Mon, January 01, 2007

「犬の妊娠と出産」を特捜せよ! ~犬にも“つわり”がありますか?~

テーマ:ブログ


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ヒトでは妊娠したのかどうかを最も早い時期に確実に知る方法は、尿検査による妊娠判定です。
尿検査による妊娠判定では通常、尿中のホルモン(ヒト絨毛性ゴナドトロピン;HCG)を検出します。このホルモンは受精卵から発生する絨毛という組織から分泌されるもので、妊娠した場合にのみしか検出されません。このホルモンが尿中に排出されるようになるので、これを妊娠判定検査薬 で検出することで妊娠の判定が可能になるわけです。妊娠の判定が可能となるのは受精から最低でも2週間以上が必要です。
このように人間では妊娠した時にのみ分泌されるホルモンがありますが、犬は妊娠してもしなくても、同じホルモン変化を辿ります。仕事を頑張っても頑張らなくても居酒屋にビールを飲みにいく原理と似ています。従って犬は人間の妊娠判定検査薬のように尿検査で妊娠を診断することができません。また妊娠を維持するための血液中のホルモン(プロゲステロン)を測定しても犬の妊娠を診断することができません。(妊娠した犬だけに分泌される血液中のリラキシン測定は妊娠の補助診断のマーカーとして推奨されていますがスタンダードではありません)。


犬で最も早い段階からできる信頼性の高い妊娠検査は超音波検査です。最初に交配してから21~24日で胎児の心拍を検出することができます。しかし獣医師の言い訳ではありませんが胎児の頭数を確認するには信頼できる方法ではありません。
通常獣医師が腹部を触って妊娠を判断するのは25~36日後となります。30日以降では子宮はさらに膨張するため腸管と妊娠子宮を区別することが難しくなります。45日後にはレントゲン検査で胎児の骨化が確認できます。


犬の妊娠期間は何日くらいですか?
人間の妊娠期間は
280日(40週)±15日と言われていますが、犬の場合はグレートデーンであろうがチワワあろうが体のサイズに関わらず子犬を分娩するには平均63日(9週間)が必要で妊娠期間の計算方法は妊娠期間は初めの出血から63+/-7日、発情中に黄体ホルモンのピークから65+/- 1日、発情間期から57+/- 3日(Essentials of Small Animal Internal Medicine)と言われています。

Q.母犬にカルシウム剤を与えた方が良いですか?
A.
人間の妊婦は妊娠中のカルシウムのサプリメント摂取で高血圧、子癇前症などの妊娠中毒症のリスクが低下することがWHOの研究によって明らかになり、妊婦は妊娠中にカルシウムを多く含む食品を摂る工夫が必要であると言われています。しかし妊娠中の犬にはカルシウム剤やビタミンDを与えてはいけません。幼獣が発育するためにはカルシウムが必要なので、理に叶っているように思われがちですが、サプリメントを与えていた犬は帝王切開の確率を高める陣痛微弱を引き起こす危険性があります。また出産後に骨からのカルシウムの放出が不十分となり、筋肉の虚弱や発作(ミルクテタニー)などの症状を引き起こす低カルシウム血症に陥りやすくなるからです。妊娠中の犬にカルシウム剤やビタミンDを与えている現場を目撃したら「ちょっと! ちょっと、ちょっと!! どした!」とザ・たっち風に突っ込んでください。



Q.いつ出産するか知るにはどうすればよいですか?
A.出産約1週間前から検温すると良いかもしれません。
健常犬の正常体温(直腸温)38.1~39.2℃、健常猫の正常体温は37.8~39.2℃です。犬も猫も出産直前に体温が数度(37.2℃を下回る)下がります。しかし通常体温が、かなり早く回復するので、見逃してしまう可能性があります。従って妊娠の最後の週は少なくとも1日2回の体温測定が勧められます。さらに今夜生まれるのではないか?と不安な気持ちでパスタを食べに出掛ける必要がなくなり、分娩を見届けることで睡眠時間を確保できず、翌日社員に「○○さん、寝不足ですか?」と聞かれる日がいつかを事前に知ることが出来ます。分娩は体温低下がおこってから24時間以内に始まります。


Q.胎盤を食べさせた方が良いのですか?
A.「分娩後に母犬が胎盤を食べないと母乳を作らない」というのは古い迷信です。

胎盤を食べると嘔吐することもあるので、食べてしまっても心配する必要はありませんが、食べさせる必要は特にありませんのでできるだけ胎盤を除去して下さい


Q.犬にもつわりMorning sickness)はありますか?
A.
人間の場合、つわりは妊娠611週頃の約半数の妊婦にみられますが、犬のつわりに関する記載は少なくあまりよく分っていません。妊娠3週で妊婦のつわりに似た軽い吐き気や食欲の減退が起こりますが、通常1週間以内に落ち着きます。嘔吐が継続する場合はその嘔吐が妊娠から来ることだと判断せず動物病院を受診することをお勧め致します。


Q. 母犬のワクチン接種について教えてください。

A.子犬は、母犬から生後12時間以内初乳を飲むことにより、免疫(移行抗体)を持つことができます。従って妊娠前に母犬が確実な免疫を持っている必要があります。しかし妊娠中の犬にワクチン接種をする必要はありません。理想的には繁殖前にワクチン接種を済ませておくべきです。


Q.妊娠するとどのような変化が見られますか?
A.妊娠中の雌犬は特に最後の数週間で雌犬の行動は変化するかもしれません。
愛情を求めたり、注意を引こうと努力します。また胎児の成長に伴って子宮が拡大すると、雌犬は落ち着かなくなり、芸能人カップルのように人目を忍んだ場所を捜し求めるようになります。

最後の2週間は雌犬は長州小力さんのように短気になることもあるので、小さいお子様がいらっしゃるご家庭では注意が必要です。
妊娠5週目までは目に見える変化はほとんどありません。5週間を超えると体重の増加に気付き始めます。しかし胎児が1~2頭しか存在しない場合は出産までの体重増加はわずかかも知れません。最後の3週間でお腹は大きくなります。乳腺は早ければ分娩前7~9日で発達しているかもしれませんが、通常分娩前1~2日まで乳汁は分泌されません。


Q.妊娠したら母犬の食事はどうすればよいですか?
A.妊娠5~6週で子犬用フードに変更することが推奨されています。下痢や嘔吐を引き起こす可能性があるので、あまり妊娠早期に食事を変更する必要はありません。妊娠3週目までは必要な栄養性はあまり変わりませんし、妊娠5~6週までカロリー摂取量を増やす必要もありません。


妊娠1ヵ月は通常のドックフードを与え、妊娠2ヶ月目(妊娠35日)から1週間かけて徐々に子犬用フードに変更します。妊娠を維持するために必要な食事量は通常の1.5倍と言われています。


仔犬のサイズが大きい場合は5週、小さい場合は妊娠6週から摂取カロリーを徐々に増やします。妊娠後半になるとお腹の中のスペースが仔犬で奪われるため一度にたくさん食べることができなくなります。従って少量を頻回に分けて与えてあげることがベターです。

分娩後の授乳期は犬の必要要求カロリーが3~4倍増加するので、子犬が6週齢で離乳するまで母犬に子犬用フードを与えるべきです。子犬が無事産まれても、母犬が看病しない場合はスポイトやシリンジを使って子犬に代用乳や温かい食べ物を与えなければなりません。

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