「一生もの」の歯 2

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前回、


他の医院で治療した歯がとても痛む、と来院した患者さんの話をしました。


数か月前に他の医院で入れた際には、


「瀬戸物の歯は硬いし、キレイでオススメです。


「一生ものの歯」だから、その方がいいと思います。」


と勧められたそうです。



私はこの患者さんの状態を診て、


以前に通っていた医院での治療について、


2つの大きな問題があると考えています。



前回は、一つは歯が割れた原因についての問題を話しました。



今回は、もう一つの問題である、その医院での説明について話したいと思います。



この患者さんは、


「一生ものの歯」だと、セラミックの被せものを勧められました。


つまり、


一生涯問題なく、この被せモノが使えますよ、


と言っているわけです。


そんな事を保証できるのでしょうか?


できません。


被せものは、当然人工物です。


材料がどんなモノであっても、天然の歯にセメントでくっつけているのは変わりません。


人工物である以上、


被せたモノは、いつか外れる、もしくは何か問題がおこる可能性があります。


被せモノを設計する場合には、


その事を常に念頭におかなければなりません。


勿論、


お手入れの状態が良好であれば、


被せものが満足に使える時間は長くなります。



しかし、

「一生もの」とは、約束する事ができないわけです。



これは


インプラント治療においても同じです。


生体に 金属のスクリューという、異物をねじ込むわけですから、


一生涯使える、という保証はありません。


インプラントはあくまでも最終手段であり、


安易に入れるべきではないと思います。



医療に、「絶対」はありません。


医療行為が、生命現象を相手にしている以上、


絶対に割れない、絶対に痛くならない、


という事は、ありえません。 


何がおこるかわからないのが、医療です。


人間の生命現象では、100%保証できないのです。



今回の患者さんは


残念ながら、この歯を抜かなければなりません。


まだ被せて1年も経っていないのに、抜かなければならない、という状況は


患者さんにとってはヘビーです。


まして、「一生もの」と言われれば、なおの事です。



患者さんとの信頼関係がなければ


歯科の治療はできません。



今回のような患者さんは


特に


歯科治療に対して大変不信感を持っている事でしょう。




医療って、


本当に奥が深いです。




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「一生もの」の歯 1

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先日、ある患者さんがいらっしゃいました。


他の医院で治療した歯がとても痛む、との事です。


レントゲンを撮ると、


根が完全に割れていて、大きく膿の袋を作っています。


これでは咬めないどころか、何もしなくても痛いです。



数か月前に他の医院で入れた際には、


「瀬戸物の歯は硬いし、キレイでオススメです。


「一生ものの歯」だから、その方がいいと思います。」


と勧められたそうです。



私はこの患者さんの状態を診て、


以前に通っていた医院での治療について、


2つの大きな問題があると考えています。


一つは歯が割れた原因について、もう一つはその医院での説明について、です。



まず、歯が割れる現象を考えますと、


1.歯の構造的な問題   歯の厚みが薄い


2.被せモノの設計の問題


3.咬む力の問題   咬む力が強すぎる


大体、このような事が考えられます。


もちろん、それに加えて、


例えば、想定以上に硬いモノを偶然に咬んでしまう事や、


事故や外傷など


その他の要因として、予想外の突発的な事情で割れる事も考えられますが、


そんなに頻発するような要因ではありませんし、


予測できるものではありません。



この中で特に、被せモノの設計は、とても重要だと考えています。


歯の構造や咬む力は、生理的な要因を含んでいるので、


全てをコントロールする事は難しいのです。


ですから、咬む力を受けるのに必要な被せモノの構造を的確にデザインしなければなりません。


そのためには、患者さんの状態をしっかりと把握する必要があります。



今回の患者さんの場合、


被せモノの設計はあまり良くありませんでした。

患者さんの状態を把握した上で設計されたものとは思えません。


治療した被せモノの部分の咬み合わせが明らかに高く、


左右にアゴを動かすと、治療した被せモノで引っかかる。


更に患者さんには歯ぎしりや食いしばりの習慣がありました。


現に、他の歯の溝はかなり磨り減っています。



このような状態で、奥歯にセラミックを入れるのは問題があります。


奥になるほど、咬む力は強くなります。


歯ぎしりをする患者さんの場合、咬む力は通常よりも更に大きくなっています。


もし、どうしてもこのような患者さんの奥歯にセラミックを入れようとするならば、


咬み合わせを適正に修正し、生理的なアゴの動きに戻して、


咬むための筋肉の緊張を和らげ、咬む力を正常に戻す事が先決です。



このような患者さんの奥歯にセラミックを安易に入れたのは問題です。


しっかりと患者さんの状態を見極め、説明する必要があったはずです。



ちょっと長くなりましたので、


もう一つの問題については後日お話しいたします。




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私の目指す道 ~スーパーGP~

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帰国してから、もう10年が経とうとしています。


この10年間、日本での診療を振り返り、アメリカの診療と異なる部分を改めて痛感する事があります。



アメリカでは専門医の制度が進んでいます。


ですから、


歯周病や根管治療(歯の神経の治療)、補綴治療(被せモノの治療)などにそれぞれ精通した専門医は、


レベルの高い治療を行ないます。


そのかわり、専門医で受ける治療費はとても高いです。


また、専門医は専門以外の治療はできないので、歯周病専門医は根管治療を行なう事が許されません。


ですから、患者さんは被せモノを入れるまでに、


いくつかの専門医の診療所を掛け持ちして受診しなければなりません。



これに対して、


日本での歯科における専門医の制度は、医科に比べても進んでいませんし、


アメリカに比べれば程遠い状態にあります。


日本で標榜科目として許可されているのは、一般歯科、矯正歯科、小児歯科、口腔外科です。


歯科大学では、


小児歯科、矯正歯科、口腔外科の他にも、多くの科に細分化され、


歯科大学の病院では、


担当の科の専門の先生にそれぞれ診てもらう事が多いと思います。



通常の歯科治療を行なう、開業している歯科医師の多くは、


一般歯科医師(GP: General Ptactitioner)であり、


矯正や小児、口腔外科も併記して診察しているかもしれません。


勿論、矯正歯科専門の開業医は多くありますが、


小児歯科専門や口腔外科専門の開業医は、ほとんど見かけません。


ですから、

日本の開業医で


歯科治療を受ける場合、


ほとんどの方は


一人の担当の先生がほとんど全ての治療を行なうと思います。


このため、一つ一つの処置において、専門医であるとはいえません。


しかし、一人のかかりつけの先生が全てを把握できる、というメリットもあります。


アメリカでは


それぞれが専門の分野で壁を作っていますので、各専門医での意思疎通がうまくいきづらく、


患者さんもそれぞれの先生の間を何度も往復する事になります。


人間と人間ですから、


一人の患者さんに対して3~4人の専門医がつくとすれば、


担当する全ての先生と相性が良く、更にお互い信頼関係を構築できるのか、わかりません。


とても大変な事だと思います。


どちらも


良い面と悪い面があります。






現在の日本の状況では、



アメリカのように



治療のスタイルとコンセプトが一致しているパートナーの先生を見つけ、



専門を分担して一人の患者さんを診ていくのは



とても難しい事です。



私が、


日本で診療していくにあたり、


目指す診療スタイルは、


一人一人の患者さんの口やアゴを総合的に診察し、


患者さんとの信頼をしっかりと築いていく


「スーパーGP」 です。


つまり、




通常のGPのレベルを超えて、


私が行なう全ての治療のレベルを専門医レベルに近づける、


レベルの高い診療を行なうGPです。



そのために


私が今まで勉強してきた事を


存分に生かし、


私も患者さんも


満足の診療をしていける事を


日々目指して、これからも精進していきます!


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