「高校授業料の無償化」に関連して、朝鮮学校も無償化の対象に含めるかどうかの検討が続けられている。5紙がこの問題を社説に取り上げたが、「対象とすべきでない」と主張したのは産経ただ1紙で、他はすべて「無償化賛成」だった。

 この問題を考えるにあたっては、「朝鮮学校では実際にどのような教育が行われているか」が何より重要であることは、誰の目にも明らかだろう。

 朝日は「高校の教室には金日成、正日父子の肖像画があり、修学旅行は中国経由で平壌に出かける。独裁体制維持の手段である主体(チュチェ)思想も朝鮮史などの授業で触れられる」とかなり詳細に紹介したものの、そこから導き出した結論は「そうであっても、朝鮮学校で学ぶ生徒への支援の問題と、北朝鮮の異様な体制への対応を同一線上でとらえるのは、やはりおかしい」というものだった。

 産経は教室に肖像画が掲げられていることで「同胞教育の一端が明らかになった」とし、「拉致された日本人のことを考えると、国家テロを主導する独裁者を神聖視する教育は国民感情として受け入れられない」と明確に態度を表明した。

 読売は「朝鮮語や朝鮮史などのほか、数学や英語など高校と同じ教科も教えている」、毎日は「授業に朝鮮語を用い、朝鮮史など民族教育に特色があるが、数学、物理など教科学習は、基本的に日本の学習指導要領内容に沿う」と、あまりによく似た書きぶりでカリキュラムに問題のないことを強調する。

 しかし産経は「単なるカリキュラムの調査だけでなく、同胞教育の中身の精査が必要である」と指摘した。事実、朝鮮学校で使われている教科書では、「日本当局は『拉致問題』を極大化し…」と書くなど「拉致」への反省、謝罪も見られず、日本を敵視し日本社会での共生を否定するような内容も見られることが明らかになっている。

 「生徒たちは、日本に生まれ育った社会の構成員であり、将来もそうだ」(毎日)、「北朝鮮は独裁国家だが、在日朝鮮人の子どもたちはまったく別の社会で生きている」(東京)といった具合に、高邁(こうまい)な理念を説く社説も多かった。

 それに対して産経は、計4回に及ぶ社説(主張)のすべてで、「生徒1人当たり12万円の就学支援金が支払われることになる。それは国民の税金だ」などと、無償化を支えるのは血税(公金)であるという「現実」に、むしろ目を向けた。

 朝鮮学校についての橋下徹・大阪府知事の発言を取り上げたのは産経と朝日だった。

 朝日は「北朝鮮という国は暴力団と一緒。暴力団とお付き合いのある学校に助成がいくのがいいのか」との知事発言に触れながら、「だが、今冬の全国高校ラグビー大会で、大阪代表として4強入りを果たしたのは、大阪朝鮮高級学校だった」と、スポーツでの活躍に話を飛躍させた。分かりにくい脈絡である。

 産経は「拉致問題とは切り離せない」との知事発言を紹介し、「朝鮮学校は全国に73校あるが、平成20年度だけで7億8000万円もの補助金が各自治体から支払われている。この原資も税金だ」と、自治体からの支出の妥当性に言及した。5日付「主張」は「大阪府以外の自治体も、朝鮮学校の教育の実態を改めて調査し直し、補助金のあり方を再検討すべきである」と締めくくられている。

 無償化の判断基準については「きちんと説明のつく内容にすべき」(読売)なのは当然ながら、「無償化」だけでなく、各自治体の「朝鮮学校支援」にまで視野を広げて論議することが必要なのではあるまいか。(清湖口敏)

 ■朝鮮学校と高校無償化に関する各社の社説

 産経

 ・無償化除外へ知恵を絞れ (2月23日付)

 ・朝鮮学校の説明は不十分 (2月27日付)

 ・“北崇拝”に税金出せるか(3月 5日付)

 ・拉致事件「反省」は方便か(3月13日付)

 朝日

 ・朝鮮学校除外はおかしい (2月24日付)

 ・除外はやはりおかしい  (3月 8日付)

 毎日

 ・無償化除外 筋が通らぬ (3月11日付)

 読売

 ・格差解消の本質を見失うな(3月 5日付)

 東京

 ・日本で生きるために   (3月 3日付)

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