ヴェルヴェッティーノのBAROQUE紀行

声楽を習い始めてはや8年目・・・ 日々勉強中なので、過去記事と最近の記事では発声について見解が異なる時がありますが、最新の記事が現在の発声です。特に好きなのはバロックオペラ、ベルカントオペラ、イタリア近代歌曲ですので、イタリア語の歌を中心に学んでいます。


テーマ:
Lascia ch'io pianga(私を泣かせてください)
  ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル作曲
  ジャコモ・ロッシの台本による

実はこの曲、数年前の発表会で歌ったことがあります。
が、そのときはニ長調だった。
今回ヘ長調でリベンジしてみようという企画。。。

ふだん古楽ピッチの録音を聴いていたせいか、
この曲ホか変ホだと思っていた。
ヘ長調は高いよねえ。
まあ囚われの身のヒロインが歌うアリアだと思えば、高めのほうが雰囲気出るだろうか。


歌詞

レチタティーヴォ(パリゾッティ版)
Armida, dispietata! Colla forza d'abisso
Rapirmi al caro ciel de' miei contenti!
E qui con duolo eterno
Vivia mi tieni in tormentoso inferno!
Signor! Ah! per pietà, lasciami piangere!

アリア
Lascia ch'io pianga
mia cruda sorte,
e che sospiri la libertà.
Il duolo infranga queste ritorte
de' miei martiri sol per pietà.

※アリアの二行目はパリゾッティ版では「la dura sorte」となっています。
 またレチタティーヴォも実際のオペラでは会話になっているが、パリゾッティ版ではアルミレーナの部分だけを抜粋して編曲したものになっている。

対訳

レチタティーヴォ
奈落の力を持った情け知らずのアルミーダは
懐かしい喜びの天上から私を奪い去り 
ここで永遠の苦しみを持った 地獄の責め苦の中に
生きたまま私を閉じ込めている。
主よ、ああ、どうか私を泣かせてください。

アリア
どうか涙を流させて下さい、
この残酷な運命に。
自由に焦がれて溜め息ばかりついております。
苦悩がこの不運の鎖を断ち切ってくれますよう、
ただ憐みのために。


参考音源

1995年公開の映画『Farinelli ~Il castrato~』より。


映画の挿入歌として使われているので、男優が歌っていますが実際のオペラではヒロインが歌うアリアです。

そんな誤解を招くような映像を参考音源に持ってくるなよってとこですが、バロック音楽とヘンデルを気に入るきっかけになった映画なので・・・。
この映画を観るまで、モンテヴェルディの≪オルフェオ≫がバロック音楽だと思っていたので、美しく心安らぐ音楽だけど、なんか退屈、という印象だった。
それがこの映画の中で流れるヘンデルやハッセの曲は、甘いメロディあり、駆り立てるようなリズムあり、泣かせる名曲あり、の華やかな音楽で、「モンテヴェルディと全然違うじゃん」と思った。
教科書では同じ「バロック音楽」の枠の中にモンテヴェルディもヘンデルも入っていたのに、と(笑)

ピアノ伴奏

好きな曲なので弾いてみた。


が、レチ部分は自分の伴奏録音にあわせて歌うのが困難なので、カット。
すると前奏なくアリアがはじまるので、これも伴奏録音にあわせて歌い出すのが難しい。
というわけで、レチタティーヴォを編曲した前奏もどきを曲の前にくっつけてあります。
ヘンデル先生が「私の曲を冒涜するな!!」と怒り出す心の狭い人間でないことを祈ります・・・。

作曲者について


オペラ≪リナルド≫について

この曲は1711年にロンドンのヘイマーケット女王劇場で初演されたオペラ≪リナルド≫の中の、アルミレーナのアリアである。
ヘンデルは前年渡英したばかりであった。
イタリア滞在中に身に付けたイタリア・オペラの書法で作曲したので、「ヨーロッパの最新流行オペラが来英!」というわけで、ロンドンで成功した。
初赴任地での作品なので、イタリア時代の自作曲の使いまわしが多い。
そのため作曲にかけた日数が短くて済んだそうだ。
ただ当時の作曲家にとって、自作曲のリサイクル習慣は普通のことであった。
この感覚はロッシーニあたりまで続いているようだ。

≪リナルド≫の大筋は、十字軍の英雄リナルドが、イスラム教国の王やその恋人の魔女と闘う話。
アルミレーナはリナルドの婚約者。
ただ、敵方の王アルガンテがアルミレーナに横恋慕、魔女アルミーダがリナルドに横恋慕して、戦うより恋の四角関係に物語の重点が置かれている。
なのでオペラを通して聴いても、
「いつ戦ったっけ? 恋の鞘当てばかりしていた印象が・・・」となるかも知れない。

「Lascia ch'io pianga」は、アルミレーナがアルミーダに誘拐されて囚われの身になり、アルガンテに口説かれているときに歌うアリア。

よってレチタティーヴォの終わりに「シニョール」と呼びかけるのは神に祈っているのではなく、言い寄ってきたアルガンテに話しかけているのだと思っていた・・・。
「魔女に監禁されたけど、どうやら魔女の恋人はあたしに気があるみたい。この人の憐れを誘って、ここから助け出してもらえないかしら?」という作戦を立てて「Lascia chi’io pianga」を歌う利口な女性と思ったのだ。
が、訳を見ると「主よ」ってなっている・・・。
歌詞の最後の「sol per pietà」=「only for pietà」も「per amor」とかじゃなく、ただかわいそうと思ってという意味かと。。。つまり、スケベ心を出さないで救ってね、と・・・。


オペラ全曲録音はこのCDで聴いた。
ヘンデル:リナルド(全曲)/バルトリ(チェチーリア)
¥9,175
Amazon.co.jp
リナルドはデイヴィッド・ダニエルズ、アルミレーナはバルトリである。
バルトリは相変わらず群を抜いて素晴らしい歌と演技だが、いかにも強そうで、どう考えても囚われの身になるとは思えない。

バロックオペラの登場人物の理想像としては、
男性は、強い騎士でありながら繊細、
女性は、美しいけれど聡明、ということが求められているらしい。

それを反映してかオペラの冒頭は、
リナルドが「愛する人を残して戦地におもむくなんて哀しい! つらい!」と嘆き、
アルミレーナが激励するシーンである。
ここがもうバルトリで聴くとアルミレーナが雄々しくて、
「泣き言いってないで、とっとと行ってらっしゃい!」とケツ蹴ってる気がする・・・。
リナルドあんたそんな奥さんもらったら、絶対尻に敷かれるの目に見えてんじゃん、と思ってしまう。
ダニエルズはカウンターテナーの中でも男性的な印象の声にも関わらず。

コメント

結局リベンジならず、な気がします。この曲。
でも現時点でのまとめノートを記しておきます。

A部分
・息を流す。
 Aメロは休符があるが、休符があってもフレーズはつながっている意識。

・e che sospiriは中音域で「なんとなく」あててはいけない。
 軟口蓋上の圧力を感じて歌うように。
 そうしないと高音を当てずっぽうに放る結果になる。

・2回目のe che sospiriを歌ったままのテンションでブレスをする。
 そうしないと、次のフレーズ頭のlaがFまで届かなくなる。

・イやエの母音で高音が出てくる。
 真上にのびるイメージ。
 奥に入りすぎた暗い音にならないようにする。しかし前に出すと喉を傷める。

・フレーズの終わりの四分音符を無駄にのばしてビブラートをかけない。

・高い音は気持ちのテンションを高くしないと出ないが、それで胸や肩がかたまると余計に出ない。

B部分
・フレーズを大切に、と心がけると息が流れて高い音も出やすくなる。
 1音1音取るような気持ちでいるとうまくいかない。

・高い音では感情を高めるようにする。旋律の山場だと思って歌うとましになる。

・高音ではしっかりとした支えと、たっぷりとした息の量が必要。
 なので、フレーズの盛り上がりと音高を一致させて、感情=息を高めると高音も出るのだが、
 ある程度の音量でしか出せない。←非常にいまいち。

 しかも息の量を増やすと声帯への負担も増していると感じる。
 ここらへんが、リベンジならず、と結論したゆえんである。。。

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