贅沢に、「女」を楽しもう!
フェドゥアさんは

「ドラゴンボール」改訂版を初め、

数作品の翻訳者として

活躍中です。


日本語の作品を、

いかにそのまま、

分かりやすく面白く、

海外の読者へ伝えられるか、



翻訳の仕事は、

とても重要な仕事。



登場人物の名前から、

ダジャレや言葉遊び、

オノマトペまで、

翻訳する人のセンスが問われます。


翻訳の仕事は2001年からしています。

子供の頃から漫画が好きで、

漫画の翻訳者になりたいと

ずっと思っていました。


日本語は大学で

勉強したのですが、


4年生の時に、

出版社に勤めていた友達が、

翻訳のアルバイトを

紹介してくれたんです。


それが最初のきっかけとなって、

今も続けています。


その時に初めて訳した漫画が

「ポケットモンスター PiPiPi★アドベンチャー」。

通常の翻訳者が休暇だった為、

代理で頼まれたものでした。


ドラゴンボール改訂版

「ドラゴンボール」は、

作品としては既に一度

翻訳出版されていて、

私の翻訳は改訂版です。


最初のドラゴンボールが

翻訳された頃は、

まだ日本漫画の市場が

フランスにほとんどなく、


漫画や日本に対する知識が

フランスの人に

今ほどなかったため、


いかにフランスの人が

読みやすいか、分かりやすいか、

をベースに翻訳がされていました。


その為、文中の単語や名称も、

フランス風にアレンジされていることが

多かったんです。


でも、徐々に漫画が広まり、

昔に比べて漫画や日本に対して

知識を持っている人も増え、


ファンの人も昔の訳では

満足できなくなってきて、

「より原作に近いものを味わいたい」

という要望もあったため、

改訂版を出すことになりました。



できるだけ日本のオリジナルの

単語を残しながら、

訳をするようにしています。



贅沢に、「女」を楽しもう!
亀仙人は「天才亀」?!

訳の具体例を挙げるとすると、

例えば昔の訳では、

孫悟空は「サンゴクウ」、

クリリンは「クリラン」、


亀仙人は「トルチュ・ジェニアル(直訳「天才亀」)」、

如意棒も「バトン・マジ(直訳「魔法棒」)」、

筋斗雲は「ニュアージュ・シューペール・ソニック

(直訳「スーパー音速雲」)」となっていました。


でも、改訂版では、これらの名前も

全てそのままアルファベット表記にし、


「如意棒」や「筋斗雲」など、

そのままではフランス人に

分かりづらい名前に関しては、

コマの下に米印で

注釈を入れるようにしています。


(ちなみに「カメハメ波」などの技名はそのまま使用。)

 

訳し方は翻訳者が決めるので、

道具や人物名、必殺技を

「フランス語」に訳す人もいますが、


私は基本的には日本語の単語を

アルファベット表記でそのまま使い、

必要な時に注釈を入れる

形を取っています。


日本語をそのまま使った方が、

よりオリジナルに近い形になり、

その分、日本に触れる機会が増え、

読む人が日本を知るきっかけになる、

と考えているからです。


ダジャレやギャグは翻訳者泣かせ

ギャグに関しては、

日本語をそのまま訳しただけでは

意味が通じないし、面白くないので、


そういう時は、フランス語で

いかに面白くするか、を考えます。


例えばドラゴンボールに出てくる界王さまは

ダジャレを連発するので、

訳を考えるのが大変でした(苦笑)。


「フトンが吹っ飛んだ」というダジャレは、

「Futon est fute(フトン・エ・フュテ→

直訳:フトンは悪賢い)」

という風にしたり、


「電話が出んわ」というダジャレは、

フランス語で「電話」を使っている諺を

もじって使ったりしました。
 

また、作中でよく見られる言葉遊びなどは、

例えばギニュー特戦隊を例にすると、

ギニューは「ginyu」と訳し、

「牛乳」と注釈を付け、


ヨーグルトをもじったグルドは

「グルド(日本名)→yoghourt→Ghourd(フランス名)」、

チーズをもじったジースは

「ジース(日本名)→cheese→Jeese(フランス名)」として、

綴りで言葉遊びが分かるようにしました。


(ちなみに、改訂前の訳では、

ギニュー→Ginue、グルド→Guldo、

ジース→Jeece、となっており、

日本語の発音をフランス語風の綴りにしたもの。


訳はちゃんとされているが、

言葉遊びの部分はやや弱い。)


でも、ダジャレやギャグの訳は

本当に難しく、

毎回苦労しています(苦笑)。


日本語のオノマトペを意味を持っている

 オノマトペ(擬音語・擬態語)に関しては、

場面を見て、フランス語でも

同じものを表す音があれば、

その訳を入れます。


例えば胸の「ドキドキ」は

「Don Don」とか。


ただ、フランスではオノマトペは

単なる「音」にすぎないのですが、

日本語のオノマトペは

意味を持っていて、



それによって場面の状況説明を

している時があるので、

そういう時は音を単に訳するのではなく、

状況を説明できる単語に

置き換えたりします。


例えば「しーん」→「Silence(静)」、

「じたばた」→「Panic(パニック)」などです。


あと、登場人物が方言、

例えば大阪弁を話す場合は、

訳にスラングを入れたり、

マルセイユ風にしてみたり、


東北弁の時は地方の人が

よく使う単語を入れたりなど、

違いが出るようにしています。

 


贅沢に、「女」を楽しもう!
インターネットは必須アイテム

漫画1冊を訳すのに

掛かる時間は、

少年漫画で約1週間、

少女マンガで2週間くらいです。


少年マンガはアクションシーンなど、

ほとんど台詞がなかったりすると、

早いです(笑)。


少女マンガは心理描写や台詞が多く、

やはり時間が多めに

掛かりますね。


訳してて楽しいのは

少年漫画のほう。

自分が冒険ものの

ストーリーが好きなので。
 

仕事の必須アイテムは、

シャープの電子辞書、

広辞苑、和仏辞書、

そしてインターネット。


「+Anima」も訳しているのですが、

登場人物の名前が

アイヌ語だったので、

全部インターネットで

意味を調べました。

 

好きなマンガはドラゴンボール!

それから、ベルセルク、

幽々白書、最遊記など、

他にもいっぱい(笑)。


訳する作品は出版社から

指定されるものなので、

自分では選べませんが、

今でも十分好きなマンガを

訳させてもらっています。 






 
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