってもらうことが最も大切なことである。


2009年に日本獣医生命科学大学が実施したアンケート(672名)では、

「家畜の福祉よりも価格を重視すべき」と答えた人はわずか1%にすぎず、

85%の消費者は、「価格と家畜の福祉のバランスが大切」と回答。

そして、10%の消費者は「価格が高くなっても家畜の福祉を大切にすべき」


と回答している[viii]。


ヨーロッパでは、80%の消費者は、

『動物の権利はコストに関わりなく支持すべき』と考え

『動物福祉に配慮されたものかどうか』が、畜産物を購入する際の基準となっている[ix]。

畜産動物の実態を知らない日本の消費者の多くは、
安いものを求める傾向にあると思われる。

しかし、価格を優先させるために、
動物が受けている扱いを知れば、消費者は異を唱えるだろう。


人々の関心が高まり、社会全体で工場式畜産を縮小へと向かわせることができれば、
生産性や効率性が低下することから、殺される動物の数を減らすことができるだろう。

畜産動物の福祉が向上することで、
肉自体の価値が高騰していけば、肉の消費量は減っていくだろう。

畜産動物の福祉に配慮されていても、されていなくても、
結局は殺されて肉にされるという根本的なところは同じであり、
それに気づいてベジタリアンになる人もいるだろう。



―隠す体質―


佐藤さんは、日本にある放牧養豚場と、過密な集団飼育を行い、
妊娠豚用檻を採用している日本の一般的な養豚場をそれぞれ訪れた。

彼女がそこで見たものは、歴然とした「差」であった。


放牧養豚場の豚たちは、繁殖用のメスの豚も、肥育用のオスとメスの豚も、
建物の中や外を自由に行き来することができ、泥浴びをすることもできる(写真3、4)。

豚たちにとって泥浴びは、体を冷やすことや寄生虫を落とすために重要な役割を持つ。

現場を見学した佐藤さんによれば、豚は本来、綺麗好きで、好奇心旺盛。
一日のうち約7時間を探索行動に費やし、草や根や昆虫やミミズや種子を探して食べる。
木に身体をこすり付けて汚れを落とし、糞は自分の寝床とは別の場所にする。

仲間同士でじゃれあって遊んだり、走ったりもする。
人懐こく、頭をなでると気持ちよさそうにし、お腹をなでるとゴロンと横になる。


放牧養豚場にいけば、豚が産業動物である前に、
感受性の豊かな生き物であることが良く分かったと佐藤さんは言う。

しかし、日本においてこのような放牧養豚はほとんど行われていないのが現状だ。


写真5 放牧養豚(NPO法人アニマルライツセンター)

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写真6 放牧養豚(NPO法人アニマルライツセンター)

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一方、集団飼育の養豚場にいる豚たちの様子は、実にいたたまれないものであった。

妊娠豚用檻の中にいるメスの豚の中には、
犬座姿勢(犬のようなお座りの姿勢)でじっとしているものや、
柵をひっきりなしにかじり続けているもの、ただ横たわり続けているものもいた。


また、一般的な集団飼育の養豚場には泥場がないため、佐藤さんが訪れた現場では、
水飲み場から地面へと、わずかに漏れ出た水と土が混じった部分に、
顔を何度もこすりつけている豚の姿も見られた。

豚たちは、自分たちのいる狭い囲いの中の、隅の方で糞をせざるを得ず、
自分の糞尿で滑ってうまく歩けずにいた。

生きる喜びや楽しみなど全く感じられない。彼らは、ただそこに存在していた。


「いくつかの養豚場や畜産農家を訪れましたが、
それらはいずれも人里離れたところにありました。

なぜかというと、汚い、臭いから。

そうやって人の目の届かないところで、隠れて、動物たちを過密状態で閉じ込め、虐める。

そのような光景を目の当たりにして、これは感情的な問題ではない、

社会的・道徳的な問題であり、皆の問題。

人々へ広めて、皆で解決していかなければならない。改めてそう思いました。」


筆者も、犬や猫といった家庭動物・ペットと呼ばれる動物たちを、
殺処分するための動物管理センターを訪ねたことがあるが、

同じく周りは墓地や拘置所といった、人があまり寄り付かない山手にあった。

その立地理由も、うるさい・臭いから、動物を殺すから、人々から苦情が寄せられるから。

と殺場についても、ほとんどが見学できないという実態にあり、同じことが言えるだろう。


私たち人間は、これまでずっと、

そうやって都合の悪いものを、隅へ、

見えないところへ、聞こえないところへと追いやり、

他人に押し付けて、他人の手を汚させ、自分たちは楽をし、

きれいなところだけを見て、おいしいところだけを奪って、生きてきた。


動物への差別と暴力の問題だけではない。

人間同士の差別と暴力の問題の根本がここにある。


これらを行う社会を認めるということは、

自分が他者に対して差別や暴力を行うことと同じであり、それを許すことと同じなのだ。

私たち一人一人に責任があり、他人事では決してない。


このような行動は、生物が元々持ち合わせる差別意識によって
生み出されるものなのかもしれない。

だが、私たちはその差別意識を克服することができるだろう。

対象を知り、事の本質を理解すること、自分の意識を自覚し、向き合うこと、
良心に従うこと、倫理観を育むことによって。


なぜ、日本ではほとんどの人が動物の問題を知らず、

動物への差別を、差別との認識さえ持つことがないのだろうか。

動物の権利や福祉についての
日本の意識は、なぜここまで遅れているのか。


その原因の一つが、この隠す体質である。

経済・産業第一主義の国の方針で、都合の悪いことは隠され、
消費者は何も知らされず、テレビやメディアの広告・宣伝に踊らされ、

知らず知らずのうちに、動物虐待、暴力、差別に加担させられている。


それこそが、問題そのものを知られることから遠ざけ、闇へと包み、
監視の目の届かない状態を作り出し、

動物たちへの虐待行為を一層エスカレートさせ、このような悲劇を引き起こしている。


「動物は広々とした牧場でのびのびと育てられている」という

事実と異なるイメージを刷り込まれ、

「生きるために仕方ない」「感謝していただけばよい」という、

誤りの教育と偽物の免罪符によって、動物の命を奪う罪悪感から逃れ、

肉を食べなくても生きていけることや、畜産の実態を教えられることもなく、

「懺悔して肉食を止める」こともないまま、多くの人は大人になってきた。



肉を買い、食べるということは、
自分自身が動物の命を奪っているということであり、

工場式畜産により育てられた肉を買うということは、
工場式畜産を支持しているということである。

私たちの何気ない消費活動は、末端の犠牲者を生み出す暴力への加担になり得る。


しかし、多くの消費者は本当のことを知らないために、そのことにすら気づくことがない。



しかし、ここ数年でインターネット技術の発達や携帯端末の急速な普及、

そして、twitterやFacebookなどの
ソーシャルネットワーキングサービスの利用者数の軒並みの上昇により、

スポンサーの利害関係が絡むテレビをはじめとした大手メディアでは
放送されてこなかった事実が、次々に流れ、明るみにされてきている。


事実は事実であり、いつまでも隠すことはできない。

隠していても、根本を解決しなければ、何も変わらないことに気づき、

事実と向き合い、それをどう改善していくか、どう問題をなくしていくかをきちんと考え、
行動に移す人々が徐々に増えてきている。

「隠す体質」から、「公開する習慣」への変革が要求されている。



その大きなきっかけとなったのが、2011年3月11日に起こった、東日本大震災だ。



―東日本大震災 原発事故によって失われた命、気づきを得た人々―


東日本大震災では、多くの人々と、多くの動物たちの命も失われた。



当の震災では、津波の被害で犠牲になった命だけではなく、
福島第一原発事故という「人災」のために、

警戒区域と呼ばれた原発20キロ圏内立ち入り禁止区域には、
多くのペットや畜産動物たちが置き去りにされ、数え切れないほどの命が亡くなった。


畜産動物の多くは、ケージや檻の中に閉じ込められたまま、繋がれたまま被災し、
置き去りにされたため、飲むものも食べるものもなく、衰弱し餓死していった。

生き残った動物たちは、強いものが弱いものを食べ、また共食いせざるを得ない状況に陥った。

その様子が、インターネットや新聞、やがてテレビでも少し報道されるようになり、
それを目にした人々は、動物たちの置かれてきた状況に関心を持つようになった。


ガリガリに痩せこけた牛や、身体を重ね合わせるように亡くなっていった豚たちの姿、
干からびて骨の浮き上がった牛の亡骸を見て、

「もうとても食べられない。」と、肉を食べなくなった人もいる。

今までスーパーや料理店で購入し食べてきた、カットされた「肉片」と、
その肉の元となる動物の身体、存在、動く姿、死ぬ姿を見て、

「命」というものが、意識の中で初めて一つにつながったのかもしれない。


普段肉を食べていることと、
見殺しにされる畜産動物たちを助けたいと願う思いに矛盾を感じ、

肉を食べるのをやめた人もいる。


震災と原発事故を機に、生き方を変えた人は多い。

それまでは隠され、潜在していた問題が顕わになり、

人々の目の前に、生活の問題、人生の問題、命の問題として突きつけられた。

それに向き合ことのできた人たちや、気づきを得た人々は、
自分からどんどん情報を得て、ライフスタイルを変えていった。

移住したり、自給自足を始めたり、食生活や消費の仕方を変え、
市民運動、抗議活動に参加していった。


日本人は、争いごとや何かに「反対」すること、
周りと違った考えや行動、特異な活動を嫌い、事無かれ主義だと言われている。

そのため、欧米に比べると、アニマルライツ=命を尊重し守るという活動についても、
偏見を持たれ、理解を得づらいところがあるのかもしれない。

しかし、震災後、今まで目を向けてこなかった問題を、
もう一度見つめ直そうという動きが盛んになり、事実を知ろうとする人々、
間違ったことをなくしていこうとする人々が急増している。

日本は今、変革の時期に突入している。



アニマルライツ運動の現状と広まり


アニマルライツの確立と向上のために取り組むべき問題は山のようにある。

畜産動物、毛皮、動物実験、生体販売と殺処分、
水族館、動物園、外来種、野生動物に関する問題などだ。

それらを解決していくために、具体的にどのようなことをするのか。



●実態を広める啓発活動


これまでに述べてきたように、多くの人々は動物の実態を知らず、
動物が残酷な扱いを受けることを良く思わない。

しかし、実態を知れば、動物への不当な扱いをなくしてほしいと思う人は増える。

よって、まずはより多くの人々へ実態を知らせることが何よりも大切である。


やり方は簡単だ。インターネット上
(Facebook、Twitter、Line、mixi、gree、ブログ、携帯小説、掲示板など)や、

街頭活動(パネル展、チラシ配り、デモ行進、パレードなど)、

その他あらゆる方法とあらゆる場所で、とにかく実態を広めること。


菜食を広めることについて言えば、

ベジタリアンパレードなどの街頭活動や、ドキュメンタリー映画、

日本ならではの文化、漫画を通じてベジタリアンを広めたり
(「ベジタリアンは菜食主義ではありません」著者:Natsumi)、
http://tokidoki-sur.cocolog-nifty.com/blog/2010/10/post-f339.html

ベジタリアンのレシピをブログやレシピ投稿サイトで紹介したり、

菜食の飲食店や販売店を経営することで広めたりと、様々な方法がある。

元々焼肉店をしていたご家族が、動物の問題を知ったことでビーガンになり、
焼肉店を閉めて、ビーガンカフェレストランを開業したという例もある。

(京都深草の「Vegans Cafe & Restaurant」)
http://www.veganscafe.com/


日本は菜食というライフスタイルを実践しやすい国である。

昔から玄米、雑穀、豆、野菜、果物、山菜、海藻を育て、採り、食べる習慣があることや、

醤油、味噌、豆腐、漬物といった伝統的な食材が豊富にあり、

これらは調味料や添加物に気をつければ、ビーガン食材である。


また、前述してきたような、SNSの発達や、震災をきっかけに、
ベジタリアンになる人が増え、ベジタリアンに対する偏見もなくなっていきている。


最近の調査によれば、

「(自分は)ベジタリアンである」と答えた人は4.8%

(株式会社ラッシュジャパンが実施した
「化粧品の動物実験に関する消費者意識調査」より)。

約20人に1人ということになる。

また、ベジミート(大豆ミート、グルテン《小麦》ミートなど)
を取り扱う会社13社への調査では、いずれの会社でも、

ベジミートの需給が年々拡大傾向にあることがわかった。

13社に対して行ったアンケートには、

「10年前に比べ、ベジミートの販売量が数倍の伸びを記録している。」

「道の駅で売られたり、ここ1、2年、NHKや民放などメディアで

大豆肉が取り上げられる機会が増え、
ベジタリアンでない人にも認知度が上がってきている。」

などの回答があった。

これから、一層の伸びが予想される。



●企業や行政に声を届ける要望活動  
一人一人のライフスタイルを変える―バイコット&ボイコット―



動物実験を行っている、
毛皮・ダウン・ウールなど動物性素材を扱っている、
工場式畜産に関わっている、
動物を商品として利用している、
動物を展示している、
文化、教育、祭りの道具としているなど、

動物を利用している企業や行政、教育機関、宗教法人などに対して、

動物を利用しない選択をするよう求めるのが、この要望活動である。

要望の仕方は、

電話、メール、FAX、手紙、はがき、ウェブサイトからの投稿、
SNSを通じたコメント、お店のアンケート、パブリックコメントなど、様々な方法がある。


また、直接声を届けるだけでなく、購買・消費の方法によって、

企業・店に対する支持(バイコット)・不支持(ボイコット)
の意思表示をすることもできる。

いわば、購買は投票である。

人や動物を搾取していないか、
環境に負荷を与えていないか、
公正な取引が行われているか、
モノそのものだけではなく、
運送に長い距離やエネルギーをかけていないか、
過包装ではないか、
あるいは、その企業や店がどのようなポリシーを持っているかなど、

選択の基準は様々である。

例えば、動物実験を行い、毛皮を売る企業からは買わず、

動物実験をしていない、毛皮を売らない企業を購入して応援する。

工場式畜産に関わる企業からは買わず、
動物福祉や有機、無農薬など環境に配慮のある企業を選ぶ、などがある。


経済・産業活動が優先されるこの現代において、

消費者が、できるだけ虐待や搾取に関わらないことを基準に、

モノやサービスなどに対してお金を払うようになれば、

そして、できるだけエネルギーの無駄遣いをしないように日々の行動をすれば、

それは、社会を変え得る、確実で重要な意味を持つであろう。


このように、一人一人がライフスタイルを見直し、消費の方法を変え、

声を届ける、行動を起こす、実態を広めるといった

小さな活動を日々の習慣にしていくことが、変革への何よりの近道となる。


このような個々の活動が、大きな運動へと発展し、成功した事例がある。

化粧品の動物実験に反対する市民運動だ。



―歴史的大勝利、資生堂の動物実験廃止 今後の課題―  


化粧品やシャンプー、洗剤や歯磨きなどのトイレタリー製品の開発のために、
毎年多くの動物が実験材料として使われ、犠牲になっている。

しかし、すでに安全性の確認されている成分を使用すれば、
新たに動物実験を行う必要はなく、動物実験をせずに商品を開発することは可能だ。

実際に多くの化粧品企業が動物実験を行っていない。

ところが、大手企業など、いまだに動物実験を行っているところもある。

美白やしわ・たるみの防止などを謳う医薬部外品(薬用化粧品)に、
新しい成分を使用する際、動物実験の義務づけられており、

企業は、開発した新成分で特許を取得すれば、莫大な利益が得られるために、
なかなか動物実験を止めることをしない。


2009年から、NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)により、

資生堂をターゲットに
「ウサギを救え!化粧品の動物実験廃止キャンペーン」

と称した不買運動が展開された。

東京と大阪でデモ行進を開催、同社株主総会会場前での抗議のデモンストレーション、

インターネットや新聞広告などを通じて、
「動物実験をやめてほしい」という声と署名を募り、約46,000人の署名を資生堂に提出。

これらの取り組みはメディアにも取り上げられ、
化粧品の動物実験は、社会問題として注目を集めていった。

キャンペーン開始から約1年後の2010年3月、
資生堂はウェブサイトにて動物実験廃止に向けた具体的な取り組みを発表した。

その後も、JAVAを中心に同社に対し粘り強い働きかけが行われ、

ついに資生堂は、2013年4月1日より開発に着手する化粧品と医薬部外品について、
原料や委託も含め動物実験を廃止することを正式に決定した。

ただし、中国市場向け商品については、
中国当局での動物実験実施の義務があり、例外となっている。


資生堂を動物実験廃止に踏み切らせた大きな要因として、

同社の主要な市場であるEUが、2013年3月に
化粧品の動物実験を完全に禁止したことがあげられるが、決してそれだけではない。

多くの消費者からの動物実験廃止を求める声が、
国内化粧品会社最大手という大きな山を動かしたのだ。

運動は必ず実を結ぶということが証明された。

これは、アニマルライツ運動の歴史的大勝利であり、
動物実験の廃止に向け大きな道筋を刻み、

動物の権利を守るために声を上げる人々の大きな励みとなった。


しかし、アニマルライツの運動には、まだまだ課題や問題も多い。

日本で一般的に動物愛護というと、
犬や猫などのペットの保護のみ、と捉える人も多く、

アニマルライツという動物全般の問題については、
取り組む人材や集まる資金も非常に少ない。

それぞれの団体の政治力や社会的地位もまだまだ高いとは言えず、
納得のいく形での活動ができていないのが現状だ。

今後いかに「アニマルライツの運動」について人々の理解を得て、
関心を集め、社会を巻き込んでいくかが、大きな課題であるだろう。


妊娠豚用檻廃止活動も、動物実験反対運動と同じく、
大きな運動へと発展させていかなければならない。

これまで、大手食肉加工会社数社に宛てた、
妊娠豚用檻の廃止を求める署名を集め、廃止への働きかけを行い、

社会に対しては、妊娠豚用檻や工場式畜産の悲惨な実態を知らせ、
廃止活動への賛同者を募ってきた。

対象の企業の開催する株主総会会場付近では、
株主に対してのデモンストレーションを行った。

メディアへも取り組みをしてもらうよう働きかけ、
毎日新聞や週刊金曜日など、いくつかのメディアがこの問題を社会問題として取り上げた。


2013年4月から署名を開始し、8月末までに3900人以上の賛同者を得た。

賛同者のうちの多くは、
「こういった飼育が行われているとは知らなかった。やめてほしい。」というものだ。


佐藤さんは、署名提出先の企業数社を訪問し、
動物福祉についてのプレゼンテーションと妊娠豚用檻廃止の嘆願を行ったが、
反応はいまいちだったと言う。

「(企業には、)思いやりを持ってほしかった。
 今後も継続して働きかけを行っていきたい。」


3900人の署名は、決して多いとは言えず、企業を動かすほどの力にはならないだろう。

だが、活動はまだまだ続く。

この先には、これから問題を知って行動を起こす人たちが無数にいるはずだ。

暗闇の中で苦しむ動物たちに光を当てるために、
動物たちの苦しみを、少しでも、一つでもなくしていくために、立ち上がる人々が。


***


筆者プロフィール:vivian

震災前の2007年頃、テレビで
虐待された動物についてのドキュメンタリー番組を見たことをきっかけに、
動物の問題について調べ始め、NPO法人動物実験の廃止を求める会(JAVA)に入会。

その会報によって、アニマルライツを重んじる人の多くが
ベジタリアンであるということを知り、すぐに肉食を止め、ビーガン(完全菜食)になる。

2008~9年頃から、アニマルライツの擁護と向上のため、
動物の置かれている実態を広めるための活動を本格的に始める。


注:

[i] 「豚の飼養管理実態調査の結果」畜産技術協会2007年調査

「アニマルウェルフェア」佐藤衆介 著

畜産技術協会「アニマルウェルフェアの考え方に対応した飼養管理指針」

[ii] 「採卵鶏の飼養管理実態調査の結果」畜産技術協会2007年調査

[iii] 「採卵鶏の飼養管理実態調査の結果」畜産技術協会2007年調査

[iv] 「豚の保護のための最低基準を定める理事会指令」(Directive01/88/EC, EU に適用)

[v]   An HSUS Report: Welfare Issues with Gestation Crates for Pregnant Sows (Feb,2013)
http://www.humanesociety.org/assets/pdfs/farm/HSUS-Report-on-Gestation-Crates-for-Pregnant-Sows.pdf

[vi]農水省 「動物の愛護及び管理に関する法律」

畜産技術協会「アニマルウェルフェアの考えに対応した飼養管理指針」

家畜伝染病予防法施行規則第21条 飼養衛生管理基準

[vii] 「アニマルウェルフェア畜産物の 生産・流通・消費拡大の可能性と課題
畜産物需給関係学術研究情報収集推進事業報告書 」2010 年 3 月 日本獣医生命科学大学
http://www.alic.go.jp/content/000067775.pdf

「アニマルウェルフェアについての認知度」環境省2011年調査
http://www.env.go.jp/council/14animal/y143-18/mat02.pdf

[viii] 「アニマルウェルフェア畜産物の 生産・流通・消費拡大の可能性と課題
畜産物需給関係学術研究情報収集推進事業報告書 」2010 年 3 月 日本獣医生命科学大学

[ix] EU 委員会による「家畜福祉についての消費者意識」(2005 年 2 月~3 月)

出典は下記
「アニマルウェルフェア畜産物の 生産・流通・消費拡大の可能性と課題
畜産物需給関係学術研究情報収集推進事業報告書 」2010 年 3 月 日本獣医生命科学大学
http://www.alic.go.jp/content/000067775.pdf




参考:

●日本の畜産動物が置かれている状況まとめ
http://ameblo.jp/vivihappieta/entry-11635200617.html



※妊娠豚用檻の廃止を求める署名を集めています。
賛同していただける方は、署名をどうぞよろしくお願いします。
http://chn.ge/Z5CeP8

※妊娠豚用檻 廃止活動にご協力をお願いいたします。
http://maypat01.blog.fc2.com/blog-category-3.html


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